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海の守り人~私は私のやり方でこの海を守る~  作者: アオサマ
最初の事件編
26/86

仲間じゃない

次の日の早朝、塩谷は裏門から静かに出て行こうとした。

しかし、塩谷の船のメンバーや世話になった人間で裏門は賑わった。もちろん、実行犯の2人の姿も有った。

「塩谷さんありがとうございました」

2人は深々と頭を下げた。

「いいんだ。

頑張れよ」

そんなやり取りの中、遠くから声が聞こえた。

「いいから、自分で渡せよ!」

相馬が桜木を無理矢理連れて来る。

桜木は渋々持っていた酒瓶を塩谷に渡した。

「桜木からの餞別だってさ~」

相馬はニヤニヤしていた。

「この酒、昔、俺と桜木を酔わせるためにたくさん用意したのに、結局桜木が一番強かった…。

懐かしいな」

と、一枚の紙がラベルに貼ってあることに気づいた。

その紙を開くと、塩谷は驚いた顔を桜木に向けた。

「そこに知り合いがいる。

あんたの話をしたら、そんな実力者なら、雇ってやるって言ってた。

興味が有るならそこで働けばいい」

桜木は無表情だった。

でも、口調はちょっと恥ずかしそうだった。

「ありがとう。

もう仲間でも何でもない俺に…」

それに対して桜木は何のリアクションもしなかった。

そのまま後ろを向き、歩き出す。

塩谷が息を吐きながら肩を落とした、そのわずかな音を拾ったのか、桜木は数歩で足を止めた。

「もう、仲間じゃない。

でも、仲間だったあんたの名前を慰霊碑に刻まずにすんで良かったよ。

どんな最低なやつでも、仲間の名前を刻む方がもっと嫌だからね」

桜木は最後まで無表情を貫いた。

でも、その言葉に秘めた思いは、『無』なんかでは無かった。



朝日が優しく海軍本部の外壁を照らす中、甲上は、深呼吸をした。

桜木は毎日船の上でこうしていた。

同じ風でも、海と陸では違いがある。

甲上は陸、もっと言えば林の中とかの風が好きだ。

でも、きっと桜木は海上の風のほうが好きなのだろう。

「思ったより、すっきりした顔をされてるんですね?」

そう、話しかけてきたのは植村だった。

「もちろん、ショックでしたよ。

でも、私は私の道を進むしかない。

やりたいことも有りますしね」

「渚のことを知りたい?」

植村の回答に甲上驚いた。

「じゃあこれからは、ライバルですね」

植村はにこっと笑った。

甲上も思わず、笑みを浮かべる。

「じゃあ、そのライバルに4年前のこと教えて頂けませんか?」




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