謎の病
一人の兵士が謎の病に冒された。
騒然とした状況の中、桜木がやってきた。
「どうしたの?
なんかあった?」
植村が事の次第を説明した。
「高熱ね…
他に症状は?」
「無いと思います」
雨宮が答えた。
桜木は少し考えてから急にその兵士の元へ向かった。
「待って!」
植村が止める。
もし、人から人へ感染する病だった場合、接触すればうつるかもしれない。
別の部屋に寝ていた人間まで接触させるのはできないことだった。
「多分、うつらない」
止める植村に桜木がそう答えた。
部屋に入り、病に伏せている兵士に近づく。
同室の雨宮だけが一緒に中に入り、植村や甲上たちは外で待った。
「中将!」
看病にあたっていた医務官たちも、桜木がやってきたことに驚いていた。
「今、熱は?」
「39.6℃です。
解熱剤を飲んでいただいたのですが、効かなくて…」
医務官たちは困り果てていた。
「雨宮、この子、一緒に島まわった子だよね?」
それはドーナツエンドで島内の捜索にあたったということだった。
「はい、そうです」
「ごめん、体触るよ」
そう言って桜木は兵士の首の辺りを触ったり腕を捲ったりした。
と、左腕の一部が腫れ上がっていた。
「あった…
医務官、ライリンある?」
「あっ、ありません…」
「まずいな…」
桜木はそう呟いてから走り出し、部屋の前で待っていた指宿を大声で呼んだ。
指宿から近くを航行している海軍船を一通り聞き出すと、桜木はまた走って行ってしまった。
植村たちは、桜木の後を追って部屋を出てきた医務官から事情を聞いた。
兵士はドーナツエンドである虫に刺されたという。その虫に刺されても発症することは珍しい。しかし、発症すると特効薬であるライリンを打たない限り高熱が下がらず、命の危険もあるという。
桜木が無線で片っ端から連絡をとるのを、植村たちは固唾を飲んで待った。
「…本当?ある?
ありがとう!」
その言葉を聞いたみんなが安堵した。




