見つからない
その後、2日間にも及ぶ近海・近隣の島々の必死の捜索にも関わらず、海賊どころか海賊船すら、見つけることができなかった。
その上、植村が特任業務のため船を離れており、士気も落ちていた。
「こんな大切な時に、なぜ、船長を特任業務に?
外国から何か危険なものが持ち込まれたのかも知れない。
情報が流出したのかも…
それなのになぜです?
大体、こんな重大なことを海軍は軽視してるのですか?」
甲上は熱くなっていた。
「なんで、外国だって決めつけてるの?
国内の奴らの仕業かも知れないじゃん?
もしかして、お父さんの影響?」
桜木は落ち着いていて、最後にはニヤっと笑って見せた。
「なぜ父が出てくるのですか?」
甲上の表情が強ばる。
「あなたが、私のことを調べているように、私もあなたのことは調べてますよ。
前王宮護衛隊隊長。
あの4年前の事件では本当に御愁傷様でした」
桜木は椅子に座ったままだったが、丁寧に頭を下げた。
言葉を失う甲上。
「4年前この国を荒らそうとしたのは外国人、カイルの奴らだった。
だから、外国に拘る。
違いますか?」
「…確かに、父を殺したのはカイルの人間です。
すいません。
国内の線が消えてないこと忘れてました」
甲上は頭を下げた。
静かになった空気の中、桜木が「はい」と言って話を変えた。
特任業務については、本人しか知らず、知っていたとしても話せない決まりになっている。
また、この件を軽視してはいない。
すぐに陸軍と連携したこと、桐生が信頼している植村の船に任せていることなどを桜木は話した。
「しかし、完全に手詰まりです。
どうすれば…」
落ち着いた口調で伊竜。
「さあ」と素っ気なく返す桜木。
しかし、その落ち着き払った姿は10分後には消えることになった。
南国境警備隊より連絡が入った。
植村が重症でシルキナウス(南国境警備局からもっとも近い国)から帰ってきたため、保護しているという内容だった。
その連絡で誰よりも驚愕したのが、桜木だった。
「なんで…?」




