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第78話 複数はどこから?どこまで?どのように?

 (ひと)りでの外出ができるようになって行動範囲(はんい)が広がったことで、俺は森の中にある小川(おがわ)を見つけることができた。


 そして、俺はその小川に流れている水を利用した能力の最大出力を調べる検証で、(つい)に能力の最大出力が1トン(t)と少しなのではないか、と予想することができた。




 最初に能力の最大出力を調べるために検証した時、最終的に1000リットル(L)と少しの水を浮かすことができたが、その量を(はか)り終えた途端(とたん)、その1000リットル(L)と少しの水を浮かせておくことが出来なくなり……小川とその周囲(しゅうい)の地面に1000リットル(L)と少しの水をぶちまけてしまった。


 俺は、この検証をその(あと)、何回、何十回とやってみたが、結果は全て1000リットル(L)と少しであり、その1000リットル(L)と少しの水は10秒ほどしか浮かせておくことができないということも分かった。


 何十回もやった中で、何度か1000リットル(L)と少しの水を浮かせておくだけでなく、動かそうとしてみたこともあったが、動くことは無かった。


 つまり、この検証で分かったのは、能力の最大出力はやはり1トン(t)と少しであり、それを超過(ちょうか)する力を使うことはできず、最大出力で能力を使う時の持久力は10秒ほどしか(たも)てない、ということであった。


 おそらく、最大出力の時の持久力がこんなに少ないのは、1トン(t)という重さの分、10キログラム(kg)より軽い(たな)と椅子を使ったいつもの持久力検証よりも、持久力が減ってしまうからだろう。


 筋力はより重い力を使えばその分持久力が減る……能力もそれと同じことであろう。




 この1トン(t)と少し、という能力の限界は1つの対象(たいしょう)に限定している能力の最大出力ではなく、能力で同時に動かしている全ての対象に使っている力の合計の最大出力なのである。


 この検証では"1つ"の1000リットル(L)と少しの水の立方体(りっぽうたい)を浮かせることはできた。


 だが、1000リットル(L)と少しの水の立方体を"2つ"浮かせることはできない。


 もし、2つの水の立方体を浮かせたいのなら、500リットル(L)の水の立方体を2つとか、300リットル(L)と700リットル(L)の水の立方体を1つずつとか、10リットル(L)と990リットル(L)の水の立方体を1つずつとか、そういった2つの水の立方体が合計で1000リットル(L)と少し以下であれば、どちらとも同時に浮かせることができる。


 つまり、能力で動かしている全ての対象を動かすために使っている力の合計が1トン(t)と少しを()えてしまうと動かすことができなくなるが、力の合計が1トン(t)と少し以下であれば、複数の対象を同時に動かすことができるということである。


 言い()えると、複数の物を同時に動かす時は、1トン(t)と少しという能力のキャパシティを、動かしたい対象にそれぞれ()()る、という感じである。




 ここまでで、複数の物を動かすことについて言及(げんきゅう)したが……


 では、能力で複数同時に動かせる物の限界はどれくらいなのだろうか?


 俺は(ひと)りでの外出ができるようになったことで、様々(さまざま)な物を目に入れることができるようになった。


 それは、能力の対象になる物が格段に増えたということである。


 つまり、今なら能力で同時に動かせる限界数を知ることが出来るのではないか?ということである。


 しかし、そのことに関しては5歳となった現在も判明(はんめい)していない……能力で同時に動かせる上限(じょうげん)の数が見つかっていないのだ。


 というより、このことに関しては能力を使う時にどこからが別の物で、どこまでが同じ物なのかについて、定義(ていぎ)が良く分かっていないので、能力で同時に動かせる限界の数を調べるのはかなり難解(なんかい)になると思う。


 例えば土を動かす時に、ただ(たん)に土と言えば1つの物かもしれないが、本来(ほんらい)土というものは様々(さまざま)鉱物(こうぶつ)や生物、生物の遺体(いたい)()じり合っている物であり、厳密(げんみつ)に言えば1つの物では無い。


 土とは別々(べつべつ)の物をまとめて総称(そうしょう)した物なのだ。


 もし、能力が別々の物の集合体(しゅうごうたい)として土を動かしているのであれば、能力は百どころか千を(くだ)らない数の物を同時に動かしていることになる。


 そして、俺は特に苦労(くろう)することなく能力を使ってそんな土を動かすことができている。


 さらに、同じ物質(ぶっしつ)からできていたとしても、原子(げんし)分子(ぶんし)結合(けつごう)しておらず、別の物として同時に動かされた場合、それは能力を使って同時に複数の物を動かしている、という事になるのではないだろうか?


 もっと言えば、原子や分子が結合していたとしても、能力が原子や分子から複数の物として定義するなら、人間から見れば1つの物を動かしていると思っていても、実際は超大量の物を同時に動かしていることになる。


 そうであった場合には、この能力に同時複数に動かせる限界は実質(じっしつ)存在しないことになる。


 つまり、この能力が複数の物をどのように(あつか)っているのか分からないので、同時に動かせる数の限界を知ることは難しいのだ。


 ただし、能力で動かす物を複数として数える時に厳密(げんみつ)測定基準(そくていきじゅん)が存在しなかったり、その基準が曖昧(あいまい)であったりすれば、能力の同時複数の限界について考えること自体が滑稽(こっけい)になると言わざるを()ないし……そもそも限界なんて存在しない可能性さえある。


 まあ、そういった細かい分類(ぶんるい)小難(こむずか)しい定義(ていぎ)を考えなくても……




 (たな)、椅子、フォーク、落ち葉、()(えだ)、土、水、服、(くつ)、空気、その他諸々(もろもろ)……それらを全て同時に動かすことができている時点(じてん)で、もし同時複数の上限(じょうげん)があったとしても、その上限はかなり上にある、とだけは言える。

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