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海の守り人~私は私のやり方でこの海を守る~  作者: アオサマ
最初の事件編
16/86

動き始めた最初の事件

最有力容疑者が浮かんだと甲上のところに監査主任から連絡が入った。

容疑者は笠原良矢(かさはらりょうや)少将。現在、神矢(かみや)大将の船の第二副船長を勤めている。小卒、12才で入軍。まだ20代前半にして少将の地位にあり、実力の高さは折り紙付きだった。

実際、4年前の大事件で宗谷は自分の船の中で唯一、事件に関わらせた。桜木も「りょうちゃん」と呼び信頼している。

しかし、その他の周りから良く思われてはいない人物でもあった。

無口・無表情・無愛想。

支部時代、ミスを犯した同期を告発して本部に栄転してきた過去を持つからだった。

笠原が容疑者として浮上した理由は2つ。1つ目は事件のことについてやたらと気にしているという報告が彼を担当している監査官から上がっていること。そして、2つ目の理由。それはずっと前から海軍にとって裏切り者だということ…。

笠原は長年、陸軍と内通していた。

もちろん、必要な情報に関してはやり取りをするのが決まり。しかし、それぞれ領域がある。その領域を侵害することは互いに禁じられているし、今でこそ少しずつ陸・海軍の仲は良くなったが、以前は険悪だった。

そんな中に内通者がいる。

その存在が双方を近づけることになるかもしれないが、その存在のせいで迷惑を被ることもあると、監査主任が以前に話していたのを甲上は思い出した。

情報が漏れたことにより、錯綜してしまった例。

内通者が間違った情報を流し、混乱した例。

これらは内容によっては国を揺るがす問題になる。

手柄を横取りされたり、陸・海軍で山分けすることになった例。

内通者を探しだそうと問題が起こってしまった例。

これらはそれぞれの本部の安寧に影響したり、個人の昇進・処分に影響する。

不可侵の領域。それを侵さないことは互いの本部を守るため、現状、必要なことなのだ。

だから、内通者は決して許されない存在だった。


そんな笠原が甲上の目の前に現れた。

それは、メモ帳の一件からわずか2日後のこと。神矢船、相馬船が強鷲号に集結した。笠原が本部に呼び出され、ちょうど用事が有って本部近くに行く相馬船に笠原が乗せてもらうことになり、お互いの中間地点だった強鷲号になぜか集まることになったのだ。

もちろん笠原が呼び出されたのは例の事件のため。しかし、それは甲上と神矢船に乗っている監査官以外、本人も含めて知らなかった。

甲上に緊張感が走った。

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