1.邪神召喚
とある昔、歴代賢者の中で唯一神をも凌駕するともいわれた賢者がいた。
賢者の炎は海をも焼き払い、水は国をも吞み込み、風は大地をえぐり、光は冥界をも照らし、闇は世界を覆いつくしたという。
ただ、そんな偉大なる賢者にも一つ欠点があったという。
それは『やらかし』。
賢者のやらかしの中でも一つ、世界どころか天界すら揺るがした事件があった。
邪神召喚。
過去に魔王が出現した時、賢者は勇者召喚を行った。
そして召喚は成功した。
強く逞しく、行動力があり、仲間を思いやり、魔王を打倒できるだけの力を持った者が呼び出された。
たしかに、たしかに召喚自体は成功した。
ただそれが邪神...それも力とカリスマで邪神をまとめ上げ自らも邪神の主『主神』と呼ばれ、神々を統率する正の『主神』とも渡り合える存在だったというだけで。
「つまらん」
「何かご不満でもございましたか?」
「いやなに、最近我に歯向かうもの、それも骨のありそうなやつがおらんのでな」
「そういった輩は大戦時にすべて消滅させてしまったではありませんか」
「殺しただけのつもりだったのだがな」
「御冗談を、あなた様の相手が務まるのは、正の主神に邪神殲滅隊の隊長に、数千年前に神に昇進した聖剣くらいな物でしょう」
広い部屋に二人の男女の声が響く。
部屋は黒い鉱石の壁に銀細工が施されており、壁の高さは優に100メートルを超え、広さに至っては二人の背後にある壁しか見えない。
そんな部屋の奥に鎮座する銀細工の椅子に座る男とそれによりかかる女の絵面は、ひどく歪に見える。
男は100人が通り過ぎれば100人が振り返るような美女を数秒見つめると、女には見えない何かを凝視し始める。
アロヴィナス
Lv9812004000
称号¦慈悲の女神・***・***・***・***
状態¦敗者の刻印・色欲の封印・洗脳・能力低下
HP100000000 MP100000000
筋力100000000 耐久100000000 俊敏100000000 器用100000000 回復100000000 運0
青いボードのようなものが現れ、女の―--アロヴィナスのステイタスボードを見つめる。
敗者の刻印、大戦当初対邪神勢力の回復の要だった彼女を奪い去った時に付けたもので、ステイタスを下げるもので実際彼女のステイタスも1億程にまで下がってしまっている。
当時はまだ自身の実力に自信が持てずにいたころでいくつもの封印を施したものだが、もう既に色欲の封印と洗脳は名ばかりですでに意味をなくしている。
もう封印を解いても実害がないので近いうちに解いてやろうとすら思っている。
「どうかなさいましたか?」
「たいしたことでは・・・いやなに、お前の洗脳を解こうかと思ってな」
「そうですか。これで更にあなた様のお役に立てます」
たとえ意味をなしていなくとも、一応は洗脳を施しているので黙っていた方が良いかと思ったが、この通り洗脳等の術式は認識されてしまうとこの通り最高位のものであろうとも、使い物になっていない。
ならばと思い立ち、アロヴィナスの額に手をかざし解呪の呪文を唱える。
彼女は一瞬驚いたように眉を上げるが、何をしているかを悟ったのか目を閉じこちらに身を委ねて来る。
その姿はとても愛おしく、いつまでも見ていたかったがそれよりも洗脳の方が先だと詠唱に意識を戻す。
「立ち去れ」
洗脳解除完了。
本来なら何十句と必要な解呪の詠唱をたった一つに省略してしまう。
「いらん」
能力低下解除完了。
淡い青の光が彼女を包み込む。
こちらも詠唱を省略してしまう。
「仮の色欲 終わる粛清 囚われの姫 かりそめの時間は終わりを告げる 終わることのない大罪 終焉の名のもとに眠りにつけ」
色欲の封印解除完了。
今度は黒の混じったピンクの光が彼女を覆いつくす。
こちらは多少伸びたものの、本来なら文字通り幼子も老骨へとなるような時間のかかる解除を数句で終わらしてしまう。
最後に敗者の刻印を解こうと解除の詠唱を使用と口を開き。
「―クソガッ」
瞬間女の頭をつかみ投げ飛ばす。
数舜後、何かが壁に当たり爆音が鳴り響く。
その何かとは先程投げ飛ばされた女であり、驚くことに女が衝突した壁は大きく陥没してしまっているのに対し、肝心の女は無傷の状態で立ち上がる。
女は先程までの黒いドレス姿ではなく、白く輝く鎧を身にまといその両手には2メートルはありそうな蒼い槍を構え完全に臨戦態勢に入ってしまている。
しかし意識は自身を投げ飛ばした男ではなくその下に現れた魔法陣に注がれている。
男はその魔方陣に見覚えがあった。
『勇者召喚』
まだ正の主神に仕えていたころ、一時勇者召喚の管理をしていたことがあった。
内容としては基本的に、勇者召喚を行えるほどの魔力を集められる世界が少ないので、足りない分を肩代わりしたり、勇者として送り出すものの選定をしたり、勇者としての素質やスキルを与えたりなどをしていた。
「ありえん」
だからこそ漏れたつぶやき。
自身を召喚できるだけの、ましてや召喚が終わるまで拘束できるだけの力を持つのは高位の、それこそ一人で戦況すらも覆すような強力な神でなけれ不可能だ。
ならだれなのか。
すぐさま頭に浮かんだのは『主神』、『聖剣』、『魔極』、『転生神』の四人。
まず『主神』、『転生神』にはデメリットが大きすぎるので却下。
『魔極』は人格的にするとは思えない。
そして最後に『聖剣』だが、あいつなら暇つぶしにやりかねんが、そんなことをするくらいなら自分で勝手に降臨でもしているだろう。
やがて考えているうちに魔法陣の光がより一層強くなる。
「どちらにせよ、召喚されてみればわかる、か」
光はますます強くなり、辺りを飲み込んでしまう。
そして光が弱まりやがて完全に消えてなくなる。
「さて、我を召還したのは誰だ?名乗り出よ」
目を開けると同時にそう宣言し、息を吞む。
目を開けたそこには、淡いピンクの髪の美少女がいた。
手に入れたい、そう思いつつも相手の反応を待つ。
「ようこそ勇・・しゃ・・・・さ・・・いえ、そんな・・まさか、いえでも・・・あの、もしやと思いますが・・・ふぅ・・はぁ、じゃ、邪神・・様、でしょうか?」
「その通りだ」
「ははっ、そうですかさようですか」
そう言って美少女の女はその場にへたり込んでしまい、下腹部を黄色い液体で濡らしてしまった。
神暦の8243年黒の月8日に史上最高位の神兼勇者が召喚された。
まずここまで読んでいただき誠にありがとうございました。
正真正銘の素人作品1作目、いかがでしたでしょうか。
正直私はとてもドキドキしてしまっています。
まあ、そんな私のことは放っておきまして、今回の「やらかしちゃった賢者さんとやらかされた邪神さん」ですが、まだ名前すら決まっていない邪神さんの召喚までを描いてみました。
本格的に物語が動き始めるのはまだ先ですが、いくつか伏線を張っておきました。
いやぁ、にしても緊張しますねぇ。
誤字脱字等もそうですが、これから物語が進む中で設定にむらが出てしまうんじゃないかと思いましたり、そもそも物語が成り立っていないんじゃないかと思ってしまったりしました。
さて、次の更新ですがかなり時間がかかってしまうかと思います。
理由としましては、第一に私のタイピング速度が遅いのと、素人ですので文章を作りなれていないことが上がります。
それでも誠心誠意頑張っていきますので、どうか応援よろしくお願い致します。