0ストーリー
ここはリアン王国。
広大な海の上にいくつも島が有るこの国の治安を守る海軍。
元帥を筆頭に大将3人、中将5人の計9人が中心となり運営している。
かつてこの国には海賊や山賊といった荒くれ者たちが沢山いた。
それが次第に減ってきたのはここ10年以内の話。
より自国を豊かにするための他国との貿易競争、技術開発競争が激烈を極め、まれではあるが、時折国同士の戦争も行われる中、国内の争いは何の意味も持たないとされ、また、かつては貴族しか受け入れなかった王宮も、知力溢れる者は積極的に受け入れるようになったことも有り、自分の意見を反映させる方法が国に対抗することではなく、国のために自分の知識や技術、才能を発揮することへと変わってきていたからだ。
そして約4年前からその動きは更に加速した。
王が他国のスパイたちに命を狙われたのだ。
それまでは国外の争いは王宮護衛隊や特殊部隊の役目だったが、大事件以降、陸・海軍も国内の治安を守るのみの組織ではなく、国防全てを担う組織に変わるべきだと言われ、それに向けた動きが始まっていた。
5才から11才までが小学校。そこから14才までが高校。この9年間が義務教育、ということ自体は変わっていないが、かつては小学校卒業で入軍できたことを変え、義務教育修業が入軍への第一条件に変わることが2年後から開始決定となった。
その結果、開始される前である現在も14才以下の入軍者は激減し、高校卒業後の入軍者が主になった。更に上級学校である海洋専門学校、幹部兵養成校などを卒業した『キャリア組』と呼ばれる者も増えた。
同時に荒くれ者が減り、国内での戦闘が少なくなってきており、戦闘で勝利を納めることよりも知識が有ることが昇進が早まるようになった結果、義務教育をまともに受けていない兵はバカにされ、排除する動きまで出ていた。
また、規律や礼儀作法を守ることが更に強化され、かつては荒くれ者たちと大差無いぐらい気性が荒い人間も多かった陸・海軍の兵の教育方法は変わり、規律や礼儀を重んじない兵は『異物』『厄介者』と言われていた。
これらを誰が名付けたのか『キャリア体制』と呼んでいた。
この物語の主人公、甲上佳乃はそんな異物を排除するため監査本部より今年送られた監査官でる。