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第64話 生物規模に比例する

 コッッッ!!


 罠に掛かった奴を殺す。




「すぅ……すぅ……」


 寝る。




 コテャ……ハァ、ハフッ


 食事をしながら、


 ベッ


 (えさ)を補給する。




 ドヂュッッッ!!


 罠に掛かった奴を殺す。




 ガサガサガサ…………


 罠に掛かった奴を(たま)に逃がす。




 コットッコットッコットッコットッコットッ……


 検証をする……




 そんな日々が3週間ほど続いていた。






 ヒュゥゥゥゥ……


(んん……微妙(びみょう)……)


 俺は瞬発力検証の結果を見ていた。


 そして、今日の検証結果はわずかな能力向上、というものであった。




 俺は、罠を仕掛けて、掛かった獲物(えもの)を殺して、(たま)に逃がして、その後検証する……そんな3週間を過ごしていた。


 そして、その3週間の結果、分かったのは、やはり生物を殺害することが能力向上の原因になっている可能性が高いということであった。


 生物と遭遇(そうぐう)することが原因なのではないか?という可能性については、罠に掛かった獲物を逃がした後に検証することを何度かしたのだが、逃がした時は一度も能力向上が見られなかったことから、生物との遭遇は能力向上の原因では無いとほとんど確定できた。


 この3週間で、生物の殺害が能力向上に関係していることは確定的になった。


 さらに、能力向上には殺害が関係していることを確定させた以外にも、それとは別のことが分かった。


 それは、能力が向上する時の、向上の(はば)……それの原因、もとい法則のようなものである。


 その法則とは、能力向上の幅は、殺害した分に比例して、変化するという事だ。


 この殺害した分というのは、命の数のことではなく、殺した対象の違いということだ。


 どういうことかと言うと……


 今までに、罠に掛かって逃がさずに殺害したのは、ネズミが2匹、クソデカ黒い奴が6匹、黒い奴が15匹であった。


 そして、その殺害後に検証した時の能力の向上幅は、小さい方の黒い奴を殺害した時よりもクソデカ黒い奴を殺害した時の方が能力は大きく向上し、クソデカ黒い奴を殺害した時よりもネズミを殺害した時の方が能力は大きく向上した。


 この3種には(あき)らかな違いがある。


 それは、それぞれの身体の大きさが違うということである。


 そこから俺が考えているのは、その生物の質量(しつりょう)体積(たいせき)のような規模(きぼ)に比例して、能力向上の幅は変化するのではないか?ということだ。


 つまり、能力にはより大きな生物を殺害した時により大きな能力向上をする、そのような法則(ほうそく)が存在するのではないか?ということだ。


 ちなみに、この3週間でネズミを(のぞ)くと、なぜか黒い奴以外の生物が罠に掛からなかった。


 俺はこれに対して、用意した餌が黒い奴とネズミ以外には相手にされないものだった、黒い奴とネズミがここら辺の生物の頂点になっている、この家の近くが黒い奴の縄張(なわば)りなっているせいでネズミ以上の大きさがなければこの家に近づくことができない、(おも)にこの3つの可能性を考えた。


 考えはしたが、どれが正解かは、(まった)判明(はんめい)していない。


(そういや、黒い奴に縄張り意識とかって、あるのか?)




 俺はこの3週間を()て、生物の殺害が能力向上の原因であることをほぼ特定し、さらに能力の向上幅には生物(ごと)の何かしらの違い……おそらく身体の大きさによって変化する可能性を()()めた。


 そして、俺はこの3週間で、もう一つ別の検証をしたかった。


 しかし、それについては断念(だんねん)していた。


 その検証とは……


 能力を使わない殺害で能力が向上するのか?という検証である。


 ここで言う「能力を使わない」というのは殺害の瞬間だけ使わない……(よう)するに直接的には殺害に使わない、というものではなく、その生物の殺害に(いた)るまでの全てのプロセスにおいて能力を使わない、という意味である。


 例えば、ネズミを(たな)圧殺(あっさつ)するために、棚を浮かせている能力を解除して棚の自由落下によってネズミを殺害する、この場合は浮いていた棚が落ちるという出来事がネズミの殺害に直接繋がっているので、俺が直接殺害したことには繋がらない、なのでこの場合は殺害の瞬間だけ能力を使わないという意味の「能力を使わない」である。


 しかし、今の例ではそもそもネズミを殺すことになる棚を浮かせることに能力を使っているので、間接的には俺がネズミの殺害に関与(かんよ)していることになる。


 なので、間接的に能力を使わない別の方法で殺害する、これが今回言っている「能力を使わない」殺害に該当(がいとう)する。


 そして、これを試すためには、俺が能力を使わずに、自分の身体の筋力を使ってどうにかするしかない。


 しかし、俺の身体は今なお動くことは一切(いっさい)無く、到底(とうてい)無理なことであるため、(あきら)めた。


(ただし、瞬間だけ能力を使わない検証については、やらない……という訳ではないがな)





(よし、もうやめるか)


 そして、俺はここ3週間続いていた離乳餌(りにゅうじ)作戦を中止することに決めた。


 唐突(とうとつ)に、この決定をしたように思うかもしれないが、実はこの作戦の中止は今決めたことでも無かった。


(正直、続ける必要性がな……)


 俺は、この作戦から思いつく検証の中でできることはほとんどできたと思っており、これ以上継続(けいぞく)する必要性を感じていなかった。


(能力をこのまま向上させ続ける、という選択肢もあるが……そうすると)


 効率が悪い。


 3週間続いた作戦で分かったのだが、この作戦に掛かる獲物(えもの)は、1日に1匹か2匹であり、他に比較(ひかく)できる作戦も無いため、多いのか少ないのか数値上は分からない……だが、俺としては少ないものであると思っていた。


(もっと良い方法がある……それになにより)




「飯が減る」




 俺は作戦の中止と……新たな行動を決意した。

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