4年前の真実
あれから甲上は必死で調べた。
桜木のことを助けたかったからだ。
そして甲上は思わぬ真実にぶち当たることになった。
真実の発表は王宮で行われることととなった。
各本部から主要人物が集まり、海軍から桐生、神矢、今吉の3名が出た。
「我が弟がカイルと通じていたのは聞いている」
王も複雑な心境のようだった。
「もう一人、裏切り者がおりました。
私の父、甲上前王宮護衛隊隊長です」
王宮中に衝撃が走った。
甲上の声は震えていた。
王の前で緊張しているというのもあったが、話している内容が内容だった。
王の弟(皇太子)と前隊長はカイルと手を組み、リアンを乗っ取ろうとしていたのだ。
そして、4年前の事件が起こった。
前隊長は王を守って死んだ英雄などではなかった。
「何と忌まわしいことか…」
王は怒っていた。
「違う!」
行きなり扉が開き、桜木が入ってきた。
牢屋から脱走してきたのは一目瞭然だった。
兵士たちが桜木を捕らえに次々にやってくる。
「それは真実なんかじゃない!」
桜木は兵士たちを振り払いながら叫んだ。
「やめんか!」
王が兵士たちを止めた。
そして、そこにいた誰もが桜木が話し始めるのを待った。
「甲上隊長は皇太子殿下に唆されたんです。
陛下がこの国をカイルに売ろうとしている。
この国を守るために陛下を殺さなければならないと。
だから最初、隊長は陛下の命を狙った。
でも、隊長はあなたへの忠誠心を忘れていなかった。
真実を調べ、殿下の悪事を知った隊長は宗谷さんに助けを求めた。
そして私たちは4年前のあの日、カイルの連中だけでなく、殿下の命を頂戴することを決めたんです。
そして、隊長は陛下を守ったのちに、騒ぎに紛れて自ら命を絶ちました。
これが真相です」
桜木の目からは涙が流れていた。
「では、私が狙われた理由は…?」
甲上は唖然としながらも、言葉を絞り出した。
「“カ・ドゥムラ・クゥワ”。
そのあとにはきっと“ラ・チィゲ”という言葉が後ろについたはず…
意味は、裏切り者の娘を始末しろ」
「ちょっと待て。
それなら、甲上監査官の母上も危ないんじゃ?」
今吉が焦った。
「大丈夫だ。
どうせ笠原に任せてあるんだろう?」
隣で神矢が答え、それに対して桜木は頷いた。
「桜木、今の話しは全て本当なのか?」
王が尋ねる。
桜木は丁寧に跪いた。
「全て真実です。
ただ知らないほうがみんな幸せに生きられた真実だと私は思っております。
甲上隊長は陛下をお守りして亡くなった。
それが事実であり、一度は裏切ろうとしたなどという不名誉は必要なかった」
「だから、お前はこの事を4年もの間、隠していたのだな?」
「はい」
海軍本部に帰るとそこには甲上の母が笠原に連れられ待っていた。
抱き合う2人を桜木はただ遠くから見守っていた。




