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第148話 ボーイ・ミーツ・ガール

 ガチャ……ガッ、スススゥゥゥゥゥ……




 俺が本に手を伸ばそうとした時、図書室の扉が開いた。


(ん?ドリトが帰ってきたかな?)


 俺は扉が開いたのを見ると、トイレに行ったドリトが帰ってきたものだと思った。


 チラッ


 俺は扉の方へと視線を向ける。


 すると……


 タッ……タッ……


 図書室に誰かが入ってきた。


 俺はその人物を見た瞬間……




一布装(いっぷそう)……とてつもなく……長いっ!)


 カタカタカタカタ、タタッ!




 梯子(はしご)から飛び降りる勢いで降りた。


 そして……




 スススッ!


 俺は即座に(ひざまず)いた。




 タッ……タッ……


 図書室へと入ってきた人物は、図書室の中を歩く。




(……"白い")




 俺が図書室に入ってきた人物に抱いた第一印象は……「白」だった。


 その人物の服装、髪、肌、目、あらゆる容姿が白かった。


 服装は、純白。


 紙は、銀色が一切混じっていない白髪(はくはつ)


 肌は、晴れの日の雲。


 目は、白内障(はくないしょう)のような状態なのに白内障よりも混じり気の無い白。


 そんな白さを(まと)った人物だった。


 図書室へと入ってきたのは……




 とても……とても白い少女だった。




 今は顔を地面に向けているので(さだ)かでは無いが、白い少女は俺と同い年くらいに見えた。


 ただし、同い年と言っても、少女の身長は120センチメートル(cm)ほどであり、俺よりも20センチメートル(cm)ほど高かった。


 俺の身長は半年前から少しは成長したが、相も変わらず低く、今は7歳で100センチメートル(cm)ほどしかない。


 しかし、俺と違って白い少女が平均的な成長をしているのであれば、白い少女は7歳の女性の平均身長ほどだろう。


 ではなぜ、そんな少女に俺は(ひざまず)いているのか?




 それは、少女の服装を見たからである。




 この異世界には、一枚装(いっぷそう)と呼ばれる服の種類がある。


 一枚装(いっぷそう)とは、簡単に言えば1枚の布だけを使って作られた服である。


 一枚装に使われている布は1枚だけであり、その布には裁断(さいだん)がされておらず、1枚の布を()い合わせるだけで、一枚装は作られているのだ。


 では、この服はどのような場面……どのような人物が着るのか?


 この服を着るのは、貴族や金持ちなどの権力者である。


 この服は昔、自分たちの布の加工技術や服の製作技術を見せびらかすために作られていた。


「私のところは布を裁断しなくても、こんなに美しい服をつくれるんだぞ」みたいな。


 そして、今では加工技術や製作技術の見せびらかしの要素が減り、服に使われている1枚の布の面積がどれくらい広いのか?という点で、自分達の財力や権力を誇示(こじ)するものになった。


 一布装(いっぷそう)はアーテス長やその(おい)であるティークも着ているので、俺は少女の(よそお)いを見てすぐに一布装だと気づいた。


 ただし、アーテス長やティーク、使用人見習いの時の接客で見た数人の貴族が着ていた一布装よりも長い布から作られた一布装を少女は着ていた。


(本で知っただけの知識だが、あれは……大州(だいしゅう)州長(しゅうちょう)()しくは主要州(しゅようしゅう)の州長レベルなんじゃないか?)


 大州とはこの国に遍在(へんざい)する州よりも、広い土地、経済的(また)は軍事的価値のある土地、州長の権力が強いなどの要素を持つことで、普通の州よりも国にとっての価値が抜きんでた州のことである。


 主要州はこの国に数州しか存在しない州であり、その州の土地や環境が国にとって不可欠なほどに重要な州のことである。


 ちなみに、アーテス州は小さくも大きくもない普通の州だ。


 どちらかの州長(ある)いはその関係者となれば、その一布装(いっぷそう)に使われている布の長さは相当なものになる。


(だが、あの一布装はもっと……)


 俺が少女の容姿について考えていると……




 タッ……タッ……タッ……




 白い少女は歩く。


 その足音は、徐々に俺へと近づいてきていた。




 タッ……タッ……タッ……




 少女は明らかに、俺の方に向かって歩いてきていた。


 そして……




 タッ……タタッ




 少女はその足を止めた。


 少女は俺から少し離れた位置に立ち止まったようで、床に顔を向けている俺の視界に少女の姿は映りこんでいなかった。


 だが、少女が俺の真正面にいることは確かだった。


 すると……




「ここはどこですか?」




 白い少女が問いかけてきた。


 俺は少女の質問に対して……


「…………」


 答えずに黙っていた。


 すると……




「発言を許します」




 少女はそう言ってきた。


 そう言われた俺は……


「こちらの部屋はアーテス州の州都(しゅうと)アーテスのアーテス邸にある図書室で御座(ござ)います」


 今いる場所を詳細に答えた。


 そして、それを聞いた少女は……




「あなたは誰なのでしょうか?」




 俺に誰何(すいか)してきた。


「私はこのアーテス邸にて徴税官見習いの役職に()いている者で御座います」


 俺は少女の質問に対して、答えを返した。


 ただし、名前は答えなかった。




「…………」




 少女は俺の答えに対して、黙った。


「…………」


 俺も特に言えることが無いので、黙った。


 数秒間の沈黙が続いた。


 すると……




「"運命"はあると思いますか?」




 白い少女は俺に運命を(たず)ねてきた

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