4. 邪神様は考える
しまった。
額に手を置き「はぁー」と部屋に日々渡るほど盛大にため息をつく。
原因ははっきりしている、つい先ほどまで居た謁見の間というらしい場所から《転移》を使用して王城(アルヴァントリア王国 王都アリスにある アリス城と言うらしい)の上空へこの国の第三王女でもあったリエルを抱いたまま移動したのがまずかった。
あの後王族専用の大浴場の位置を聞き出し送り届けたまでは良かった。
ただその後リエルが出で来るまで大浴場の入り口で待っていると、転移を使用したにも関わらず召喚された時あの場にいた近衛兵と思われる二人組が数分もしないうちにすっ飛んできた。
面倒なので纏めて消し飛ばそうかとも思ったりもしたが、さらに面倒な事になりそうなので自重しておいた。
二人組は腰を抜かしてしまいそうなりながらも、一応勇者扱いの俺を部屋に案内していった。
40畳程あると言う部屋のは隅まで掃除が行き届いており家具は少ないもののその一つ一つが相当高価なものであると分かる。
部屋には5人は寝れるベッドに、誰かとお茶をしたり一人でご飯を食べるには十分なテーブルが置いてあり、他には大きめのソファーや本棚にタンス、クローゼットが置いてあった。
というかこれしか置いていなかった。
そんな部屋の中、本来なら謁見の間で行われるはずだった召喚に対する説明がリエルからされるとのことなので、リエルを待ちながらベッドに腰掛け、一人うなされるのだった。
あの後更に5分程うなされ続けだ末に立ち直ることができた。
一度冷静になると情報を整理する事にした。
今分かっている事を纏めるとこうなる。
城から勇者召喚にて召喚される。
召喚には高位神並みの魔力が必要。
召喚を行なったのはリエル一人と思われる。
↓
人間に実行できるとは思えない。
なら何故実行できた?
一つ目、何かしらの代償を払い魔力に変換した。
まずこれはほぼありえないと思ってもいいだろう。
もしこの方法を取ろうとしたのなら、この世界から最低でも千や二千の種族が絶滅してしまうだろうから。
二つ目、外部からの何かしらの干渉。
今のところはこれが最も有力な説になっている。
ただしこれに関しても一つ問題がある。
もしこの俺を召喚しようとすると高位神の中でも、召喚術に秀でており、なおかつ俺を召喚する事のできるだけの魔力を有しており、更にこの俺と俺に付いているアロヴィナスを始めとした高位神の上位に食い込む神々を相手にできるだけの実力者かもしくは、相当な自信家でありことが条件になって来る。
候補としては『主神』アルス.エルラスト
『転生神』エルメリスタ
『魔極』ファリア.ロット.H.E.アストレア
『聖剣』シオン.ロット.A.H.アストレア
『遊戯の神』リース(偽名と思われる)
『正妻』クロスト.アストレア
あとは極一部の神獣か守護者達くらいだろうか。
もし勇者召喚に干渉した何者かがいるのなら、この中なら『聖剣』『遊戯の神』、可能性は低いが『主神』辺りだろう。
まず『聖剣』と『遊戯の神』の二人(二柱?)だが、コイツらに限って言えば悪意云々というよりは自分達の暇つぶしの為に召喚に手を加えるだろう。
そして次に正の『主神』だが、もし彼女が手を加えたのならばこちらもある程度覚悟しておかなければいけない。
彼女が手を加えたというのならばそれはつまり、リスクを背負ってまで邪神側の『主神』として認知されている俺を召喚した事になる。
この場合は彼女もなりふり構っていられない緊急時である可能性が高い。
三つ目、リエルに間違って召喚出来るだけの魔力があった。
二つ目程ではないがこちらもそれなりには可能性はある。
これについてはまず普通の人間相手ならあり得ないと切り捨てる案なのだが、そうするにはリエルの名前がまずかった。
『聖剣』の家名のアストレアが付いている時点でもし俺を召喚出来るだけの魔力を有していると言われてもあぁ、またかと思うだけで済ましてしまえる。
この一族は過去には『聖剣』すら越える化け物達を輩出している天界でも有名な敵に回してはいけない一族として名が通っている。
もしリエルの魔力が俺を召喚出来るだけあった場合はただただ面倒くさい、この一言に尽きる。
この一族はある一定の実力があると面倒事を引き起こしたり連れてくる習性が度々見ることができる。
事実この一族は下界の中でも"一応"人族という劣等種の括りに入っているのに中には神殺しや神格化などといった神々すら恐れる化け物達が過去には神々すら巻き込んだ事件をいくつも引き起こしている。
関わりたくなくても関わってしまう、アストレアの血筋なのだ。
この場合は出来るだけ事件の中心人物に関わらないようにするか、もしくは関わりを深くするかの二択に限る。
中途半端に関わると何故か不運に遭遇してしまい死んでしまったり、存在自体が消滅してしまうことがある。
「はぁー」
どれにせよ面倒ごとは免れない。
ならせめて戻れるまでは楽しもうとおもうのだった。