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第四話:前編

運命の分かれ道


それは、生あるものなら必ず出会う事になるだろう分かれ道


それは、意識して出会う道なのかそれとも無意識のうちに出会う道なのか?


そんなの分からない


しかし、この選択は必ず何かしらの影響を与える


それは、一個人や周りだけに影響する小さなモノか?


それは、国や世界にまで影響する大きなものか?


そんなの分からない


またそれは、時に己の生と死を分けることもある


さらにその先に待つのは明るい道なのか暗い道なのかなんて事も・・・・分からない


分からない事だらけだが皆必ずどちらかの道を選ぶか選ばされる


そうしないと、先に進むことが出来ないから・・・・・・







第四話

ー運命の分かれ道:前編ー





side:ファルシア


レファルト神殿


ローレンス王国内にあるこの神殿

その歴史は古く、初代王である聖少女:ルキナが育ち、立ち上がったのがこの場所と伝えられ以後、代々王を選ぶ顔見世が行われる場所である。



「王、ね・・・・」


「うん?シア何か言ったか?」


部屋の窓から見える景色を見ながら俺の言った言葉に目の前のソファーに座っているイルガが聞いてきた


俺達は今、顔見世のためレファルト神殿近くの館の中の一室にいる


そのため、この館の回りは今クラント将軍率いる精鋭部隊が護衛のため取り囲んでいる


また、イルガも紺色の騎士甲冑と青いマントに身を包んでいる

そのせいなのかいつもよりその視線は鋭く感じる


因みに俺の服装は、まだ正規の服ではなく動きやすい短パンにシンプルな黒と白のTシャツのような服だ。


何でもない、と答えると首を傾げつつも視線を報告をしている騎士に向ける


俺も同じように視線を向けるとそこにはイルガとは違い一般的な銀色の騎士甲冑に身を包み、青に国のシンボルマークである白狼が描かれたマントを羽織っている青年がいた。


青年は、手もとにあるおそらく資料だと思える紙束を持っている。


「今回、行われる顔見世は例年と同じ内容で進められます。一応内容の確認をしますと入殿、国王殿下の祝言、両候補の入殿、審議、投票、発表といった流れです。また入殿の順番は、各同盟国の有力者及び諸大臣が入殿した後、第一王妃であられるサリア様。次に第二王妃であるクエナ様。その後に国王殿下が入殿します。そののち国王殿下の祝言が終わった後にラルク皇太子殿下、ファルシア姫殿下の入殿となっております。」


「入殿者の中に闇の者がまぎれているおそれは?」


青年の言葉に、いつもと同じ青と白を基調にしたドレスを着ているが一国の王妃としての顔の母さんが尋ねた


因みに闇の者とは、暗殺者や刺客あと、間者などのことを表す言葉だ


「はっ!一応入殿前に身体検査や身分確認を行っておりますがそれでもおそらく万全の対策とは言え難いでしょう。そこで、神殿内に私服姿の騎士達及び精霊術者の配置をしております。」


母さんの言葉に敬礼をしつつ、騎士の青年は答える


「外の警備に関しては?」


「その点に関しては、問題ありません。外の警備はローレンス王国の精鋭部隊千五百人。指揮を取るのは、我が国が誇りし大将軍であられるクラント将軍とロンヌ将軍が直々に指揮を取られております。あとは、べジナ副将も警備に当っています。」


イルガの質問に態度を崩すことなく返事をする


いくら階級がイルガの方が上でも年下に敬語を使うと言うことに不快と感じる輩がいるが、クラント将軍の息子である事や俺の直属の護衛と言う事も除いても間違いなくイルガは一流の騎士である。


その事が分かっているのかイルガに敬語を使っているという事に疑問や不快を感じていない。


「「べジナ副将?」」


はて?と言うような感じに首を傾げる母さんとイルガ


そういう俺も内心首を傾げている。


これでも母さんやイルガ、クラント将軍や騎士団のみんなそれに噂なんかでいろいろな事を知っているつもりだ。


勿論、全てが全て本当かどうか分からない。


現にロンヌ将軍については俺も良く話を聞いている



ロンヌ=ギルスタ


歳は、初老を迎えたあたりでクラント将軍が大将軍になる前、その任を任されていた人だ。

その武勇は、クラント将軍に勝るとも劣らないほどの云わば歴戦の将軍で実は、クラント将軍に大将軍の地位を譲ったのは他でもないロンヌ将軍だ。

「ア奴の才能は、若い頃のワシ以上だ。いづれこの国の剣となりうる者になるだろう。老いぼれは、とっとと退場する事にするわ。」といい今は、国境近くの砦の主をしている。そのため、派閥はどちらにも属していない


先王であった俺の父からも絶大な信頼があり、なおかつ人望も高い。



何でも今回の顔見世の護衛のため戻ってきたと言う話を聞いた


しかし・・・・


「べジナ副将・・・聞いたことのない名ですね」


俺とイルガの疑問を代表するように母さんが尋ねる


「はい。何でも最近将軍になった人物で、本来護衛を勤める筈だった者が突然行方知れずになり、代わりにこの任を任されたようです。」


そう答える騎士に俺は自分の意見を述べてみた。


「何で、他の将軍ではなく新参のべジナ副将が護衛の任に就いたのだろう?」


「はい。何でも国王殿下の直々のご指名らしいです」


「その行方不明の人物の素性と消息は?」


「はい。名はバムルト=カスク殿、ローレンス王国近衛騎士団に所属。

階級は、ローレンス王国近衛騎士団第3部隊部隊長及びローレンス王国副将。一週間前に部下数十名と共に行方不明。今現在捜索中ですが未だ行方をつかめておりません。」


騎士にお礼を言ってから思考をめぐらす


バムルト=カスク


あまり詳しい事は、知らないがまだ歳は二十代前半くらいでクラント将軍が将来期待する騎士だったったと思う。それとかなりの猛将であり、”忠”の者だと聞いている。



「そのべジナ副将と言う者に関しては?」


「あっはい。何でもジャルク家の長男との事です」


イルガの質問に答える騎士


その言葉に母さんとイルガの顔が険しいものになった。


きっと俺も似たような表情になっているだろう。


母さんが礼を言い下がるように言うと騎士は、敬礼をした後に部屋を出て行った。


しかし、母さん達の顔は険しいままだ。


そういう、俺の背中にも嫌な汗が流れた。



side:イルガ



伝達の者が出て行ったドアを見ながら手を握る


(ジャルク家の者がいると言う事は、あの王め本格的に動き出したか・・・・・)


そう考えてる俺に


「母さん・・・イルガ・・・」


視線を声の方に向ける案の定シアがこっちを見ていた。


その顔は険しい。

恐らく俺と同じ答えに辿りついたんだろう


「ジャルク家の長男がいるということは・・・・」


「ああ、どうやら今日仕掛けてくるのはまず間違いないだろう・・・」


テーブルを挟んだ向かい側のソファーでシアの隣に座っていられるサリア様の顔も何処か青ざめているように思える。



ジャルク家


元は古くから存在する名家であるが今は名だけの家である。その癖に名家意識だけは高く何かと人を見下している。

それだけならそれほど気にする事はないが厄介な事に、この家はラルク派の派閥の重鎮である。

さらに厄介な事にこの家は、反サリア派でもあり、サリア様自身昔たびたび襲われるという事が王妃になる前にあったと言う事を聞く。

そのため襲ってくる刺客は、この家から送られてくる場合がほとんどだ。

しかも面倒なことにこの家は、悪知恵が働くため追い詰める事が出来ない上に現国王の妻である第二王妃の血族と来たもんだからたまったもんじゃない。



「でっ・・・これからどうしよう?」


「とりあえず、現状維持のまま進めるしかありませんね」


「・・・・・・」


シアの後に続くサリア様の言葉に口をつむぎさらに手を強く握る


今更、警護指揮官の変更なんて通るはずもない

恐らくそのために今までべジナ副将の素性を隠していたのだろう


(くそっ、警護の情報をもっと詳しく集めてたらこんな事には・・・)


「おい!イルガ!!!」


自分の不甲斐なさにさらに指を強く握ろうとしたら突然シアが声を上げた。


「うん?どうし「手から血が出てる!!」ったてっ・・・・手?」


そういわれて自分の手のひらを見てみると・・・・


(ああ、なるほど)


確かに俺がずっと握りこぶしをつくっていた右手は、赤い果物を握りつぶしたかのようになっていた。


「あ〜〜、まぁこれくらいなら唾付けておいたら直る「これから任務があるのにか?」ぐっ。」


はぁ〜とため息をついてからシアは、ソファーから勢いを付けて立ち上がり俺の側まで来て右手を掴みポケットから青の貝殻を取り出す。


「おっお「ジッとしてろ。薬を塗るだけだ」い・・・」


そう言って貝を開くと確かに緑色の塗り薬のような物があった。


「少ししみるぞ」


そう言って薬を塗るシア・・・・って


「何だその薬・・見たことないぞ?」


「俺のオリジナルだからな」


そういって、薬の上からハンカチを巻く


「これでよし」


「おう、ありがとうなって・・・・・・年下のそれも己の主に治療されるとはな」


苦笑をしつつ右の指を開き、閉じをするが痛みはほとんどない。


痛みはないが・・・・


「臭いぞこの塗り薬」


「それくらい我慢しろ」


そのやり取りにクスクス笑うサリア様


コン、コン


すると、突然ドアからノックの音がした。


「はい、どうぞ」


「失礼します」


そういって部屋の中に入ってきたのは、俺も良く知っているショートボブの黒い髪の侍女のキニアさんだ。


「キニアどうかしましたか?」


「はい、そろそろ後支度をするようにとの事です」


そういうキニアさんの手にはおそらくこの儀式の服が入っている袋がある。


「そう・・・それじゃ、支度をすることにしましょう。騎士イルガも準備があると思いますからまた後で会いましょう」


そういうサリア様。


確かに、何かと準備をしておいた方がいいだろう。


そんなことを考えていると


「それとも・・・着替え手伝ってくれる?」


そういって艶やかな声でドレスをずらし白い肌の肩と豊かな胸の谷間をこちらに向けるサリア様・・・・・って


「い・・いえ!!・じ・・自分・・もじゅ、準備がありますので・・・・その・・・・失礼致します!!」


そういって部屋を、飛び出る。


部屋の中からくすくすっと笑い声が聞こえたような気がするが聞こえなかった事にする。


あの方のからかい癖は、今に始まったことじゃないむしろ昔から色々とこうゆう事をしてくる(例えば風呂に入ってくるとか・・・)。


しかも一児の母でありながら未だにその美貌は衰えていないからやられているほうは、堪ったもんじゃない。


だけど・・・・


(俺に母親がいたら、きっとこんな感じなんだろうな)


そう思いながら俺は、己の準備のためにおそらく騎士団のみんながいる部屋に向かう



side:サリア


キニアから服を受け取り、着付けに来た侍女達に礼を言いつつも自分で着替えるといい部屋を出てもらった。


(きっとアノ人は仕掛けてくる)


ジャルク家の名が出る前からなぜかそう確信していた。


初めて会った時もアノ人は、私じゃなく私という”物”を見ているような目だった。


私が夫と結ばれた日からもその目は、変わらずむしろ強くなってるように思えた。


それもシアを産んでからなおさら強くなり新たに怒りと憎しみ言うものが宿った・・・・


怖い・・・


あの目が・・・


「母さん?」


アノメガ・・・・


「母さん!?」


コワイ・・・・


「母さん!!」


「え?」


ふと手を引かれる感覚に思わずそちらに目を向けると心配そうに見つめてくる着替えを終えた愛娘の姿があった。


「どうしたの?顔があおいって母さん!!/////」


思わず抱きしめて慌てるシアに思わず笑みがこぼれてしまう


ファルシア・・・私の愛しい娘


私とロキナの絆の証


ロキナが生きたと言う証


男の子ぽっい所も有るけど優しい私の自慢の子


本当は、こんな権力争いの中に居たくないけど私がいなくちゃ迷惑がかかる人たちがいる


そのせいで巻き込んでしまった子


そして、アノ人に命を狙われている


(絶対に死なせない・・・ううん、違う死なしちゃいけない)


この子を護るそれが私に出来るこの子への罪滅ぼしだから・・・


「母さん、苦しい・・・」


その声に、抱きしめていた腕を緩めるとそこには私とおんなじ髪色にロキナと同じ色の瞳の少女。


「ごめんなさい。少し考え事しちゃった♪」


「少し考え事しちゃった♪ってそろそろ行かないと時間まずいよ?」


そういって時計を指すシア


確かにそろそろ行かないとまずい時間帯だ


「う〜んそうね♪でもその前に・・・・」


首を傾げるシアに私は、首に掛けていた物を外した。


それは、七センチくらいの大きさで真ん中に空色の真珠をつけた盾の形をしたアミュレット


わたしがロキナから初めてもらった贈り物


それを、シアの首に掛ける


「母さんこれは・・・」


「御守り、貴方のことを護ってくれますようにと願いを込めてね♪」


ふ〜んと言ってアミュレットをいじるシア


その様子に笑みをこぼし、額にキスをする


「なっ!!」


「くす♪行きましょう」


額を押さえて赤くなるシアに微笑みドアに向かう


そしてその手前で止まる


「母さんこんどはな「シアは、今幸せ?」にって・・・なんか言った母さん?」


なんでもないっと言って目の前の扉を開ける







ロキナこの子を護って・・・・・・・













お久しぶりです。

壬狗露です。

久しぶりの投稿です。

今まで諸事情により投稿できませんでした。

楽しみにしているかたがいらっしゃいましたら誠にすみません。

今後もしかするとこのようなことがあるかもしれませんが今後とも我が道を行くをよろしくお願いします

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