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第七話 変化

 学校からの帰路を第四小隊は、特に理由がなければ全員で帰る。メンバー全員が高等部の校舎に程近いアパート『大和荘』に暮らしているからである。が、今日はライズが一人、大和荘に近付くだけである。


 見事に偶然の重なった日だ。クルルはライズとのデート準備という理由でシルビアとエスポワールに連れて行かれるし、クレアは買い物があると早くに退散、ウィルはクレアが大学部に頼んでおいたという新しい武器が完成したとかでいなくなった。ライズも、少し事情があっていつもより遅れた帰宅となっている。


 ライズの事情というのは、およそ三十分前まで遡る。



『モンスター小屋の前で待っています』


 下駄箱にそう書かれていた手紙が置かれていた。新たなモンスター小屋は警備を強化し、非常事態には警報で周囲の人物に知らせるようにしていた。が、人が少ない事には変わりない。ライズは嫌な予感を察知していた。


 モンスター小屋を破壊した大学生の名前はジグ・ペインと言う事がケンの情報でわかった。顔もその時見せられ、覚えている。端末で入力された文字であるために誰が下駄箱に入れたのかは判断できないが、ジグがライズ達を逆恨みし復讐しようとしているという予想が合っているならば、この手紙もジグが出した可能性は非常に高い。


 下駄箱まで一緒にいたクレアとウィルに悟られないようにモンスター小屋に向かったライズを待っていたのは、意外な人物であった。


「あの……ラ、ライズさん?」


 おおよそクレア程の背丈の女子生徒が、そこにはいた制服から察するに軍事学科ではない。制服のリボンはライズの袖口に描かれた線の色と同じ紺色。学年は同じであるらしい。


「はい、俺はライズですが」


「その、この前の試合観ました!」


 彼女が延々と何かを話している間も周囲を警戒していた。そのおかげで何を言われていたのかはよく覚えていないが、意を決したように語気を強めて放ったその言葉で、ライズの警戒は一気に解かれた。


「私、ライズさんの事が好きです! よろしければ私と付き合ってください!」


「……え?」


 思えば、呼び出された先に女性が待っていたのだ。告白されるという事も視野に入れるべきだったと、ライズは今更ながら後悔した。



 結局、告白は断った。話を聞いていなかったから、などという理由ではない。単純に、初対面の人物と恋仲になれないと判断したからだ。


「俺はあなたを知らないし、あなたも俺を知らない」


 そう断ると、彼女は目元を押さえながら走り去って行った。まだライズが他人を拒絶していた頃、数回か告白された時に使っていた断り文句ではあるが、今回は拒絶したわけではない。少なくとも、走り去るような事がなければ連絡先の交換をしようとも思っていた。しかし、彼女がどう捉えたかはわからない。もしかしたら、冷酷な人間と思われたかもしれない。


「どう断れば良かったんだろうな」


 ウィルならその辺りの事も話しやすい。明日にでも機会があれば相談してみようと考え事をしていたら、いつの間にか大和荘の近くまで来ていた。


「……?」


 大和荘の二階。それもライズの部屋の前に女性が立っていた。インターホンとノックを数回おきに繰り返し、肩を落とす。来客などを珍しく感じながら、ライズは話しかける。


「どうかしましたか?」


「え、はい!?」


 女性が振り向き、その容姿が露わになる。


「…………あ」


 彼女の髪型には見覚えがあった。丁度二週間前、先輩二人に誘われ小隊に入った日の事だ。この大和荘に引っ越してくるとかで、場所の確認に来ていた。確か名前はエレン・カクタス。ミューズ学園の優等生だったかと記憶している。


「ああ、エレン……さん? 今日が引っ越しの日だったんですね」


「はい。二○一号室に済む事になりました、エレンです。挨拶しようと思ったのですけど、誰もいらっしゃらないようで……」


「ごめんなさい。今日はみんな用事があって帰りが遅くなるみたいで、俺も少しあって、遅れてきたんです」


 エレンの口振りから察するに、まだ誰も帰ってきていないらしい。先輩二人とクルルとは、同じアパートで暮らす住人として大きく出遅れたが、エレンとはそんな事もないようにしたい。そう思い、他の面々が帰宅するまで茶でも振る舞おうかと二階に上がり、鍵を取り出す。


「俺はライズ・デュエルです。軍事学科四年生、第四小隊に所属しています」


「それじゃあ私より一つ年上なんですね。よろしくお願いします、先輩」


「あはは、よろしく。みんなもうすぐ帰ると思うけど、お茶でも飲む?」


「えっと……はい。それじゃあお邪魔します」


 軍事学科は別学年との関わりが薄い。そのため先輩と呼ばれる機会もあまりない。現にライズも、先輩などと呼ばれたのは数えるくらいしかない。その呼び名にむずがゆさを覚えながらも、鍵を挿し回す。


「……ってええええええええええええええっ!!」


 存外近い距離で叫ばれる。耳の奥が震え、鼓膜が痛覚を訴える。


「……どうしたの」


「あ、あなたが、ライズ君?」


「そうだけど」


 自分の名前を知っているという事は、二重紋様関連だろうか。そんな予感が頭をよぎるが、この学園に来たばかりのエレンがそんな事を知っているとは思えない。


「……お、覚えてない?」


「……二週間前にここに来た事ですか?」


「そうじゃないわよ。十一年前! 一緒に遊ばなかった?」


 十一年前という言葉にはあまり良い思い出はない。二重紋様が発現し、ライズが心を閉ざした時期と一致するからだ。だがしかし、それとは関係のなさそうな彼女の発言に、ライズは妙な考えもなく記憶を反芻する。答えは、すぐに見つかった。


「……エレン……ちゃん?」


 二週間前に覚えたデジャブのような感覚の正体がわかった。随分と前、ライズはエレンと出会っていた。


 十一年前、半年間だけ隣の家に暮らしていた紫の髪に紫の瞳をしたお転婆少女、エレン・カクタス。不意な再開にライズは懐かしみを、エレンは絶望を覚えていた。



「……つまり、実家とは疎遠なのね?」


「うん。ここに入学してから全く帰ってないし、連絡もしてない」


 茶をすすりながら互いの状況をまとめる。ライズは、自身に二重紋様が発現し家から追い出されるようにこの学園に来た事。他人を拒絶する生活をしていた上で最近周囲のおかげで友人ができた事、小隊に入った事を告げた。一方でエレンは親の都合でこの学園に編入した事、親から一人暮らしをするように告げられた事、校舎に近いからという理由で決めたこのアパートが予想以上に古かった事、そして良家の生まれであるライズに頼ろうとした事を告げた。


「最悪の展開だわ……」


「そもそも一人暮らしするよう言われたのに俺を頼ろうとした時点で間違っているような」


「私にこんなボロアパートで暮らせっていうの!?」


 確かに古いアパートだ。幽霊が出るという噂もあるし、夜になれば周囲も不気味な雰囲気に包まれる。よほどのオカルト好きでもない限りは特に女性はここで暮らすのは避けるかもしれない。


 ここまで考えた所でここに暮らしている人の男女比が全くのイーブンである事に気付いた。あの二人は幽霊など恐れないだろうし、気にする事もないだろう。


「となると、少し遠いけどマンションに入るとか寮に入れてもらうとか」


「寮はみんないっぱいだし、マンションは相部屋しかないでしょう?」


「……? それだと、俺を使って何をしようとしたんだ? どっちにしても一人暮らしは無理だけど」


「懐かしい顔に会ったのよ? きっとお父様も同じマンションになら入れてくれると思うわ」


「俺が寮にいたら?」


「近くのマンションに入れてもらえるようにする予定だったわ」


「…………」


 話を聞いて思ったのが、エレンは考えが驚く程甘いという事だ。そもそもなぜ都合良く住所も知らない相手と再開できると思ったのだろうか。いや再開は出来たのだが、昔の友人がいるからとて一人暮らしをするという言葉を取り消すだろうか。ライズはエレンの父親を知らない。故に断言などできないのだが、彼女の言っている事はどうも的を外している気がする。


「僕に出来る事は多分ないけど、どうする? エレンちゃん」


「どうするもこうするも、ここで暮らすしかないじゃない…………っていうかちゃん付けはやめて、恥ずかしい」


 俯いて、何度も溜め息を吐きつつ時々茶を口に運ぶ。そこでライズはふと気になった事を訪ねてみた。


「でもさ、エレンはここの住人達に挨拶しようとしてたんだよな」


「そりゃあ少しの間だけでもお世話になるんだもの。礼を失してはミューズ学園第三位の名が廃るわ」


「うん。だったらそれでいいじゃないか」


「え?」

「その気持ちがあれば、ここでもやっていけるよ、きっと」


 エレンの性格がどのようなものだったか、少しずつ思い出してきた。かなりお転婆だった記憶はあるが、悪い人間ではない。安心してみんなに紹介できるだろう。


「……何か、変わったわね」


「変わった?」


 確かにライズは変わった。しかし、変わる前の、他人を拒絶していた頃のライズをエレンは知らないはずだ。


「私と遊んでた頃は、もっと活発だった」


 その言葉を聞いて、十一年前の事を言っているのだと気付く。しかし、あいにくライズは十一年前の自分がどのような人物だったのかを覚えてはいない。完全に捨て去ったと思っていた過去だ。時たま思い出に浸るような事もない。記憶から抜け落ちていても、何ら不思議ではない。


「だとしたら、そうなのかもな」


 エレンの知る自分とはどのような人物だったのだろう。活発であったと言うが、これでも以前よりは見違える程活発になったのだ。よほど元気な少年だったらしい。


「……所でエレン、さっき言った学園三位って話だけど」


「スルーされるかと思って冷や冷やしたわ。そうよ、私はミューズ学園軍事学科第三位の実力を持っているわ」


「エレン、三年生だよな?」


「そうよ。凄いでしょ」


 ミューズ学園というのがどれほどの規模でどれほどの実力者が集まる学園なのかは知らないが、少なくとも三年生にして学校内で上から三番目という実力は、ライズにも光り輝いて見えた。


「というか、やっぱり軍事学科なんだね」


「あら、昔の私とは思わないでね。二重紋様だか何だか知らないけど、ライズにも負けないんだから」


「それは頼もしいな。そこで相談なんだけど……」


 思わぬぼた餅を見つけ、ライズの口角がつり上がった。



「ふーん……」


 ライズとエレンを除き大和荘に最も早く帰ったのはクレアだった。早速エレンの紹介をライズとの関係を含めて済ませる。すると目を光らせ半ば強引に部屋へと上がり込ませ、エレンをまじまじと見つめる。


「うん、採用」


「何がですか!?」


 ウインクをしながら親指を突き立てた手をエレンに差し出す。何が何だかわからないエレンは混乱し声を少し荒げる。いや混乱というよりは怯えているといった感じか。


「ライズ? 何なのこの人!?」


「第四小隊隊長、クレア・ラディカリィ先輩」


「第四小隊ってあなたのいる隊じゃないの! しかも隊長って……これじゃただの変人だわ!」


「ごめん、まだこの人との付き合いは数週間だから俺もよくわからないんだ。でも変人だとは思うよ」


「あれぇ!? ライズ君て私を変人だと思ってたの!?」


 いやはやエレンは初対面の人間によくここまで言えるものである。クレアもノリが良い。やはり良好な関係は築けそうだ。


「……本当にクレア先輩、何やってたんですか?」


「何って、小隊に入って戦力になれるかの確認よ」


 ライズはまだエレンをここに連れてきた目的をまだ話していないはずだが、見事に彼女は思考を先回りしている。まだまだ適いそうもない。


「それで、小隊に入ってくれるのよね」


「そもそも小隊という制度がよくわかりません」


「少人数で戦って勝って優勝すれば授業料とかの金銭面で優遇されるわ」


 非常にざっくりとわかりやすい餌で釣る。しかしエレンにあまり効果はないらしい。


「授業料は親が払うから……」


「こいつの家、大きいんですよ」


「そうねえ……MVPになれば、可能な限りで学園側が願いを叶えてくれるわ」


「ちょっと詳しく聞かせてください」


 予想外の所に食いつく。そういえばエレンの願いは大きな寮やマンションに移る事だったか。


「言った通りよ。シーズン通して最もチームに貢献したプレイヤーがMVPに選ばれるわ。過去の願い事には何があったかしら」


「俺の覚えてる限りでは、小隊加入学年の下限取り払いとか、当時の六年生学年ランキング一位と決闘だとかがあったような気がしますけど」


 かつて小隊に入るには四年生以上という条件が必要だった。まだ戦闘に慣れていない下級生達が激しい戦闘により故障したり自信喪失をしたりする事のないようにという配慮からあった制度なのだが、その考えも時代の流れによって廃れ、技術面や科学面においても下級生の実戦的訓練が発達し下級生と上級者の実力に乖離が見られなくなった。そこで二年前、MVPを獲得した選手の願いが小隊加入学年下限の取り払いである。


「惰性だったとはいえ、永い事慣習だった学年フリーの制度を取り入れるくらいには、この学園は寛容だわ。もちろん他人に迷惑が掛かるような事は無理だけれど、多少のわがままは通るわよ」


「うーん……」


「そうだなあ……明日、練習の様子を見ればいいよ。そこで決めてもいいし」


 小隊に是非とも加入させたいのはわかるが、あまりにもクレアの説明はざっくりとしすぎている。その辺りの説明含め明日の練習にエレンを誘う。


「いいんですか?」


 エレンがクレアに訪ねる。


「問題ないわ。隊長か副隊長が許可すれば練習場には誰でも入れるし」


「よし決定だ。明日の朝八時、迎えに行くよ」


 ライズとしても、エレンが加入するというのは心強くあった。顔見知りというのもあるが、彼女の実力には期待しているし何より、人数的な差を解決できるというのがあった。


「ウィルとクルルちゃんに挨拶した? 二人には連絡するから、ここで待ってるといいわ」


「また鍋パーティするとか言わないでしょうね」


「何でわかったの?」


 「きょとん」という言葉がよく似合う顔でクレアが言う。鍋がこの辺りで流行っているのだろうか。



「こんにちは〜!」


 しばし雑談に花を咲かせていると、元気よく部屋のドアを開く声が聞こえる。ライズとクレアはその正体をいち早く察知し、部屋の主であるクレアが立ち上がる。


「クレア先輩、鍋の材料買ってきたよ!」


「鱈?」


「鱈!」


 レジ袋を手渡し、意気揚々と大好きな魚の名前を答える。以前の鍋から時間も経っているし飽きた訳ではないが、クルルの鍋好きには自然と苦笑いが浮かぶ。


「よう。帰ったぞ」


 後ろからひょっこりとウィルも顔を出す。両手にはレジ袋。どうやら二人一緒に買い物をしていたらしい。


「こないだと同じ味付けはアレだし、味噌鍋の材料買ったけど大丈夫か?」


「大丈夫よ、問題ないわ。エレンちゃんもこれでいいかしら?」


「えっ?」


 急に話を降られ逡巡する。


「夕御飯、みんなでお鍋にしようかと思って。一緒に食べるでしょ?」


「そんな……いいんですか?」


「もちろん。というか五人分あるから食べてって」


 少し照れくさそうに、しかし自分は歓迎されているという事を噛み締めながらエレンは首を縦に振る。予定が決まったと指を鳴らし、さっそくクレアはキッチンへと向かった。


「あなたがエレンちゃん?」


「は、はい」


「僕はクルル・クレッセント。よろしくね!」


 クルルが持ち前の人懐っこさで早速エレンとの距離を詰める。端から見ればどう見ても幼い子供が姉にくっついているように見えるのだが、これでもクルルの方が学生は一つ上である。


「俺はウィル・シルバーバレット。クレアと同じ五年生で、第四小隊の副隊長だ」


「よろしくお願いします」


 軽く自己紹介をすると、ウィルは不自然にライズの隣に腰掛け、耳打ちをする。


「おいライズ、何だこの美少女は」


「エレンですよ」


「幼なじみなんだって?」


「会うのは久しぶりですけど……まあそう言えない事もないですかね」


「かーっ! ファンクラブを抱える四年生のアイドルの次は美人の幼なじみってか? 色男は辛いねえ」


「そういうんじゃないですよ。少なくともエレンは」


 クルルの方は否定しないのかと、ライズの機微な心境の変化を掴む。ウィルとしては慌てて否定する姿を拝みたかったのだが、これはこれで収穫になった。


「ウィル先輩、何話してるんですか?」


「んー? いやあ、実はビッグニュースがあってな」


 ウィルは自分の鞄から新聞を取り出し、机の上に広げてみせる。


「えっと……『大どんでん返し!! 相性抜群の四年生コンビ「プッシーキャット」大活躍』……これは?」


「学園日報の一面だ。少し前のだけどな」


 学園内で起きた様々な出来事を集め、記事にする学園日報。有志によって作られているとも言われているし、学園側がプロの記者に頼んで作っているとも言われている。ともかく謎が多いのだが売上は上々な上発行部数が少ないためなかなか実物が手に入らない。そのため回し読みがよくされるのだが、この新聞も日付は小隊戦の翌日になっている。


「プッシーキャットって?」


「お前ら二人に付けられた異名だな」


 プッシーキャット。『子猫ちゃん』などと訳されるその言葉は、当事者であるライズから見てもなかなか的を射ているように見える。ただ欲を言えば、あまりにも迫力に欠けているだろうか。


「ライズ、そんなに凄いの?」


「おっ、エレンちゃんも観るかい? ライズとクルルの映像」


 今度は鞄から薄型液晶端末を取り出し、起動させる。しばらくそれを操作した後、画面をエレンに向けた。ライズとクルルもエレンの近くに移動し、画面を注視する。


 流れてきた映像は、クルルがガイアスを撃破する辺りの動画だった。ウィルが無謀な銃撃で隙を作り、弱まった攻撃の手を突くようにクルルが跳躍。ライズの剣を足場に更に跳躍し、自由落下による重力加速を利用してガイアスの脳天を直撃した。


「なぜ彼は動かなかったんですか?」


「ライズがこの時、剣を忍ばせておいてな。上に注意が行っていた所に剣を当てて、『蜘蛛』の紋様を発動したんだ」


 今思えば、よくもまああそこまで上手く行ったものである。クルルの実力が牽制になっていたおかげで注意がそちらに向かったというのもあるが、最初の電撃戦で場の空気が一気に緊迫したというのもあるだろう。緊張は判断を鈍らせ、実力差を埋めたり更に開いたりさせる。今回は埋める方に作用してくれたのだろう。


「プッシーキャットかあ……」


 異名が付けられるというのは割とある事例だ。クルルの『魔女の黒猫』に始まり、かつて第四小隊に属していた六年生三人は『バミューダ・トライアングル』の名で通っていた。他にも学年問わず、実力者には異名が付けられたりしている。クルルは確か、同級生の間で自然と広まったような記憶があるが、大抵は今回のように、学園新聞が発信源となったりする。


「二重紋様について何か書かれてますか?」


「ああ、『ライズ選手は試合中、複数の剣を触れる事なく操っているように見え、また本人が一瞬ながら答えたインタビューによると、現在学園内で密かに噂されている極めて稀有な特殊技能『二重紋様』ではないかとの声もある』だってよ」


 ひとまずは批判されていないという事実に胸をなでる。


「……なるほど、この学園はそうして互いを高めあうんですね」


 エレンがウィルに端末を返す。先程よりは幾分か真剣な眼差しで虚空を見つめ、次にライズを睨む。


「なら私はこの部隊で一番の実力者の座をライズから奪ってみせるわ」


「えっ……」


「今決めました。私、第四小隊に入ります。個人的にライズと戦って強くなるという事に興味が湧いたわ」


 エレンはライズの手を見る。紋様の浮かんでいない手の甲。しかし、そこから繰り出される『二重紋様』とやらの力をエレン自身対峙してみたいと思ったのだ。


「エレン、何か勘違いしてるけど……」


「ライズ、ちょっとベランダ行こうか」


 ウィルがライズの首根っこを掴みベランダに引きずり込む。抵抗はするものの、あまりに強引な誘いにえも言わせずベランダへ連行される。


「何ですか!」


「いいかライズ、エレンちゃんにはとりあえずお前が一番の実力者という事にしていてくれ」


「何でですか!」


 似た音の突っ込みを繰り返す。意図の分からない命令にライズも語気を強める。


「奪取したポイントはともかく、こないだの試合で最も評価されたのはお前だ」


「だから何ですか!」


「わっかんねえかなあ……女の子の期待を裏切るなって言ってんだよ」


 ますます言葉の意図が分からない。まさかと思い、ライズは一つの仮説を口に出す。


「まさか、本当の事を言ったらエレンが傷つくとでも?」


「近からずとも遠からずだな。勘違いとはいえあんな啖呵切ったんだ。本当の事言ってみろ。俺だったら恥ずかしくてクッションに顔埋めてジタバタする」


「子供ですかあなたは」

「まあいいから。それに、事実は現実を知ってからでも遅くないって」


 肩を叩きながら意味深な事を言う。どうもウィルは含みのある言い方が好きのような気がする。戦闘の時は判断力に優れた頼りになるガンマンなのだが、そこがいつまで経っても慣れない。


「さて戻ろうか。あんまり放っておくとクルルちゃんが爆弾発言しそうだ」


 一人そそくさと部屋の中に戻るウィルの背中を傍目に、ライズは星空を仰ぐ。蜘蛛の巣に付いた雨粒のような星だ。少し指で弾けば全て落ちてしまいそうな、そんな考えが頭をよぎる。


「あ……」


 そんな事を考えていたからか、巣に付いた雨粒の一つが自身の体重に耐えきれず落ちてきた。きらきらと光るその粒は遥か遠く星空の中で燃え尽き、消えた。


「……戻るか」


 願い事の一つでもすれば良かったかなどとロマンチックな事を考える。クルルにそんな事を言ったら笑うだろうか。いや、きっと目を輝かせて賛同するに違いない。彼女の顔を頭に浮かべ、部屋に入る。中では、浮かべていた顔がそのままでライズを迎え入れてくれた。



「よーっし! それじゃ今日の訓練始めるわよ! 今日はゲストもいるから気を引き締めなさい!」


 土曜日の練習場、第四正体が自由に訓練する事のできる部屋に、ライズとクルル、ウィル、クレアそしてエレンがいる。エレンは見学という事にはなっているが、訓練に参加したいらしい。積極的なのはいい事だとクレアも快諾し、今は訓練の簡単な流れが書かれた紙を読んでいる。


「なあ、ライズ」


「何ですか?」


 ウォームアップの柔軟体操をしていると、ウィルが肩を回しながら近づく。なぜかウィルは首元にファーのある厚手のコートを着込んでいるが、とりあえずそこには触れないでおく。


「エレンちゃんの武器って何なんだ?」


「さあ……昔遊んでた頃は俺しか紋様が使えませんでしたから」


 エレンはクルルの身の丈はあろうかという大きさのケースを持ってきている。以前、バンドをやるとかでクラスメイトの一人がギターを持ってきていた事があるが、その大きさとよく似ている。比較的大きな獲物であるのはわかるのだが、武器の形状まではわからない。


「それもそうですけど、先輩は一体どうしてそんな暑苦しい格好を?」


「イカしてるだろ?」


「イカれてます」


 もう昼下がりになれば初夏の陽気が服をじっとりと濡らすような季節だ。その中でコートを着るというウィルの服装は、端から見れば異常に見える。


「今日は廃墟戦や森林戦を想定した訓練をするんだよ」


 廃墟戦に森林戦とは、小隊戦におけるルールの一つだ。廃墟戦においては辺りに瓦礫や崩れかけた建物が、森林戦においては多くの草木が配置される。どちらもいかに身を隠し、気配を消し、相手を迅速に倒せるか。また奇襲が多くなる中でいかにそれの対処をするかが肝になる。


「それが厚着と何の関係が」


「よくぞ聞いてくれた。見ろ」


 ウィルがコートの前を開く。そこには、多種多様の銃がコートの内側に何丁も掛けられていた。


「これは……」


「スカウトの基本は軽装だ。相手に見つかってはいけないからな。だが武器の数を少なくしては任務にも支障が出る。だからこうしてコートに隠してる訳だ」


 ライズも剣をあらゆる場所に隠している。両手に持つ双剣の他に、両腕、両膝の横、背中に二本の8本を所持している。普段は全てを使う事などないが、いつどの状態からでも抜刀ができるようにするためだ。そういう意味では共感もできるのだが、それにしても暑苦しい。


「熱中症には気をつけてくださいね」


「ああ、ドライアイスを何重にもくるんだ物も内側に仕込んであるから、温度はあんまり変わんないだよ」


 対策はされているようで、これ以上は何も言わない。それにしても、去年はこんな格好をしていただろうかとライズは記憶を辿る。昨年の第四小隊は六年生がクローズアップされていたのもあるせいか、ウィルの情報が極端に少ないのだ。しかし実力が伴っていない訳ではなく、第七小隊との試合では三人を相手に数分間足止めをするという活躍を見せている。


(まさか、ウィル先輩って評価されていないのか?)


 昨日ウィルの持ってきた新聞には目を通したが、彼を評価する記述はおよそ見当たらなかった。それだけならクレアに関しても書かれていなかったし、単純に『プッシーキャット』という名前を付けてはやし立てたかったのだろうと思っていたのだが、どうもライズの考えには真実とズレているような気がしてならない。


「まあ、これの機能性に関しては訓練が始まってからだな」


 ウィルの言葉は嘘偽りのない言霊となり、ライズに思い知らせる。


 廃墟戦の訓練で、ライズ達二人は六体のばとろぼっとに大苦戦を強いられた。クレアの「まずは一回やってみよう」との言葉で、廃墟戦における立ち回りも知らない状況での戦闘とはいえ、あくまで訓練用の、倒される事が目的であるばとろぼっとに苦戦するのは、なかなか苦い経験となった。


 結局、六体の内五体をウィルが撃破。一体をライズが紋様で足止めしクルルが仕留める事で終了した。


「はいお疲れ様」


 肩で息をする二人にしたり顔で話しかけるクレア。こうなる事はわかっていたらしい。


「どうだったかしら?」


「物影を利用した連係攻撃、固まって行動すれば奇襲で分断されて各個撃破の態勢になる。後は割り出したデータから相手の苦手な立ち回りをする……一方こちらは動き方も知らずに生兵法で挑むもんですから、かなり厳しいです」


 ライズとクルルが倒したのは一体。しかもウィルが五体を撃破し完全に統率の崩れた一体を撃破したのみだ。


「ウィル先輩はどこにいるんですか?」


「ここだよ」


 五メートル程離れた廃墟の後ろからひょっこりとウィルが姿を現す。


「全くどこにいたのかわからなかった……」


「そりゃそうよ、ウィルの本業はスカウト。こういう隠れる場所の多い状況のが強いわ」


 改めて極東の国にいるというスカウトの同業種である「忍者」の存在を意識する。身を潜み誰にも気付かれる事なく偵察、工作、諜報、暗殺等をこなす隠密行動のプロフェッショナル。よくよく考えれば、それとよく似た戦いをするのだから、ウィルが他人に注目されないのは当たり前と言えない事もない。評価されないのではない、第三者から評価されてはいけないのだ。


「全く、情けないわね」


 一連の訓練を見学していたエレンが前に出る。その両手には、非常に少女らしい細腕にはとても似合わない大きな鎚が握られている。


「うおっ……!」


「おっきい……」


 感嘆する二人を見て、エレンは満足そうに鼻を鳴らす。


「さあ、クレアさん。さっきの機械を動かしてください」


「え? うん。いいけど……」


 クレアも少し驚きながらも機能を停止したばとろぼっとに近づき、スイッチを押す。ヴィーンという音と共に倒れていた身体を自動で起こし、自律した動きを見せる。


「三体でいいかしら」


「いいですよ」


 ばとろぼっとの後ろにある操作盤をいじり、何か入力をする。そして蓋を閉じ、クレアが数歩下がると三体のばとろぼっとが一斉に動き出す。


「無理はしなくていいからね」


「大丈夫です!」


 散開したばとろぼっとの内真ん中の一体に狙いを定めエレンは走り出す。


「そこだ!」


 物影に回り込み、ハンマーを振り下ろす。ハンマーの着地点は確かにばとろぼっとのいた場所を叩いた。しかし相手の反応が早い。回避と共にばとろぼっとは距離を開ける。


「逃がすか!」


 ハンマーを持ち直し、再び構える。


「その前に……」


 半身を捻り、後ろを振り向きながらハンマーを横に振る。鈍い風切り音は何の感触もなく振り抜けた。が、その軌道線上のやや奥に、ばとろぼっとの姿はあった。


「くっ……」


 ハンマーを振った隙は大きい。その隙を見逃さずばとろぼっとは攻撃を仕掛ける。


「なんのォ!」


 雄叫びにも近い声を合図に、エレンの右手の甲が光る。そして、まるで発泡スチロールでできた小道具を振り回すが如くハンマーは高速で振られ、ばとろぼっとを襲う。


「あれは……?」


 真っ先に反応したのはウィルだった。次にクレアがウィルに気付き、エレンの右手を注視する。


「……あっ!」


 クレアもまた、エレンの右手にある紋様に気付き、声を漏らす。


「さあ、次来なさ……」


 エレンがハンマーを持ち直し、振り向く。しかしそこには、二体のばとろぼっとがエレンの真後ろに回り込んでいた。


「いっ!?」


 機械らしい機敏な動きでエレンに足を絡め、そのままバランスを崩して倒す。柔道と呼ばれる戦闘術の動きになすすべもなく、エレンは倒れる。


「いったぁい……」


 エレンを転倒させたばとろぼっとが距離を取る。小隊戦のルールに則り、ダウンを取った相手を追撃するようにインプットはしていない。


「そこまで!」


 嬉々とした声でクレアが戦闘終了を合図し、エレンによって大破した一体を除いたばとろぼっとが停止する。笑顔のこぼれているクレアに対し、エレンは不満そうな表情をしている。


「凄いじゃない。その歳でばとろぼっとを撃破できるなんて」


「……」


「エレンちゃん?」


「全然凄くないですよ!」


 怒りを表に出し、エレンが叫ぶ。


「ロボットが接近していたのに全く気付けなかったし、スピードで全く追い付けなかった。そもそも最初の一撃を避けられた時点で距離感も攻撃のタイミングも掴めてなかった!」


 機関銃の如く自分への怒りをぶつけるエレンにクレア意外が唖然とする。エレンはそんな表情のライズを睨む。


「ライズ君」


「え、な、何?」


「ライズ君はあのロボット、倒せるの?」


「えっと……」


 それとなくクレアに目配せをする。視線に気付いたクレアは自信満々に頷いた。どうやら本当の事を話せというらしい。


「障害物のない白兵戦だったら四体まで同時に相手できる」


「はあ……やっぱりね。私の学園とここ、レベルが違いすぎるみたい。学園三位なんてよく言ったものだわ。ロボット相手に苦戦するんだもの」


 ライズにはエレンがどうも自分を責めすぎているように感じた。プライドが高く、なおかつ向上心も高いため弱い自分が許せないのだろう。しかし、必要以上に自虐的になる姿は見ていると痛々しい。


「そうね、確かに一対一の戦いならともかく、複数人の入り乱れる戦いは慣れていないみたいね」


「……」


 クレアの厳しい一言に、エレンは静かに唇を噛む。ライズはなぜわざわざ刺激するような事を言うのかと冷や汗をかく。しかしクレアの言葉は、沈黙を保っていたクルルの一言で色を変える。


「でも、僕も少し前までそれぐらいだったんだよね」


「え……?」


 信じられないといった顔でエレンが声を漏らす。


「今まで僕は単体行動で戦う事が多かったから、ばとろぼっとにも全く手が出なかったんだよ。エレンちゃんもそうだけど、廃墟戦の環境でいきなり三体を相手にして一体を倒した。そういう意味では、エレンちゃんは僕よりも凄いよ」


 クルルの発言に間髪入れずクレアが付け足す。


「あなたは自分の失敗を反省できる。しかも冷静に、的確にね。集団戦においてはその冷静で的確な判断がとても重要になるわ」


 そして、機械についての説明をする時のように目を輝かせ、言葉を続ける。


「エレンちゃん、あなたはもっと強くなれるわ」


「……!」


「それに、だ。エレンちゃんの紋様、それに興味がある」


 ウィルがエレンの手の甲を指差す。


「私の紋様、ですか?」


「ああ、それ……『星』だろ?」


 エレンが無言で頷き、ウィルはゆっくりと笑みを浮かべる。


 第四小隊に足りなかった歯車が、今音を立ててはめ込まれた。



「あの……」


 震えた声でエレンが呟く。手には凛然としたハンマーが握られ、紋様が発動されている。この状況であれば、エレンあるいはハンマーが触れている物、または触れてから数秒間の物であればエレンは『星』の紋様。つまりはその対象への重力操作を行う事ができる。


 彼女の両手はハンマーで塞がれている。残る『星』を発動する媒体はハンマーだけなのだが、それが何に触れているかというと、いやはや第三者の目から見れば誠に滑稽な、第四小隊の誇る高火力兵器にしてウィルの持つ切り札、電磁投射砲『ビーハイヴ』だった。


「何ですかこれ」


「我が第四小隊の誇る戦術兵器『ビーハイヴ』よ」


「そうじゃなくて、何で私はこれに加重を掛けないといけないんですか」


「反動を無理やり押さえ込むためね。昔は先輩がやっていたんだけれど、卒業して十分な運用ができなかったのよ」


 説明を受けた所でエレンは納得しない。泣きそうな顔で目線をライズに移し、無言で訴える。


「う……」


「……」


「……まあその、エレンの能力が活かされる機会と考えれば」


「こんなデカい銃の近くで活躍したくない!」


「よーし準備完了。起動する」


 エレンの叫びも虚しく、ウィルはビーハイヴを起動する。内部のモーターか何かが高速で回転するような音と共に銃身のあちこちから青い電気がバチバチと音を鳴らし、白い火花が辺りに散る。


「いやあああああああ!! 怖い怖い怖い怖い!!!!」


「大丈夫だ、急激に発生した電気が少し漏れてるだけだから」


「それ大丈夫じゃないいいいいいいいいいい!!」


 ここまで怖がられるとエレンが少しかわいそうになってくる。確かにライズもあの音と漏電と火花を近くで目の当たりにすれば恐怖を覚えるだろう。


「射角よし出力安定、誤差修正。エレンちゃん、思いっきり重力を掛けてくれ!」


「うわああああああああああん!!」


 悲痛な声に乗せてビーハイヴに重力が被せられる。見かけにはあまり変化は見られないが、砲身を安定させるために設置されている足が少し沈んだのはライズにも確認できた。


「上々だエレンちゃん!」


 六年生達の卒業以来封印していた戦術兵器『ビーハイヴ』の全力。それを引き出すためにウィルはそのトリガーを引く。第七小隊との戦いでは大男のガイアスを吹き飛ばしたその威力。それを三連続で打ち出す超弩級の砲撃。


 蜂刺『メテオライツハイヴ』。


 発射後に残されたのはそこに佇むビーハイヴの姿とトリガーを握ったままのウィル。そして設置した的を貫通して壁に焦げ後を作った弾丸の残骸に、ぺたんと床にへたり込みながら安心の涙を流すエレンだけだった。



 練習が終わった日の夜、エレンは部屋でこれからの事を憂いていた。今日のような事を実戦でやれと言われても自信がない。クレアは使う場面など滅多にないとは言っていたが、それでも可能性があるだけでエレンにとっては重荷だった。引き受けた以上、逃げる事はプライドが許さないが、嫌な物は嫌だ。


 そもそも最初からおかしいのだ。事情は知ったとはいえライズがこんな古すぎるアパートに暮らしているなど予想もしていなかった。しかも本人は否定していたものの、かわいい彼女まで引き連れて、幼なじみとしてえもいわれぬ嫉妬心が沸き上がってしまう。


 エレンの初恋はライズ。ではない。昔遊んでいた時にもお転婆なエレンとやんちゃなライズで遊ぶ内容に関して対立する事も多かった。そのためか、エレンはどちらかといえばライズの弟に気を寄せていたような記憶がある。だが、その弟がこの学園にいるという話は全く聞かない。ライズの話によると、自分がここに来たのは家から離すためだそうだから、ここに来る事はないだろうと言っていた。歳は確かエレンの二つ下、高等部の一年生になっているはずだ。


 もし、エレンが彼と出逢えたら、ライズとクルルのように仲むつまじくできるだろうか。昔に比べおしとやかになったものの、今日のような事があると取り乱してしまう。根本的なお転婆の気性が直らないのは、エレンの悩みではある。


 ここまで考えて、エレンと彼が恋仲になっているのを想像して顔が熱くなった。そして叶うはずもない恋に、少し傷心する。


 彼はどんな姿になっているだろう。ライズに似ているだろうか。幼い頃はあまり似ていなかったような気がする。そんな事で気を紛らわせながら、エレンは風呂場へ足を運んだ。

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