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第79話 力を持つ超常

 能力で動かせる複数同時の限界について話したせいで、本題の話とズレてしまった。


 今回説明していたのは、能力の最大出力に関係することであった。




 俺は小川(おがわ)に流れている水を利用して、能力の最大出力が1トンと少しであることが分かったが、このことに関して一つ気になることがあった。


 それは、直接能力を使っている対象を動かすための力に加えて、間接的に動かされている対象を動かすための力も能力の最大出力に(ふく)まれているのかどうか?という疑問(ぎもん)である。


 俺は今、自分の服と(くつ)を能力によって直接的に動かしており、それらが動くことで間接的に俺の体も立ったり歩いたり、という(ふう)に動いている。


 この能力の使い方には、服と靴を直接動かす力だけでなく、俺を間接的に動かすための力が存在しているはずである。


 俺の体が動かされているのにも関わらず、その動作に一切の力……もといエネルギーが存在していないということはあり()ない。


 つまり、俺が疑問に思ったのは、直接動かしている対象物(たいしょうぶつ)質量(しつりょう)だけでなく、間接的に動かしている対象物の質量を動かすための力もこの能力が負担(ふたん)する必要があるのかどうか?ということである。


 この疑問に関して、結論(けつろん)から言うと……


 能力は、間接的に動かしている対象物を動かすための力も負担する必要がある。


 俺はこれを初めて疑問に思った時、小川(おがわ)に流れている水を立方体にして浮かべる最大出力の検証を応用(おうよう)して、この疑問を解消(かいしょう)するための検証をした。


 具体的な方法は、最大出力を(はか)る時とほとんど同じだが、俺の体を動かしている力を使わないパターンと使うパターンに分ける、という違いがある。


 俺の体を動かしている力を使わないパターンとは、俺を間接的に立たせている服と(くつ)に掛けられている能力を解除(かいじょ)することで、能力が間接的に動かしているものがほとんど無い状態にしてから、最大出力の検証を始めるという方法である。


 俺の体を動かしている力を使うパターンとは、能力を使って俺を立たせるだけではなく、服や靴を浮かせることで間接的に俺の体も空中へと浮かばせることで、使わないパターンよりも大きな力を能力に使わせるようにしてから、最大出力の検証を始めるという方法である。


 そして、この二つのパターンの時にできるそれぞれの立方体の大きさを(くら)べることで、間接的な力は能力が負担しているのかどうか?を調べることができる。


 その結果は、俺を浮かばせる……つまり間接的な力を使っている時の方が間接的な力を使っていない時よりも、わずかに水の立方体の体積(たいせき)が小さくなる、という結果であった。


 つまり、俺を浮かせるという間接的な力も能力の出力に(ふく)まれているということであり、間接的に動かす力も能力が負担(ふたん)していることが分かった。




 ちなみに、間接的な力を能力が負担しているのかどうか?については、最大出力を(はか)ることを思いついた小川(おがわ)を見つけるよりも前……(いな)(ひと)りでの外出ができるようになるよりも前に知ることができたことであった。


 どうやって知るのか?


 それは日課(にっか)でやっている持久力検証で知ることができる。


 俺はいつも持久力検証をする時、(たな)の上に椅子を乗せた物を天井と(ゆか)往復運動(おうふくうんどう)させて、その回数と最後の上昇(じょうしょう)距離で持久力を(はか)っている。


 そして、持久力検証中に能力を使っていたのは棚だけであり、その上に乗っている椅子には能力を使われておらず間接的な力で動かされていたのだ。


 つまり、棚にだけ能力を使うのではなく、椅子にも能力を直接使う持久力検証をしていれば、椅子を間接的に動かしている検証と直接動かしている検証の二つができた、ということである。


 この二つの検証結果を(くら)べていれば、間接的な力が能力の出力に影響(えいきょう)しているのかを知ることができた。


 そして、実際にやってみたら、二つの検証の往復回数と最後の上昇距離は同じだったので、間接的な力も能力が負担していることが証明(しょうめい)された。


 最大出力を(はか)る検証をした後になって、ようやくこの検証方法に気付いたのは、完全に俺の浅慮(せんりょ)であった。


 俺がこの検証を思いつけなかった理由をもう少し詳しく説明するなら、物体を間接的に動かすとしてもそれを間接的に動かしている力が必ず存在しているはずであり、それが存在しないという可能性は到底あり得ないことであったから思い付けなかった、ということである。


 言うなれば、()から(ゆう)は生み出せない、そんな常識(じょうしき)を疑うことがかなり難しかったから、と言える。


 最大出力を(はか)る検証をした後になって、間接的な力が能力の出力に影響を与えるのかどうか?という疑問に気づいたのは、偶然(ぐうぜん)(ひらめ)き、()しくは最大出力に影響(えいきょう)を与える要素(ようそ)(つまび)らかにしておきたかったからかもしれない。


 間接的な動きであろうとそこには必ず力が存在しなければならない、これは常識であり、それはこの能力も例外では無かった。


 しかし、こんな摩訶不思議(まかふしぎ)な能力にそういった常識が通じないことも普通にあり()た。




(意外と合理的なのかもな……まあそうだとしても、もう少し……)




 俺は合理性(ごうりせい)を失わない範囲(はんい)で、もう少し常識(じょうしき)を疑うことにした。

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