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資源が有ることで 十両

最終決戦間近です。


隻数を間違えたので訂正

エセックス級空母4隻から8隻へ。

アイオワ級戦艦4隻から2隻へ。

 サイパン島へ試験的に持ち込まれた屠龍改造機は予想外の活躍で注目された。たった1連射で4発機を墜とす攻撃力。高度1万で戦闘機動が出来、P-38に対抗出来る高高度性能。

 双発単座戦闘機というものに懐疑的だった連中は手のひらを返した。即座に量産化指示が出たことは言うまでも無い。

 屠龍改造機は屠龍系の改造機では無く、新規機種としてキ96の開発番号を振られた。


 キ96はベースとなった屠龍と機体構造は大差ない。

 改造機は後部座席に蓋をしただけだが胴体上部を新設計して単座として仕上げた。涙滴型風防として視界が良くなった。爆撃機に突っ込んでいくという攻撃方法なので前面の装甲を工夫した。 

 発動機は改造機が中間冷却器無しだったのを取り付け、吸気温度の低下による燃焼の安定化と出力向上を図った。これにより100馬力程度上げることが出来た。

 30ミリ機関砲の取り付け空間を大きめに取り、現在開発中の新型30ミリ機関砲を改造無しで搭載可能としている。今の30ミリ機関砲は弾倉式で装弾数40発と寂しい。数回の連射で撃ち尽くしてしまう。新型はベルト給弾で装弾数を120発と予定している。また、発射速度と初速の向上もしている。弾も大型大重量になっており、威力は貫徹力・爆発力とも向上している。

 これなら開発中との情報があるB-29にも有効だろう。

 キ96は細かい修正により機体重量が増したが、発動機の性能向上で高度5000メートル以上の性能が上がった。低空では変わらない。


 昭和18年4月、キ96は正式採用され「蛟龍」と命名された。

 機体自体は細かい改修を行いながら量産試作的に生産が続けられている。サイパン島登場後からは100機以上になる。その中で40機近くが迎撃戦闘で失われた。

 この損害は、敵から優先対処目標とされてしまったためだった。護衛のP-38が速度で零戦を振り切り、鍾馗は高度を上げることで振り切り、キ96だけを遮二無二しゃにむに目標としたせいだった。

 その代わりに零戦や鍾馗や屠龍による大型機撃墜数が伸びた。


 なお、海軍では十二試遠戦をいじっていたが、いじるほどに海のものとも山のものともつかぬ機体になるだけだった。十二試遠戦は二式陸偵として少数生産されたが中止となった。残っている機体は雷撃機になったり哨戒機になったりで活動を続け、部品の供給が無くなると共食い整備で活動を続けた。それなりに使えたようである。



 マリアナ防空戦は続いた。負けるわけにはいかない。最新情報でB-29のとんでもない性能が明らかになってきた。キ96でも対抗するのは厳しいと思われた。アメリカがマリアナを取ればB-29の爆撃圏内に西之島は余裕で。平気で東京・沖縄まで入ってしまう。マリアナを落とされるのは拙かった。

 マリアナ防空戦が物量に押しつぶされないのは、ひとえにその距離とトラック島の大きさにあった。


 単座戦闘機にとって片道1100キロは厳しすぎる。2時間巡航してマリアナ300キロ手前で爆撃機集団と合流。速度を合わせて護衛。そして戦闘、爆撃機と速度を合わせて護衛しながら帰投。300キロほど飛んでからP-38だけ巡航で帰投。途中からは回数こそ少ないが日本軍が400キロ以上まで迎撃範囲を広めたこともあり、P-38の巡航速度で飛べる時間はさらに減った。

 いくらP-38に自動操縦装置が付いていても、7時間以上操縦席に固縛され同じ姿勢でいる。疲労はすさまじいものがあった。

 同じパイロットが毎日の出撃は出来ない。毎日出撃できるだけの機数も用意出来ない。しかもパイロットの疲労が激しく戦闘機パイロットの出撃は1日置きとされてしまった。それで1回の出撃機数を増やし出撃させることになる。問題は場所が足りない。

 B-17は新型になり巡航速度が低下して編隊を組むのが難しくなったため以前の型が活動中。新型は爆弾搭載量は多いが速度が遅いため、先に発進して先行する三段階分進合撃を図ったが1100キロの道のりでは難しく、逆に遠距離迎撃の餌食になってしまった。上に苦情を言っても爆弾搭載量を取ったようだ。

 旧型は徐々に数が減りつつある。B-24だけになるのもすぐだろう。

 トラック島の飛行場には大型のB-17とB-24が大量に並んでいる。大型機の発着できる飛行場は地形的に増やせない。飛行場は滑走路だけでは無く整備棟や弾薬庫・燃料庫も場所を取る。押し出された小型機の飛行場は地形的に不利なところに作られる。狭く機数を置けない。

 マリアナ空襲を始めた頃は100機出せなかったが、今でも1回の出撃で戦爆連合最大300機が精一杯だった。日本側はサイパン・テニアン・グアムの3島で迎撃する。1島辺りの負担は100機程度。それを500機近い迎撃機で守る。迎撃専門で防空範囲も狭いから可能になる守り方だった。




「アメリカ軍が大部隊を用意しているようです」

「マリアナか西之島か」

「西ノ島はマリアナ以上に防備が堅い。マリアナではないのか。それともパラオか」


 日本にも独自の情報網や中立国経由でアメリカの情報は入ってきている。エセックス級空母が後10隻就役するとか。戦艦はアイオワ級4隻が揃ったとか。駆逐艦が隔日就役するとか。補助空母としての護送空母も隔週で進水しているとか。

 改めてアメリカの工業力と経済力がおかしいことに気がつく。そして人材育成能力も。


「マリアナか」

「マリアナですな」

「上陸されたら、抗しようもないな」

「要塞化されていて抵抗は出来るでしょうが、長い期間は無理でしょう」

「最後の決戦か」

「まあ我が国は後が続きませんから」

「はっきり言うな」

「入手したアメリカの兵力増強計画を見ると、とても対抗など出来ません。どこかで大打撃を与えてアメリカ国民に厭戦気分を醸し出させるしか」

「艦隊戦で勝って、輸送船団撃滅か?世紀の悪者にされそうだな」

「輸送船団は拿捕で良いでしょう。撃滅すると反って世論が燃え上がると考えます」

「そうだな。その前にその大艦隊に勝たねばいけないが」




 そして昭和19年6月。西暦では1944年6月。

 

 アメリカ海軍機動部隊の活動が再開された。

 最新鋭のエセックス級空母が8隻がようやく揃い、生き残りのエンタープライズとホーネット。この10隻が主力だ。それをインディペンデンス級軽空母6隻が支える。

 戦艦はアイオワ級2隻とサウスダコタ・アラバマの2隻で、さらに巡洋艦16隻と駆逐艦56隻で3個任務部隊を編成していた。

 さらに後方には艦載機補充用兼船団護衛用の護送空母30隻がいる。3隻では無い。30隻だ。1隻25機程度だが30隻ともなれば750機という大戦力になる。

 その護送空母と40隻という駆逐艦。それに足して旧式戦艦6隻と巡洋艦8隻に守られた300隻を超える輸送船団がマリアナに迫っていた。


 搭載機は戦闘機がF6Fになっている。試験的にF4Uも搭載された。雷撃機は全機TBFになった。SB2Cはかなりマシになり正規空母には全機搭載された。

 もうゼロに翻弄されることは無いだろう。

 搭載魚雷の信管は全て信頼できる信管に交換され確実に爆発するようになっている。艦艇用魚雷もだ。



 マリアナ沖海戦の気運は高まった。




次回更新 2日ほど間が空きます。11月22日 05:00予定

次回はマリアナ沖海戦ですよね。普通。

しかし、中入りが入るでしょう。


大西洋の対潜水艦戦がありませんので、護送空母は数が少ないです。護衛駆逐艦は建造計画すら無い。日本潜水艦の活動が少ないためにこのくらいでも十分。日本潜水艦が西海岸で通商破壊戦を展開するには遠すぎて低調。たまにやっているくらい。後は東太平洋やハワイ・ウェーク・トラック方面の監視偵察任務がほとんど。

隔日で就役している駆逐艦はフレッチャー級駆逐艦。他の奴を作らなければこのくらいは出来るでしょう。



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