第68話 埋め立てるミンチと埋める箱
(…………とりあえず、後処理するか)
俺は箱の中でミンチと化してしまった黒い奴らを見て、何と表現して良いのか分からない感情になっていたが、一先ずやるべきことを進めることにした。
ジュヂビッ……ジュジュッジジッジ……ビビヂュッ!
まず、俺は箱の底にへばり付いている黒い奴らのミンチを引き剝がした。
(…………よし)
俺は一欠片も残さないようにミンチを引き剥がした。
フワ…………
そして、俺はミンチを目の前に浮かせると……
グジュッ!ビュギュギギジジジュジュジュッッ!
ミンチになった黒い奴らの血肉をさらに、グチャグチャにし始めた。
ギギギギギギビビビビビジジジジジ…………
そして、最終的に黒い奴らのミンチは、元は何の生き物だったのか一切分からないまでのミンチに成り果てた。
(こんなもんかな……次は……)
俺は更なるミンチへと進化した黒い奴らを見て、そのミンチ具合に納得すると……
ボファッ
箱を掘り返した時に出来た地面の穴の中へと、黒い奴らのミンチを放り込んだ。
ボッ、ザザジャッ……ザザザッ、ボザッボザッ……
そして、そのミンチ、もとい黒い奴らの血肉を周りの土と混ぜ合わせていった。
最終的に、血肉と土は一体化し、箱が埋まっていた場所にできた穴は血肉と一体化した土で埋め立てられた。
ザッ……ザッ……
(その次は……)
黒い奴らの後処理が終わった俺は数歩進んで、今回の作戦エリアであった雑草と低木に囲まれた場所からわずかに離れた場所に出た。
そして、俺はその場所の地面を見ると……
メキキッ……ザザザバッ!
能力でその地面を掘り返して、縦横10センチメートル(cm)、深さ50センチメートル(cm)くらいの穴を作った。
ザジャッ
そして、その穴の中に箱を入れた。
ザザザザザ…………
そして、穴の中へと入った箱が完全に見えなくなるように、周りの土で穴を埋めていった。
最終的に穴は無くなり、固い土だけがそこにはあった。
(よし、終わり)
俺は今回の作戦の後処理が終わったことを心の中で独白した。
…………
そして、俺は玄関へと向かって歩き出した。
ギィィィィ……ガッガガガ……
甲高い音を立てながら玄関の扉が開いた。
俺は開かれた扉をくぐり、家の中へと入ると……
「ただいま」
今度は帰った来たことを告げた。
「おかえり!」
「おかえり~」
そして、家の中から二つの……両親の声が聞こえてきた。
タッ……タッ……
俺は両親の返事を聞きながら、いつも居る部屋へと向かった。
(1週間くらいで取りに行けばいいかな……)
部屋へと戻った俺は先ほどの後処理について考えていた。
今回の作戦で使った箱は、作戦エリア近くの地面に埋めてきた。
あの箱は両親が年単位で使っていない物とはいえ、もし本来あるべき場所に無いことが両親に知られてしまったら、俺は色んなリスクを抱えてしまう。
なので、あの箱は元あった場所へと戻した方が良い。
それでも、今戻さなかったのは、黒い奴やネズミを後処理した時と同様に、病原菌を危惧したからである。
今回の作戦で、黒い奴らは箱の底と蓋に挟まれて圧殺されたが、奴らが持っているかもしれない病原菌は圧殺することはできなかったであろう。
病原菌も生物の枠に収まっていて、もし俺の能力が使えないのだとしたら、黒い奴らのミンチを箱から引き剥がす時、一緒に引き剥がすことができておらず、そのまま箱に付いている可能性が高い。
なので、箱は土の中へと埋めて、宿主を失った病原菌が土の中で自然消滅するまで放置しておくことにした。
そして、その箱に関しては1週間経ったら取りに行くことにした。
ちなみに、箱を埋める必要性がそもそも生まれないようにするため、火やその煙を使って黒い奴共々、病原菌を殺害する方法も考えたが、それだと殺害までに時間が掛かる上、小火騒ぎになって気付かれても面倒であった。
そもそも、そこまで徹底的に病原菌を殺害する必要性も、すぐに箱を戻す必要性もないので、今回の作戦に火は使わなかった。
(でも、もしかしたら火も能力向上の対象になるかもしれないから、その場合だったらやっても良かったかもな)
作戦の第一回目が終了して一日が経過した。
ヒュゥゥゥ……
(なるほど)
俺は日課の持久力と瞬発力検証を終えた。
そして、俺はその結果を見て頷いていた。
その結果は、罠に捕獲されていた黒い奴の量に比例するように、能力が向上していた。
つまり、今回の作戦を使えば、俺が常に罠を見張っている必要が無い上、離乳餌作戦よりも多くの獲物を殺害することができるので、より大きな能力向上を見込める。
今回ネズミは掛かっていなかったが、それは獲物が入ってくる穴を黒い奴用にしたからであり、もう少し大きくすればネズミ用の罠も作れる。
それを使えば、黒い奴よりも殺害した時の能力向上が大きいネズミを殺害できることで、さらに大きな能力向上も見込める。
なので、俺はこの作戦を……
(中止で)
しないことに決めた。
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