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資源が有ることで 小さくなったものも有る

 国債の大量発行は景気回復に役立った。国有の資源や土地という担保が有るのだ。裏付けのない国債発行で超インフレを招くようなことはなかった。

 これにより国内経済回復と共に人心も安定した。


 だが、どこにでもいつでも不満を抱え騒ぐ連中はいる。

 陸軍では大陸派と強硬派を削った。しかし完全にいなくなった訳ではない。海軍はごく少数になり監視が容易となり動きはない。

 陸軍が今度はやらかした。内部粛清で減らしたと思ったが生き残りの不満分子は地下深く潜った。


 二・二六事件である。

 天皇を頂上(あくまでもお飾り)とし軍人による政治を目指した陸軍内部派閥に満州進出の野望が絶たれた大陸派の残りカスと過激な思想家が加わり決起した。 

 この決起の準備は深く慎重にやったので直前まで気がつかれることはなかった。

 だが、慎重すぎて根回しが浅く、いくつかの部隊では決起指揮官に従わず逆に決起指揮官が拘束される始末だった。

 反乱戦力は不十分な戦力である事が別々に行動する部隊に伝わらずそのまま行動した。

 いくつかのテロルは実行できたものの、結果は陛下の激怒という反応に現れ呼称「賊軍」とされた。そして最後は武力で鎮圧された。

 陸軍は賊軍呼称されるまで、なあなあで済ませようとした事を国民に知られ国民の目は厳しかった。

 結局、五・一五事件同様の厳罰が下された。

 甘い処分で済ませようとした陸軍に向ける国民の目が冷たくなった。

 陸軍も海軍同様、外征軍としてではなく国防と治安維持(主に災害時の救助と復旧)を主要目標とせざるを得なかった。街中で高圧的に振る舞うことも有った陸軍将校もおとなしくなっていく。

 特高と共に居丈高に振る舞っていた憲兵隊も本来の基地周辺と軍人相手のみという活動範囲に戻った。

 特高警察は、扱いやすい素人や無実の相手に強権を振るい過激な思想家を追跡しきれなかった責任を問われ捜査態勢の一新を求められた。そして規模の縮小に追いやられた。上部機関による査察も頻繁に行われるようになる。規模が縮小したので狙いを狭める必要があり、決め付けによる冤罪や過激な取り調べが減る。やたらに拘束しなくなったせいも有る。多分根っこは変わらない。

 これを機に、特高警察の大本である内務省の強すぎる権限と広すぎる行政範囲を恣意的に運用する政治家や役人が問題の根本とされ解体に近い形で分割された。


 国民はそれを支持した。それほどまでに好景気は国民の不満を減らしていた。大正デモクラシー再びとも言える時代がやって来ていた。



 二・二六事件を受け国会解散総選挙が行われた。

 五・一五事件や二・二六事件が起きた一つのきっかけとも言える「統帥権干犯問題」を引き越した議員が所属する政党は、議員ごと沈んだ。

 変わって勢力を増したのは、従来の保守勢力とやや左寄りながら共産主義と社会主義を否定する日本的リベラル勢力だった。

 国会は旧来の政治家と新時代の政治家が激突する場になった。今までは旧式政治家同士が足の引っ張り合いをしていただけに見えるくらいの論戦が繰り広げられる。

 この国会でジュネーブ条約のほぼ全項目を承認し批准することとなった。


 対外的には海軍と陸軍が引き起こした反乱事件で日本の政治的安定性に疑いの目を向けられたが、事件の解決と事件に対する姿勢がある程度信頼性を回復させた。ジュネーブ条約のほぼ全項目を批准したことの影響もある。

 そんな中開催された第二次ロンドン軍縮会議は加盟各国の異論あれどもなんとか成立し日本も批准した。

 この条約はロンドン軍縮条約を基により軍縮をしようとした日本と戦力を減らしたくないどころか増やしたい英米との対決だった。

 日本は英米海軍力が減れば自国軍備を減らすことが可能なので努力したものの、拡張を主張する英米を説得しきれずに従来比の戦力となった。

 この時、英米が増加させる艦艇の分、日本海軍艦艇も増加することとなった。主に軽巡と駆逐艦である。



 規定以下の小型艦の制限が相変わらず無いことに着目した日本海軍は、海上護衛艦を建造することにした。

 軽巡と駆逐艦の艦数が増えると言ってもそんなに多くは無い。大陸撤退も視野に入れた現状では旧式艦多数が退役となる可能性が高かった。船を降りた士官下士官や兵員を吸収しきれない。かといって海兵団に戻すこともしたくないし熟練兵に退役されても困る。

 せっかく通商護衛を格上げして主任務にしたのだ。それ用の船を作ってあてがおう。幸い、景気高揚による税収増が有り海軍予算も増えそうだ。

 艦長や各部の長というポストが減らないことはいいことだ。

 


小さくなったのは二・二六事件でした。

旧式政治家同士が足の引っ張り合いをしていただけに見えるくらいの論戦が繰り広げられる。

現実でも見ることは可能なのかな?

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