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産業政策・考(メモ)

今回のネタ本:小野善康『金融』岩波書店,2009年。

クルーグマン口調を真似てみているのでくだけた語調です。

 わたしは結構小野善康さんが好きだ(世間では、トンデモ経済学者、とみる向きもあるかもしれないのだけれど)。新書はぜんぶもっているし。なぜかっていうと,産業政策を支持しうる数少ない論者だからである。もっとも、わたしの苦手な山形さんは<a href="http://cruel.org/econ/ono.html">こんなこと</a>を言っている。

 だけどそんなもの時代によって変わるんだから,個別具体的な案を明示できるわけがない。小野さんの意図するところは,綾瀬はるかのCM(みらいサポート!)みたく経済を応援する政策(つまり産業政策)があっていいんだよ,というのを一般的に述べただけなのです。解決策がないじゃない、って言っている山形さんの批判はお門違いもいいところだとおもう。

 ともあれ小野理論だが,平易な解説は<a href="http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20100812">ここ</a>にある。

 一方,山形さんの小野理論への反論は<a href="http://cruel.org/econ/ono3.html">ここ</a>にある。曰く、財政政策に関する主旨は以下のとおり:「減税や失業手当などの政府移転 *1 は役に立たない公共事業とまったく同じ経済効果を持つ。その理由は,役に立たない公共事業をやらせるなら,何もさせずに資金を渡す失業手当と全く同じだからである」。

 だから「財源が税金でも赤字国債でも,またその規模がどうあっても,需要不足にもとづく非自発的失業がある限り,公共事業や公共サービスなら,それによって国民が直接受ける価値分だけの貢献があるが,減税や補助金などの政府移転なら経済の貢献はない」っていっている。ただ,勘違いしないでほしいのは,小野さんの言う「減税や補助金」ってのは,需要サイド,つまり消費者の可処分所得に対する「減税や補助金」ってことだ *2。

 ところで,小野さんは,山形さんが大好きなクルーグマンやバーナンキが推すインタゲ政策については,なんていっているんだろう。曰く「インフレ・ターゲット政策に実効をもたせるには,いくつかの条件が必要であり,それらをすべて満たすのは容易なことではない」だそうだ。基本的に「インフレこそが有効需要を増加させる手段」だとするものの、「それが正しいのは,あくまで貨幣が貨幣として機能し,人々がその流動性に疑いを持たない場合だけである」だそうだ。しかも「現実には,貨幣の代わりの流動性には金や宝石,安全な外貨 *3 があり,激しいインフレを作れば,貨幣への欲望は下がってもそれらの代替流動性が保有されるだけである」から難しいだろうな,とは言っている。たしかにな,と思う反面,どうだろな,ともおもったりするなどした。

初出:2010.8.21.


*1 : 消費者にかかる補助金

*2 : エコカー減税とか補助金とか

*3 : いまや安全っていってられるのか疑問だけど。わたし個人としては,ドル準備なんか資金としてじゃなくてアメリカへの発言力の手段の1つにしておけばいいとおもう。戦略的外交政策の必要経費の1つ。ほら,ちょうど中国みたいに。

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