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海の守り人~私は私のやり方でこの海を守る~  作者: アオサマ
最初の事件編
8/86

いい加減にして下さい

桜木が来てからというもの、甲上は毎日大声を上げることになった。

服装で注意し

言葉遣い、態度で注意し

訓練に参加し兵に指導するよう話をし

海賊との戦闘に参加しなかった時も、その理由を説明するよう詰め寄った。

しかし、桜木はいつも

「ふーん」

「やだ」

「興味ない」

と、嘘っぽい笑顔で真剣に取り合わなかった。

「あなたは海兵として不適格だ」

とはっきり伝えた時も

「そんなこと、わかってるよ」

と笑顔で返された。

植村も、必死に初日から注意を続ける甲上の横で、優しく笑いながら、桜木の言動については何も言わなかった。

植村と桜木は小学校の同級生。

なんと、桜木に憧れて、海兵になったという。

今も友人関係で有り、4年前『史上最悪の船長』と呼ばれるほど周りから嫌われたのは、本当に桜木のせいだけなのか、と思っていることを甲上に話していた。

時々夜、船長室で一緒に飲んでいる様子も有り、二人は本当に仲が良かった。

ただ、早くも限界を迎えた指宿が

「いい加減にして下さい。

あなたの言動は兵士たちにいい影響を与えない。

毎日同じことで注意されて、嫌じゃないんですか?」

と桜木に怒りを露にした時は、指宿を止め、桜木に

「周りの気持ちも考えて下さい」

と訴えた。

甲上は毎日、自分が桜木に注意をしていたことも、周りにはストレスになっていたことに気付き、反省した。

指宿ももちろん、自分の立場で中将に逆らうことが許されないことぐらいわかっており、植村が止めたこともあって、その時はそれ以上ことはなかった。


しかし、事件はすぐに起きた。


それは桜木が来て一週間が経った日のこと。

午後の訓練中、海を眺めていた桜木の表情が一瞬真剣になったのを、甲上・植村・伊竜・指宿は見逃さなかった。

その十数分後、雲が濃い灰色に変わり、冷たく激しい風が吹き始めた。


リアンは急に天気が変わることで有名な国。

そのため、海軍船でも貿易船でも、それこそ海賊船でも、優秀な航海士の需要は高い。


慌てて、指示を出す雨宮(あまみや)航海士。

そのすぐ後に大荒れになり、海は渦を巻き始めた。

一足遅ければ、渦に巻き込まれていたかも知れない。

でも、巻き込まれずに済んだ。

その後、少しして天候も落ち着いた。

一件落着。

いや、そんなことはない。


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