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第69話 メリットなくして、リスクなし

(中止で)




 俺は離乳餌(りにゅうじ)作戦よりも大きな能力向上ができる今回の作戦を中止することに決定した。


 この作戦は大した労力(ろうりょく)(はら)うことなく能力向上ができる上、改良(かいりょう)しながら継続(けいぞく)することができれば、より大きな能力向上が見込(みこ)めるはずである。


 ではなぜ、俺は今回の作戦を中止することに決めたのか?


 それは、この作戦に労力が掛からなくても、リスクがあるからだ。


 この作戦を準備する間もそうだし、決行時(けっこうじ)も、後処理の時も、両親や村長の目を(ぬす)んでやる必要がある。


 つまり、俺が無断外出していることが両親や村長にバレるかもしれない、というリスクがこの作戦には存在するということである。


 もし、俺が全力を()して無断外出を隠蔽(いんぺい)したとしても、いつかはバレる可能性が十分(じゅうぶん)にある。


 嘘や隠蔽というのものは、それが少数や少量であれば(いつわ)りの真実として成立する可能性が高い。


 だが、その数量(すうりょう)が増えれば増えるほど……つまり何度も同じ嘘や隠蔽を(おこな)えば、いつかその嘘や隠蔽に(ほころ)びが生まれるか、元からその嘘や隠蔽に存在していた綻びに誰かが気付いてしまう。


 もちろん、綻びが生まれないように、それを気付かれないように対策(たいさく)すれば、嘘や隠蔽がバレる可能性は減る。


 それでも「100%バレない」という嘘や隠蔽は中々(なかなか)作りづらいものである。


 そして、今回の場合、無断外出がバレてしまえば、今まで俺ができていた行動を制限されるというデメリットが待ち受けているだろう。


 俺が村長の家に行くことが出来たり、両親が(たま)に俺から目を離した状態で俺に家の中を行動させてくれたりするのは、俺が()()けや約束を守っているという信頼(しんらい)から発生しているものだ。


 そういった信頼から生まれる自由は、今の俺のような子供であろうと大人であろうと変わらないことであり、逆にその信頼を(やぶ)ることで相手の反感(はんかん)を買って自分の自由を失うことも変わらないことだ。


 そして、俺は自由を失うというリスクを背負(せお)うつもりは更々(さらさら)ない。


 そもそもの話、俺は能力を今すぐに向上させる理由が無いのだ。


 メリットを感じていなのにリスクだけを背負う、そんなのは到底(とうてい)受け入れられない話だろう?


(というか、能力が向上することがメリット、という保証(ほしょう)が無いしな)


 能力が向上することは、一見、俺の意思(いし)で動かせる物の最大重量や持久力が上がるというメリットがあるように思える。


 しかし、このような得体(えたい)の知れない力の向上がメリットであるという保証がどこにあるというのか?


 それどころか、能力が向上することが俺にとって何かしらの害になる……つまり、能力向上にデメリットが存在する可能性さえ考えられる。


 例えば、能力が向上すると代償(だいしょう)を払う必要があり、それによって何かを失ってしまう……とか。


 であれば、この作戦の第一回目をそもそもやる必要性も無かったのではないだろうか?




 (いな)……




 一回目だけはリスクを背負う必要があった……つまり、リスクを背負ってでも欲しいメリットが存在していた。

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