第5話 スミレとの邂逅
「サインください」
私とトパーズは口を揃えて頬を赤らめながら言った。
「このノートでいいのね?私にファンができるなんて嬉しい。今日はね、昨日の目安箱の中の意見にすごく良いのがあってそれで絶対アメジストは書いただろうなっと思って来てみたの」
「はい。このノートにサインを」
また声が揃った。そして、スミレはサインし終わるとこう言った。
「で、ヴァイオレット臭がするから来たわけですよ。勇者制度に批判が来るとは思わなかったのよ。しかも、どうすればいいか、なぜそうするべきなのかが明記されてて、しかも勇者制度の導入して1年目なのにそこも考えれるのはただ者では無いなと思って」
「それ原案はトパーズです。私は魔界の本とレッドローズ教会の図書館でほとんどの本を読んだだけです。話を振ったのは私ですけど」
アメジストはこう謙遜した。
「確かに、アメジストに話しかけられて、勇者制度について考えて話して2人で討論しました。勇者試験の導入は考えられましたか?」
トパーズが聞いた。
「そうね。私の頭でも出来ないことがあることがわかったわ。情報を受け入れるのは得意だった。でも、受け入れるだけで無く考えなきゃいけないんだね。私が出来たから全員できるわけでも無く、私が出来ないこともある事を知った。ありがとう」
「スミレさん。それは自慢ですか?あと、私はトパーズさんに影響されました。私は魔界の勇者を目指してましたが、そこでどうしたいのか、何をすべきなのかが考えられていませんでした。それに比べてトパーズは福祉部門の勇者を目指すだけで無く、種族同権、機会均等など、なった後まで考えられているのは凄いです」
「アメジスト、褒めすぎよ。私は病院も学校も大事、でも三国の予算がずっと赤字だから、そこに対して、何か税を取らなきゃだめだと思うの、今の観覧税だけでは、立ち行かなくなってしまう」
「トパーズさんはどうしてそんなに国に詳しくなったの?」
スミレが疑問を口にした。
「本を読んで更に考える事をしていたんです。戦うセンスは全くなかったから、今は魔法学院という名前でも、魔法は必修じゃ無いから医療で使える事を学ぼうと思ってここに入ったから」
トパーズはやはり凄かった。ホワイト家もすごいと知るのはもう少し後になってからである。