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第26話 意味の有無

「?」




 俺は父親の胸当たりに向かって(ゆび)をさした。


 それを受けて、父親は明らかに困惑していた。


 俺はそんな父親の困惑顔(こんわくがお)に対しても、毅然(きぜん)とした態度で指をさし続けた。


 何故(なぜ)俺は父親に指をさしているのか?


 それは、俺に成し遂げたい目的があるからだ。


 その前に……


 俺は能力によって動けるようになった……(いな)、動かせるようになったが、そもそもそれを父親に見せても問題ないのだろうか?


 結論を言うと、動くだけなら全然問題無い。


 俺が能力を使えるようになって、自分の体を間接的に動かすことができると気づいた後、俺は両親の前で自分の体を動かすところを見せた。


 具体的には能力の二度目が成功した一か月後くらいから両親の前で体を動かせるところを見せていた。


 なので、両親からすれば、俺は体の動かない赤ん坊では無く、体の動く健常(けんじょう)な赤ん坊になったと見えるのだ。


 (ゆえ)に、俺が動くところを見られたところで大した問題は無いのだ。


 最初、俺は両親の前で体が動かせるのを見せることについて色々考えたりもした。


 だが結局、俺の体が産まれてから数か月は先天的(せんてんてき)な障がいがあったがそれは成長によって無くなった、みたいな感じに見えないことも無いだろうと考え、最終的には見せることを選んだ。


 動けることの不自然さに関しては、それで問題無いと考えたが、能力を使っているところを最初に両親に見せる時は、能力を使っていることがバレるのではないかと冷や冷やした。


(まあ、結局バレることは無かったしな……そもそも、この能力は対象物が動いているという間接的な情報でしか能力が発動していることを認識することができないからな)




 初めて体が動いているところを両親に見せた後、俺は徐々に体の可動範囲を広げることで、あくまでも成長である、と思われるようにした。


 そしてそれは、俺が動けるようになったと思った両親がそれまでやっていた俺へのマッサージを徐々に減らすことの要因にもなった。


 しかし俺は筋肉を使って動くことは未だにできていないので、本来であればマッサージは必要だと思うのだが、能力を使ってマッサージができるので特に問題は無かった。


 そして、俺は今父親へと指をさしているが、体を動かせることを既に両親に見せているとはいえ、指を動かすという体が動かなかった俺からしたら細かそうな動きを両親に見せても大丈夫なのか?


 それに関しては一か月以上前から指を動かしているところを両親に見せているから大丈夫だ。


 自分の名前を初めて両親に伝えた頃にはかなり細かな指の動きを見せていたから、指が動くことに関しては特に疑問を抱かれることは無いだろう。


 だが、今まで両親に見せてきた指の動きはあくまでも指が意味もなく指向性(しこうせい)のない動きをしているものであった。


 なので、今回の(ゆび)さしのように、指が意味と指向性を持った動きが大丈夫か?と言われれば話は変わってくる。


 今までは、指の動きが両親から見て何の意味も持っていないようにしていた。


 しかし、指さしという動きは今回初めて見せる。


(正直これに関しては、ある程度の不自然さを父親に受け入れてもらうしかない)


 俺は今回指さしが出来ることに関して、不自然さが若干残ってしまうと思った。


(でも……)


 それでも、不自然さが減るようにはなると思っている。


 まず、指さしができるということはある程度の知能が備わっていることを意味しており、それは生後5か月の俺がそれだけの知能を(そな)えているということになる。


 これに関しては、自分の名前を認識した上でそれを話せるということが、指さしをできるだけの知能を持っていることの証左(しょうさ)になると俺は思った。


 実際、赤子の話始めが早くて8、9か月であり、赤子が指さしをするようになるのも早ければそれと同じくらいになると聞いたことがある。


 だから、自分の名前を言うことができた俺には指さしができるだけの知能があってもおかしくないと他人から見て思えるだろうと、俺は思った。


 ちなみに、指さしができる知能があったとしても指さしという行為を知識として知らなければ、できないのではないか?という疑問があるかもしれない。


 だが、赤子は本能的に指さしができるようになるらしく、教えられずとも成長とともに勝手にやり始めるらしい。


 だがもし、知識として必要だとしても俺は両親が指さしという行為をしたところを何度も見たことがあるので、どちらにしても問題は無い。




 そして、俺が今回の指さしに関して最も危惧(きぐ)している不自然さとは、大前提として俺が生後5か月である、ということだ。

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