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資源が有ることで 海底からコンニチワ

閲覧ありがとうございます。

今回は個人名や企業名ほぼ出てきません。出てきても架空の人物・企業です。会話も極小のつもりです。戦闘描写も少ないです。

開戦までの時間系列が各話同時並行的に近い展開となっています。一応後の話が時系列的に後です。ご注意下さい。構成が下手なのは作者の限界です。

15話くらいになりそうです。6話目でまだ開戦していない。

更新は毎日05:00の予定です。後半は間隔が飛ぶかも。

途中で「史実との乖離」という説明回を入れます。大きな事件しか載せていません。


小笠原諸島の西之島が大きく隆起するという設定が、何故か東で隆起になっていました。訂正しています。

 時は昭和2年5月。


 大喪の礼がつつがなく執り行われ、昭和を歩み始めた頃。日本経済は昭和金融恐慌の真っ最中だった。各地で取り付け騒ぎが起こっていた。

 また、日本全土で震度2程度の地震が頻発し、大震災再びかと流言飛語が飛び交っていた。それが取り付け騒ぎを一層激しくしていた。流言飛語を厳しく取り締まるが、なかなか収まらない。



 端午の節句が過ぎた頃、小笠原は父島から大変な一報が入ってきた。沖縄では大騒ぎになっている。


「島が現れた。場所は島など無いところだ」


 政府は父島役場からの激しい要請もあり、海軍艦艇を派遣した。父島役場は取り敢えず様子を見に行き日本国国旗を差してきた。これは大受勲であった。領海外の無主地に日本の権利を主張したのである。

 派遣された海軍艦艇がこれを確認。小笠原諸島西方15海里の地点である。領海外だ。小笠原沖の島には軍を含む調査隊を派遣。[サイパン-横浜]航路上に有り、他国に情報が流れる前にいち早く日本領土として確保する必要があった。

 どの国よりも早く。領土を主張するに当たって先占・添付・割譲・時効・征服の5項目の内、割譲・時効・征服は関係ない。先占は確実に行った。添付として地図の作製を大至急行うことになった。


 政府は他にも無いかと、海軍艦艇に離島周辺を捜索させる。

信じられない現実を見つけた。

 南鳥島の隆起がそれだった。標高百メートル程度、外周は50キロ程度と見積もられた。その際、漁民数世帯を救助している。こちらはもともと日本領土であり、領土的問題は無かった。



 その後も微小地震は収まらず、収まった頃には南鳥島が外周200キロという巨島になっていた。

 小笠原諸島西方の島はおかしすぎた。北海道と九州の中間くらいの大きさになった。

 他にも多数の島が大きくなっていた。


 その間、伊勢神宮と出雲大社が時々光っているという噂もあった。昭和の御蔭参り(おかげまいり)・お伊勢参りが始まり、出雲詣で(もうで)も盛況を極め始めた。


 サイパン島、テニアン島、パラオのコロール島とバベルダオブ島も倍ほどになっている。

 他にも委任統治領内に存在する有人島がいずれも大きくなり、生活水を雨水に頼らなくてもいいくらいの大きさの島になった。


 小笠原新島周辺の詳細な調査をしたところ、西之島が無くなっていることが判明。測量の結果、小笠原新島最北の活火山が西之島と認めざるを得なかった。

 この恐ろしくも不思議な事象を確認した各国は、小笠原諸島西方の島を日本領として認めるしか無かった。南鳥島も日本領である事が確認された。

 各国はこぞって自国領の島嶼を再確認した。


 沖縄はと言うと、巨大化した。四国の半分くらいまで大きくなっている。主に拡がったのは南東海溝側では無く北西から西側の浅い方だった。沖縄半島と久米島と徳之島が繋がってしまった。この影響は酷い。商船が入港できる港が有るのが本島西側だけなのだ。

 海軍は総力を挙げて救援を図るが上手くいかない。東側にやむなく大型の桟橋を設置して取り敢えずの港湾機能を付けるのが精一杯だった。



 その頃、ポルトガルではアゾレス諸島がアゾレス島になっていた。ポルトガルの国土が一気に倍以上となっていた。スペインはカナリア諸島のラ・パルマ島が数倍の面積となった。

 各国が調査した結果は驚くべきものが有った。

 アメリカ合衆国では、ウェーク島が外周40キロの大きさになっていた。グアム島も倍ほどになった。

 イギリスは、本島周辺の島でいくつかの変化があった。

 他にも多くのの島々で変化が認められた。

 各島とも沖縄と同じような状況であったらしく、各国とも救援が大変だったと聞いた。


 不思議なことはそれだけでは無かった。アゾレス島、ラ・パルマ島、小笠原新島(まだ正式名称は無い)は緑あふれる島だった。海底にあったとは思えない。他の島もだいたい緑あふれる島になった。

 反面南鳥島は不毛の地だった。従来の島部分は緑があるが、それ以外は海岸まで黒い石がびっしりと転がっていた。

 沖縄も同じだった。何か正体不明の岩石らしいものが従来の島部分以外を占めていた。


 南鳥島と沖縄本島の周囲に存在する黒い石や岩石を分析してみた。

 恐ろしい結果がでた。貴金属を含む高濃度の金属含有率を持つ鉱石だった。ただ実用的な量を精錬するには非常に高度な技術が必要で、現在の日本が持つ冶金技術では難しいという話になった。

 だが、地中深く掘らなくてもいいのである。経費も安く安全性も高い。

 南鳥島など、海岸から拾っていける。石を拾った後の泥も分析したところ、有用金属含有率が高く有用とされた。

 何より沖縄の鉱石は金銀の含有率が高かった。何が何でも製錬技術を実用化すると国策になった。


 沖縄はさらに資源が見つかった。石油と天然ガスである。日本国内は驚喜した。


 日本政府はこの島々の開発に掛ける予算と人員を絞り出すために、朝鮮半島を独立させることにした。ソ連が不安で有るが、今のソ連はと言うよりもスターリンが国内に一杯一杯で外に出る余裕は無かろうと言う判断だった。

 台湾は南方航路の要衝であり、沖縄のこともあって手放す気は無い。住民慰撫を進めるために少し予算を増やした。

 日本からの移民事業も中止し、それどころか保証金を付けて呼び戻す事までやり始める。

 中国各地の租借地も駐留軍の人員削減を行い、治安維持のための最低限まで減らした。


 国際連盟の会議では各国の領土権が話し合われ、概ね現状の追認で同意が得られた。利益を得られなかった国からは不満が出たのは当然である。

 そこで産出した場合には地下資源を政府間価格で相場より安価に提供すると言う妥協策がとられ、ある程度は不満を減らした。



 昭和5年。

 選挙制度も整備して朝鮮半島を独立させ切り離した。大韓国という国名だ。大と言う文字に中華圏では自由とか言う意味もあるらしい。

 10年近く近代国家としての基礎を教えたしインフラも最低限整備した。これでダメなら、ダメなんだろう。

 自由に切り取り放題となった朝鮮半島にどこが手を上げるのだろうと思ったらアメリカが手を上げた。イギリスはまだ戦後の痛手から復興し切れていない。インド問題も大きい。地球の裏側の小さい国に手を出す余裕は無いのだろう。

 ソ連はやはり手を出してこなかった。

 中華民国政府が大韓国政府に使者を出せと言っているようだ。

 アメリカは今は景気が良い。手を出す余裕もあるし、大陸市場を狙っているのだろう。


 日本は沖縄で大規模な金銀採掘の可能性から金本位制に戻る計画を中止とした。この政策転換を不満とし内閣解散総選挙の流れになった。


 日本は、朝鮮半島のみならず中国東北部、いわゆる満州への投資も削減し沖縄復興と西の島開拓事業へと注ぎ込む事を決定した。

 国内で大陸派・大陸浪人が次々と騒ぎを起こすが鎮圧され、世論からの批判を浴びる。

 陸軍はこの動きに大陸で騒ぎを起こせずに静観するしかなかった。一部の将校が画策したが遼東半島を出ることも出来ずに鎮圧された。

 大陸派や満州閥以外の不満分子による軍内テロルが数件起こり陸軍内部は騒然とする。


 海軍も一部不満分子の動きに神経を尖らせる。ロンドン海軍軍縮条約を不満とする者達だ。海軍の内部調査は身内びいきゆえの甘い調査しかしなかった。陸軍が内部粛清で躱したのに、海軍は表に出て反乱を起こされてしまった。

 五・一五事件である。

 せっかく景気が良くなろうとしている時にこの事件は拙かった。実行犯の海軍将校を擁護しようとしても世間の目が冷たい。結局、擁護できずに厳罰を下されてしまう。

 反乱将校を擁護しようとした海軍への風当たりが強くなった。

 海軍は世間受けする軍の運用へと舵を取る。決戦一本槍から本土防衛と通商路保護という海軍の原点に戻るという努力目標を掲げた。



次回更新 11月02日 05:00


南鳥島の奴はマンガン団塊と海底資源泥です。実際に周辺には大量にあるようです。集めてみました。

沖縄も尖閣沖のガス田とか油田が確実視されていますので、沖縄に出してみました。

金鉱脈は話を派手にするおまけです。日本周辺の海底に有る分を集めたと思っていただければ。


7話か8話に「史実との乖離」として説明回を入れます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これは面白いですね。 これから読むのが楽しみです。 やはり資源が増える作品は良いですね。
[良い点] 御参加ありがとうございます。世界規模での隆起と、それに伴う資源出現で変わっていく歴史、大変面白いです。 [一言]  日本だけでなく、スペインやポルトガルなど各国でも同様の事象が発生している…
[一言] そんなのよりも実用化されている新潟の海底油田(岩船沖油ガス田)あたりの方が本土に近い分楽じゃあないですかね?>沖縄尖閣 いや、あそこはあそこで南方の石油やガスの供給先と考えればありだけど。 …
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