ラブシック
私は誰からも愛されなかった。
父に謝る気なんてさらさらない。
居なくなって父が今よりも不幸になれば、この苦しみは報われる。
私を捨てた母に何故棄てたのか聞いてから去れたら良かったのにとは思う。
小学生の頃、引っ越して転校していったあの娘にひと目逢えたらと……話せたらと思うけど、叶わないや。
通っていた塾で同じ教室で過ごせたあの娘にも逢いたい……通っていた学校では話題に上がらなかったアーティストの曲を聴いてると知って話しかけられたのは良かった。
この二人は特に幸せであってほしいと願う相手……
リストカットしてこの世を去れてたらこの苦しみは続かなかったろう。
望みに望んだあのバンドの数々の未発表曲はこの先生きてても聴けそうにないから構わない。
私の知らない数々の他人はあっけないほどに死んでいくのに、私は死なずに生きてる不思議に嫌気がさす。
私が眠れる第二の寝室である墓は何処にも無い。
向こう岸で私に手を振ってくれる人は居そうに無い。
何も残せずに誰も悲しまれずに逝く。
希望の無い世界に長生きしようとは思えない。
死に囚われた私の眼前は鮮やかではない世界が広がっているだけだった。
家に押し入ってきたあの犯人に殺されていたかもしれない運命が今は羨ましく思う。
私が幸せであってほしいと願う人たちが幸福であればそれが良いや。 ……それで良いや。
これが私の遺書。