取調室
桜木は王宮護衛隊に逮捕された。
これは海軍のメンバーにももちろん衝撃が走った。
甲上監査官たちを連れ去ったのが、カイルの連中だということを黙っていたことが原因だった。
その理由を話せばすぐに解放されるはずだったが、桜木は黙りを決め込んだ。
甲上は志摩の命令でカイルのこと、4年前のことを調べた。
カイルの王子が10才頃から行方不明になって10年ほど経つこと。現在は、伊竜や指宿たちの同世代ということになる。
甲上は取り調べという名目で、桜木と会うことが許された。
取調室。
桜木は少しやつれていた。
「どうして私を止めなかったんですか?
私が報告しなければ、あなたが逮捕されることはなかった」
まず、最初に出た言葉がこれだった。
「あなたの性格上、報告せずにはいられないでしょう?」
桜木の口調は優しかった。
「でも…」
「陛下との約束を破った私がいけないんです。
気にしないで」
甲上は気持ちを切り替えて本題に入った。
「なぜ、今回カイルの人間の仕業であることを黙っていたのですが?」
桜木は何も答えなかった。
「では、4年前のことと関係あるんですか?」
また、何も答えない桜木。
「“カ・ドゥムラ・クゥワ”。
この言葉の意味わかりますか?」
「…裏切り者の娘」
桜木は少し間をおいてから答えた。
「なぜ、カイルの人間がそのようなことを言ったのかわかりますか?」
桜木はまた黙った。
「桜木さん、このままではカイルのスパイと思われても仕方ないですよ」
甲上は熱くなっていた。
桜木は鼻で笑った。
「今のはどういう意味ですか?」
「別に…」
甲上はため息をついた。
「最後に何か言っておきたいことは?」
「秘密は秘密のまはまにしておいたほうがいいこともあるって、前に言いましたよね?
これ以上、調べるのは止めてください」
桜木の目は真剣だった。
「なぜですか?」
「秘密のままのほうがみんな幸せなこともあるんです」
桜木はそれ以上、何を聞いても答えることはしなかった。
取調室を出ると高橋が待っていた。
桜木が捕まって以降、高橋が甲上の護衛をしてくれているのだ。
高橋は桜木の様子を聞くことはなかった。




