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第二話

夢を見た


俺がまだ燈月刹那だった頃の夢


まだ真新しい道場の中


必死に竹刀を振るう幼い自分


幼い自分に、普段の豪快さが嘘のように真剣な表情で自分に竹刀の振るい方を教える親父


そして・・・・・


少し離れた場所で座り、そんな幼い自分と親父を優しい笑みを浮かべつつ見つめる母さん


親父の終了の言葉と共に母さんに向かう幼い自分


そんな自分を困ったようなでも相変わらず優しい表情を浮かべ、幼い自分の話を聞きつつ、汗を拭き褒める母さん


いつもの豪快な笑みを浮かべつつこっちに向かってくる親父


そう。これは、夢


まだ、幼い自分が家族の温もりと幸せを感じていた頃の日常の日々


もう、戻る事の出来ない思い出の1ページ


燈月刹那の記憶


次第に薄れていく意識に目覚めの時間が近い事を悟る


そして、意識は目覚めた





第二話

ー第二の人生ー






温かな日の光、鳥の鳴き声に薄っすらと目を開ける


そこは八年間で見慣れた豪華な部屋


しかし無駄な豪華さはなく、一つ一つの家具や置物などの調和の取れた部屋


まだ、すこしぼーっとしていると



コン コン



静かにでも規則ただしいドアをノックする音


「はい」


返事をする俺の声も高い


「失礼致します」


俺の返事を聞いて入ってきたのは、ショートボブの黒い髪で白のシャツと黒のスカートの色が特長的な服を着た女性だった


まぁ、俗に言うメイド服という奴だ


「おはようございます、ファルシア様。昨晩は、良くお休みになれましたか?」


「おはよう、キニアさん。寝すぎなくらい良く休めたよ」


そうですか、と俺の返事に少し笑みを浮かべるキニアさん


「下で奥様がお待ちになっております。」


「母さんが?」


何だろうと考えるがこれといってこころ辺りがない


「いったいなんだろう?」


「そのことに関してもお話になるそうなので来てくれということです。」


考えても仕方がないか、と自分で納得しキニアさんに渡された服を受け取る


「とにかく行ってみるか。ありがとう、後は自分で出来るから下がっていいよ」


失礼致しました、と返事をして部屋を出るキニアさん


それと共に着替え始める俺


ふと、視線を動かせば部屋に置いてある大人くらいの長さの鏡が目に入った


そこに、写っていたのは・・・・・


蒼と銀が混ざった様な色の髪を腰くらいまでに伸ばし、瞳は綺麗なエメラルド色で、意思の強そうな目つきにまだまだが幼いが十分なほど整った顔立ちの十歳くらいの美少女が写りだされていた。


そこで呼ばれているのを思い出し慌てて身支度の続きをする


長い髪は、首らへんで一つにまとめる


寝巻きを脱ぐと肌の色は、雪のように白い


まだ未発達なその胸の中心には、トランプのダイヤの様な形をした緑色の小さな刺青のようなものがあった。



ファルシア=レジェンス



それが少女の名であり,かつて俺こと燈月刹那の転生を果たした姿だった。



ローレンス王国第一位後継者


それが今の俺の立場だ


ローレンス王国は、今は亡き・・先代である俺の父ロキナ=R=ローレンスの善政のおかげで今最も力のある中立国である


まぁ、力があると言っても5大国に比べれば劣るけどね


その五大国というのは、


工業や化学などの技術力の高い”ボルティグ共和国”


魔法の聖地と呼ばれる”ツパァルト国”


闘技場が有名な戦士の国”ジェレイド帝国”


心優しき魔族が住まいし国”マクルド”


天族と幻想種の住まいし国”二ハルト”


これらを五大国という


あとは、ローレンス王国みたいな中立国


それと、いまだに謎に包まれた巨大な森林地帯”ゲルニアの森”がある


最近はこの、五大国が同盟を結んだ関係で比較的戦火も落ち着いてきたが相変わらず”ウォーカ”の被害にあっている国も多いらしい


あっと、ウォーカっていうのはいまだに謎に包まれた異形の生き物達をまとめてそう呼ばれている


ウォーカは、比較的に旅人や町を襲うが極稀にウォーカが群を作り国を襲い乗っ取ると言うこともある


力はまちまちだが決まって異常なほどまで生命力が高い


何処から生まれ何処にいるのかわからない彷徨う者達それがウォーカ


そんな中ローレンス王国は、三方を山に囲まれ背にはアルタ海があり、鉄壁の護りと貿易で力をつけていた。


おっと、そんなことを考えていたら目的の場所に来た


コンコン


どうぞ、という声と共にドアを開ける


ガチャ


「遅くなってごめん!母さん」


開けたドアの先に居るのは、俺と同じ色の髪を腰まで伸びるストレートヘアーにし、水色の瞳は優しくも何処か逆らう事の出来ない風格を感じる。

もう、三十路を過ぎたのにまだ下手したら二十歳前と間違えられそうな美貌。

白と青のドレスがその人の持つ清楚感を引き立てている。


サリア=R=ローレンス


ローレンス王国第一王妃であり、俺の母親だ。


「あら、シア。もう来たの?別に急いでくる必要なんてなかったのに・・・・」


そういって、俺に近づき頭を撫でる母さん


ちなみにシアと言うのは、愛称である


「キニアさんが母さんがお・・いや私を呼んでいるって聞きましたから・・・・」


いつものように俺と言いそうになった言葉を言い直す


「別にここにいる時は、自分の喋りたいように喋って構わないわよ」


そんな俺に笑いながら頭を撫で続ける母さん


「うんじゃ・・・ねえ母さん俺にいったい何のよう?」


いつもどうりの喋り方に戻る俺


「相変わらず男の子みたいな喋り方ね・・・」


そりゃ、魂の記憶は男ですから・・・・


「それで、話っていったい?」


再び聞いてくる俺に、母さんは顔色を曇らせる


「かあ「さっきお城から手紙が来てね・・・明日、あなたの顔見世に行くことになったの」!!!・・・」


思わず固まる自分


それに気づいたのか俺を優しく抱きしめる母さん


「大丈夫。今回は、クラント将軍も帰ってきているから・・・・大きく動く事が出来ないはず・・・それにあなたは私やイルガ・・それにキニアが守るから・・・」


絶対に死なせない


そう小さな、でも覚悟に満ちた声でつぶやく母さん


それに、俺は唇をかむ事しか出来ない






ロジェスト=R=ローレンス


現ローレンス王国国王であり、俺の父親のロキナの実の弟であるこの男


おもだって行動はしないが俺の命を狙っている


もともと馬の合わない兄弟で二人の意見は、いつも食い違ってばかりであったらしい


まずは、周りのことより自身の国の力を増す事を考えたほうがいいと貿易国化を唱える父


それに対して、今こそ武力を振るうときと軍事国家化を目指すロジェスト


結局、先々代の王である祖父の遺言どうり父が次期国王になった。


たしかに、このままいけば俺が跡継ぎになる


しかし、ロジェストは俺ではなく自分の子であるラルク=レジェンスに継がせたいと思っているらしい


それだけならまだ俺の命を狙う理由にならない(何らかの理由をつけて追放すればそれですむ)


しかし本当の理由は、俺が親父と母さんつまりロキナとサリアのただ一人の娘だと言うのが原因らしい


その昔まだ青年になったばかりの親父とロジェストは、自分の領地の視察の帰り道に孤児院で働いていた少女・サリアに一目惚れをしてしまったらしい


もうわかっていると思うが差し出された二つの手受けたサリアは、ロキナの手を握った。


もともと、他人を思いやる優しさを持ったロキナと世界は自分を中心に回っていると信じているロジェスト。


競う前にもう既に勝負はついていたのかもしれない


そして、親父と母さんは結ばれた。


しかし、母さんは俺を産むのに大変苦戦しもう子供が産めない体になってしまったらしい


そんな訳で、ロジェストは俺の事を目の敵にしている


母さんいわく目つきと瞳の色が父親似らしい


そのため襲われた回数は、両手両足の指を足しても足りない


また、王国の中にも孤児である母さんの血が混ざっている俺より大臣の娘の血を引くラルクのほうが跡継ぎとして正しいと言う輩がいるらしくそのため今、王国内は俺とラルクの二つの派閥に分かれている


ちなみにクラント将軍は、俺の派閥側の重鎮でイルガはその息子であり俺の護衛だ。


国家のシンボルの白狼から取ってローレンスの爪牙と恐れられている大将軍クラント


さすがのロジェストもクラント将軍がいるときには行動できないらしい


それとまだ十四だが父親を越える才能の持ち主と言われているイルガ


キニアさんもなにやら武術の心得があるのか只者ではない


現に昔襲ってきた刺客を無手で取り押さえていたし・・・


そんな訳で城の中に住んでいる事が出来ずに本来は暑さから逃れるために建てた離宮に最低限の使用人とキニアさんとイルガそして母さんと俺とで暮らしている


本来自分の身は自分で守ると言いたいところだが十歳の身体ではいくら家の流派の知識がわかっていても体がついてこない


毎日ひそかに訓練をしてだいぶ馴染んできたがまだまだ心もとない


そのため守られてばかりの自分に唇を噛み締める






朝ごはん食べに行こうか、という母さんの声に頷き、手を繋ぎ部屋を移動する


いま自分にできる事をするために・・・・・・・・








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