王との約束
その日、豪華で珍しい客が現れた。
王だ。
桜木を訪ねての御忍びだった。
桜木以外、王に会うのは初めてだったため、緊張感が走った
。
桜木は王の前で片膝を付いて頭を下げた。
「このような格好で申し訳ございません」
まずは自分が正装ではないことを謝った。
「そんなことはどうでもよい。
カイルの人間が侵入したそうだな」
「はい。
行方はわかっておりません。
目的もわかっておりません」
「わからないことだらけだな」
「申し訳ございません」
緊迫した空気が流れる。
「4年前とは何か関係あるのか?」
桜木は黙った。
「あるのか無いのか聞いておられるんだ。
答えないか!」
側近が怒鳴り付ける。
「…ありません」
「嘘ではないな?」
桜木は目を瞑った。
そして丁寧に土下座をした。
「申し訳ございません。
今はまだ申し上げられることはありません」
王は小さくため息をついた。
「…隠し事はするなよ」
桜木はまた黙った。
「桜木?」
「では、わたくしからのお願いを聞いて頂けますでしょうか?」
「何を言っているんだ!
この無礼者が!」
側近の怒鳴り声がまた響く。
「なんだ?
言ってみろ」
「御忍びでの外出はお控え下さい」
王は少し考えてから「わかった」と返し、去っていった。
「急に来るんだもん、びっくりしたよね」
頭を上げた桜木はいつもの笑顔だった。
誰も返事をできるものはいなかった。
まだ緊張状態の中にいたのだ。
「おーい、大丈夫かー」
桜木がまた話しかけるが、まだのようだった。
桜木は仕方なく一服した。




