第02話 動けない
「bao、iuasdi! asd、gihoana! iowe!」
(!?!?!?)
突如聞こえてきた声に、俺は意識を向ける。
「SDNDAOYIDU! GHIUEABA、GIEY!」
(な、なんだ? …………これは、外国語か?)
「JUYIR! GANJEIEEI、GQNEIUAYBANORIADFHOIEAWANQWOPI?」
もう一度、俺は、声に耳を傾ける。
(……聞いたことのない言語だ)
俺は、聞こえてきた声が、どの言語なのか、全く分からなかった。
外国語は、言っている意味が分からなくても、発音やイントネーションを聞くことで、どの言語なのか?どこら辺の言語なのか?くらいのことは何となく分かる。
(んん……やはり分からん……)
しかし、今聞こえている言語が、どこのものなのか、俺は皆目見当をつけられずにいた。
すると……
(ん? そろそろ、目を開けられそうな気がする)
俺は、先ほどから降り注ぐ眩しさに、慣れを感じてきた。
(目、開けてみるか……)
そうして、目覚めてから、俺は、初めて視覚を取り戻すことになる。
(…………)
そして、最初に、俺の目に入ってきたのは……
(……おばさん……多分50代)
知らない中年の女であった。
(だ……誰だ?)
俺は、疑問と軽い混乱を感じる。
(なんで、おばさんの顔がこんな近くにあるんだ?)
(一体どういう状ky……!)
視界が高速で移る。
(なんだっ? 何がおこっ……止まった)
だが、高速な視界移動は、すぐに収まった。
そして、俺の視界に、新たな顔が映った。
(……女……20代……汗がすごい)
俺の目に映ったのは、顔色が著しく悪く、滝のような汗を流す女だった。
(なんか、すごく辛そうなんだが……「やってやったぜ」みたいな雰囲気がにじみ出てるな)
だが、その女から、達成感のようなものを感じた。
(しかし、俺が気になるのは、あくまでも俺の今の状態だ。一体……どうなってる?)
俺は、女のことを頭の片隅に追いやり、自分の状況把握に努める。
直後……
(うおっ)
またもや、視界が高速移動を始める。
しかし、今回は一瞬で移動を終える。
(……男……20代……嬉しそう)
俺の目の前には、相貌をこれでもかと崩した顔の、男がいた。
(また、知らない奴……)
先ほどから、俺の視界に入ってくる人物たちを、俺は全く知らなかった。
(なんで、こいつら、俺の顔を覗き込んでくるんだ?)
彼らは、俺の顔を、じろじろと覗き込んでいる。
(とりあえず、何か意思表示でもしてみるか……声、はなぜか出ない)
俺は、彼らに意思表示でもしてみようと、声を出そうとする。
しかし、自分の思い通りに、喉と舌が動かなかった。
(うーん……さっき、なぜか呼吸ができてなかったみたいだし、うまく声が出せないのかもしれないな)
(どうしようか…………あっ、体動かせばいいじゃん)
(うっかりしてたな……それに、体を動かせれば、今の俺の状態が何かしら、分かるかもしれないしな)
(さて……動かすとするか)
そして、とりあえず俺は、自分の腕に力をこめる。
(………………動かん)
しかし、力をこめても、一向に腕が上がらない。
(ん? ……どうした?)
俺の腕は上がらない。
(動け……動けっ…………はぁ、なんで動かない?)
俺は、何度も腕を動かそうと試す。
だが、俺の腕が動く感覚は、一切無かった。
すると……
(ん? なんか、腕に浮遊感が……)
俺の腕が、謎の浮遊感に包まれる。
(浮いて……いや、これは、動かされてる?)
俺は、自分の腕が勝手に浮かび上がったのでは無く、動かされていることに気付く。
腕が上昇を続ける。
そして、俺の腕が、視界の端に現れた。
(…………)
さらに、俺の腕は、視界の中心へと移動した。
視界の中心に現れた、俺の腕は……
「ばぶ?」
(は?)
だいぶ、小ぶりになっていた。
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