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第23話 早過ぎる危惧

 何故(なぜ)、俺は喋れることを両親へ伝えることに、ここまで悩み考えていたのか?




 それは、俺が早熟過ぎると両親から思われると不利益を(こうむ)ってしまうのではないか?と思ったからだ。


 もう一度言っておくと、今の俺がいる場所の文明レベルは極端に低い。


 そうすると、文化的にも俺がこの体に産まれる前の文化とは非常に異なる文化になっている可能性がある。


 それによって、俺が早熟であることが変なことに結び付けられる可能性がある。


 例えば「俺が悪魔憑(あくまつ)きだ」などと言われたりしてしまうのではないかと俺は考えた。


 そんな風に一度言われてしまえば、それは俺が今の体で生きる以上害になる可能性が高い。


 だからこそ、俺が自分の名前を言えることを両親に伝える時期は検討しなければならないことなのだ。


(まあ……害の側面を考慮しただけじゃ、5ヶ月という結論にはならないけどな……)






 母親が俺の言葉を聞いて、呆然とした顔で部屋を退出してから数時間後。


(そろそろだな……)


 部屋が今日一日で最も明るく照らされていた。


(……ここで何もない、ってこともあり得るけど……)


 時間は正午を迎えていた。


(何とも言えない顔だったからなぁ……正直どっちつかずの漠然(ばくぜん)とした不安になってしまった)


 俺は母親が出て言った時から抱えていた不安がどういった類のものであるのか、分からぬままそれを抱えていた。


 そして……




 タッ……タッ……タッ……




 部屋の外から足音が聞こえてきた。


(っ!……来たか)


 その足音にいつもよりも少し過剰な反応をしてしまった。


 タッ……タタッ


 そして、その足音が部屋のすぐ近くで停止する。


 ガチャッ……キィィィ……


 止まった足音はこの部屋の扉を開けた。


「………………」


 正午の足音……父親がさらに扉を開けて部屋へと入室してくる。


(静かだな……ということは伝わってるな)


 父親はいつも開扉(かいひ)と同時に高らかで意気揚々とした声を俺へと向けながら入ってくる。


 しかし、今日はいつもとは打って変わって、無言であった。


 俺がそんな父親の様子を感じていると……


 …………タッ


 いつも正午には一人だけで来る父親に加えて、母親まで追従(ついじゅう)するように部屋へと入ってきた。


 ィィィイ……バタン


(……まあ、それもそうか……)


 扉が閉まる様子とその前に入ってきた母親を感じ取って、俺は納得の感情を出した。


「DYAGIUAEGHASNEA?SUI?DAGYIOAEGAGIAE?」


 タッ……タッ……


「………………sui、dfiaefbmvaerisd」


 タッ……タッ……


 そして、父親が何かを母親へと問いかけ、それに母親が戸惑いつつも答えていた。


 両者の足が会話しつつも、こちらへと向かってくるのを俺は感じていた。


 ……タタッ……タタッ


 そんな二人の足が俺の元へとたどり着き、俺は両者の姿を視界に入れる。


「SUI、DFAHEOIHIAERGHOIAR?」


「adsfhiea……sui、faeoia」


 俺の(そば)に立ってからも、二人は何かしらの会話をしていた。


(…………)


 俺はその様子をただ見ていた。


「DSFAUWEHFFEA………………SDFUIASE」


「asef………………」


 そして、父親は結論をつけたような様子を出し始め、母親はそんな父親を見ながら何かを求めるような様子であった。


「……AS」


 父親が一言(つぶや)く。


 すると……




「SUI?」




 俺に向けて俺の名前を言ってきた。


(よし……)


 俺はそんな父親の発言に対して、躊躇(ちゅうちょ)を一切表に出すことなく……




「Sui」




 俺も父親に向けて、自分の名前を言った。


「!」


 それを聞いた父親はその顔に先ほどまでとは異なる表情を一瞬見せると……


「SUI、SUI……SUI」


 もう一度……今回は三回も俺の名前を言ってきた。


「Sui!Sui!」


 そして、俺もそれに答えるように自分の名前を名乗った。


「!…………」


 父親は先ほど変化させた時と同じ表情をもう一度見せたきた。


「…………」


 しかしその顔は直ぐに変化した。


 その表情を表現するなら、思案顔(しあんがお)といったところだった。


 そんな父親の顔を見て俺は……




(まさか……悪魔憑(あくまつ)きパターンじゃないだろうな……)




 不安と危惧(きぐ)が入り混じった感情になった。

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