仲間になってもらいたい
昼食後、植村たち強鷲号のメンバーは明日朝の出航に向けて、元帥室に呼び出されたが、誰もが予想していた通り、桜木の姿は無かった。
今後の仕事についての話を終えた後、桜木の話になった。
「桜木に関しては各々思うところも有るだろう。
ただ、私はお前たちに桜木の仲間になってもらいたいと思っている」
桐生は真剣だった。
「確かに服装は直してくれることを私も願っている。
しかし、言葉遣いなんかは、やる気になればちゃんとできる。
戦闘に参加しなかったのは、お前らの実力を見たかったのと、あの子自身が、メインで戦うことより後方支援・応援ののほうが慣れているからというのがあるんだろう…。
船を持たない分、実際にそういう役回りが多かったからな。
人に指導するのも苦手なだけだ。
“練習相手になって下さい”って、お願いしてみろ?
多分、やってくれるはずだから」
そんなバカな…とみんな思った。
「あの飄々とした姿は桜木の素だと思う。
ただ、時と場合によってはあの子の不器用さの表れなんだと思うこともある。
海軍の中では珍しく、一人で仕事することに慣れてしまっている。それで、指揮官が務まらないなら問題だが、指揮官はできるから、普段は一人で仕事をしてたって構わない。
だが、全てを一人で抱え込まれたら困るんだ。
もちろん、倒れられたりなんてしたら困る。
それに、4年前、私は宗谷たちと仲間になれなかった。
事件のことを相談してくれていたなら、それが良い方に転がったか、悪い方に転がったかはわからないが、違う未来になっていたと思ってる。
ほんの僅かな疑問・悩みでも相談できる人間がすぐそばにいる。そして、そういう人間がたくさんいたら尚ベスト。
私はそう考えているんだ」
キャリア体制もそうだ。
桜木が推進しているキャリア体制は互いの欠点を補い合いながら、個々の能力を高めていく体制。
桜木の秘めた思いがそういう考えに繋がっているのなら、ある意味、桜木が提唱しているキャリア体制は桜木の心の叫びととらえることもできる。




