また、試したんですか?
また、陸軍から連絡が入った。
それは、海賊船が見つかり、早くドーナツエンド島に来てほしいという内容だった。
道中、今回の件に関してみんなで推理を始めた。
海賊が他国からの侵入者であるということは、既に国外へ逃亡した可能性が高い。
そして、海賊船での出入国はほぼ不可能。国境警備隊と共謀でもしない限り無理だ。
観光船や貿易船に乗り込み、リアン国内で船を調達、おそらくは奪い取り、逃げる際はどこかへ隠したと考えられる。
乗り捨てた可能性も有るが、それなら既に発見されていておかしくない。
「だとすると、行方が途絶えたドーナツエンド島の中に船が有ると考えるべきなのでは?」
甲上の意見が一番正しいようにも感じられたが、島内の捜索にあたったのは甲上自身だったため、甲上も自信を失くしてしまった。
静まり返る空気の中、桜木が一言、
「今回はいいところに目を着けたと思うけどね」
と言った。
どういうことかわからない一同が桜木に注目する中、桜木は雨宮に、地形図に回った洞窟の場所を記すよう指示した。
指示に従う雨宮。
と、そのペンを持つ手が止まった。
一ヶ所だけ行っていないところがあったのだ。
行き止まりの洞窟だが、確実に存在していた。
「ですがあの時、確実に全て回ったはず…」
そう言う雨宮に桜木は今度は島の詳細図を持って来て、重ねるよう指示した。
そこは、大きな屋敷の裏手だった。
おそらくその屋敷から洞窟に繋がっていて、そこに海賊船が隠してあるという。
屋敷の扉の上の壁に屋根まで続く線が入っていた。
おそらく全解放できるようになっているのではないかというのが桜木の推測だった。
と、ここで甲上は気づいた。
「ちょっと待ってください。
まさか、最初から知ってたんですか?
知ってて、我々がそれに気づくか、また、試したんですか?」
掴みかかろうとする甲上の手を桜木は静かに払った。
「あの壁を見た時から違和感はあったけど、この推理に至ったのは、船に帰ってきて地図を見てから。
それに、これはもう陸軍の管轄。
確証が有るならまだしも、推測だけで口出ししたら、業務妨害で訴えられちゃうでしょ?」
「それでも、もし陸軍がそれに気づかなかったら」
と言いかけた甲上の唇の真ん中に、桜木人差し指を立てた。
「それ以上、陸軍をバカにした発言すると、あんたの立場的にまずいんじゃない?
それに陸軍は優秀だよ。
まだ、経験豊富な人たちが残ってる。
そう言う意味では新しい子達が多い今の海軍より優秀だよ。
まあ、そのせいでキャリア体制への反対派はうちより多いみたいだけど…
それよりも気になるのはさっきの電話だ。
すぐに来てほしいって言ってたんだよね?」
はい、と答える伊竜。
「海賊船が見つかったくらいで早く来てほしいなんて言うかな?
なんか、嫌な予感がする…」




