野上のもとへ
あれから数日後、野上が病で倒れいると連絡が入った。
余命も宣告されているとのことだった。
「今、行かなかったらもう二度と会えないかも知れないだぞ」
「嬢ちゃん行くべきだ」
みんなが桜木に声をかけた。
「強鷲号、出港準備できました」
植村がだめ押し一言を放ちにやってきた。
強鷲号改めかつての風装号のメンバーが集まった。
そこに甲上も乗った。
この日ばかりは桜木が船長だ。
だが、桜木は相変わらずの桜木節を発揮した。
「テキトーに出港しちゃっていいよー」
仕方なく出港の合図は植村がした。
しかし、まるで野上がいるかのように士気は高かった。
野上の家に着くと、みんなが一斉に野上の元に駆け寄った。
ただ一人を除いては。
桜木は家の中にはすんなり入ったものの部屋に入るのはためらった。
「何してるんですか?
今、会わないと会えなくなっちゃうですよ!」
甲上がせかす。
「別に会っても話すことないし」
遠くから「桜木も来てるのか?」と声が聞こえた。
「ほら行きますよ」
甲上は無理矢理、桜木の手を引っ張った。
無理矢理押し込まれ、こけるように部屋に入った。
野上は起き上がり土下座した。
「すまなかった。
何もわかってやれずに」
それを聞いた瞬間、桜木は野上に抱きついた。
「そんなことない。
野上さんがいてくれたから、私は自由にやれた。
みんなことを任せられた。
ありがとう、野上さん」
桜木からは涙が溢れていた。




