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海の守り人~私は私のやり方でこの海を守る~  作者: アオサマ
最初の事件編
14/86

呼び方

次の日、解答の事件が2点だけ進んだ。

それは、塩谷少将も容疑者の中に加わったこと。他の監査官や海兵から彼が疑われないのは不平等だとの話が多数上がり、調べた結果、アリバイも無かったため、容疑者に加わったのだった。

また、卯月大佐と松本大佐の2人には完璧なアリバイが有り、容疑者から外された。笠原少将も海軍本部のあるイレオス島の裏町で特任業務をしていたというアリバイが有ったが、裏町と本部の距離が近く、目撃証言だけでは完璧なアリバイとまではいかず、容疑者のままだった。


午後、桜木の特任業務のためマズル島に停泊した。

桜木が出発して少しすると、一週間ちょっと前までこの強鷲号の副船長だった薪がやって来た。

長年自分が統括してきた第一支部の不祥事に対応するため、支部に戻ったが、一度は乗った船のメンバーの様子が気になり、見に来たとのこと。

船員たちは桜木への不満を薪にぶつけた。

思わず甲上も…。


「慣れないと嬢ちゃんはワケわからんからな~」

ただ、と付け加えた薪。

「そんなことで言い返してきたということは、よっぽど疲れているか、お前さんに興味があるか、だ」

興味が有れば言い返してくる?

さっぱり意味がわからなかったし、興味を持たれても嬉しくないと甲上は感じた。


薪曰く、桜木が変人なのは昔からだとのこと。

兵や下士官時代はもう少し周りに合わせて決まりを守る人間だったが、それでも、自由奔放。馴れ馴れしいかと思えば、一人で過ごしていることのほうが多い。

いじめを受けても笑って何もやり返すことはないし、周りが喧嘩したり、抗議していると離れた場所から笑って見守る。

状況よっては一番裏切り者に見えるのに、裏切り者をとことん嫌うタイプで、今までに何人も排除してきたという噂がある。

飛び道工は苦手だが、剣の腕は今では海軍一。

人の名前を覚えることも飛び道具を扱うことなみに苦手。

ただ、本人なりの覚え方は有るのだとか。

親しい人間・覚える気のあった人間は呼び捨て。

更に友達などは下の名前を呼び捨てにする。

信頼している人間にはあだ名をつける。

「さん」付けは尊敬しているか、さほど興味がないか。

それ以外は、覚えないか役職名で呼ぶ。

この説明は、風装号の際、本当に船員を覚える気がなかったことを意味していた。

また、現在も植村と伊竜、甲上以外は役職名か呼ばないかのどちらかだ。 

なぜ名前を覚えてもらえたのか?と甲上は不思議だった。


「シンさん!」

帰ってきた桜木が薪の姿を見て、目を輝かせた。

先程の薪の話から考えると“まき”ではなく“シン”と呼んでいることから、薪も桜木にとって特別な存在ということになる。

何より桜木のこんな表情は初めてだった。



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