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第142話 はじめてのおかいもの

(これは……もしや)




「現金を触るのは初めてか?」


 俺が、中身について推測しようとすると、ティークがそう問いかけてきた。


「はい。初めてに御座(ござ)います」


 ティークの質問に対して、俺は肯定(こうてい)で答えた。


 どうやら、俺や他の財務官(ざいむかん)に渡した小袋の中身は現金らしい。


 ジャラジャラと聞こえることから、中身は紙幣(しへい)ではなく、硬貨(こうか)だと予測できる。


 そして……


「それはお前の給金(きゅうきん)だ」


 ティークは俺に渡した現金が俺の給金だと言う。


「私への給金でございますか?」


「ああ」


 なんと、徴税官見習いには給金が出るらしい。


「本来は1ヶ月ごとに払うのだが、今日は使用人への給料日だし、お前は街へ行けるようになったのに金が無くては不便だろうからな。お前にも給金を渡したのだ。ただし、お前の分は1ヶ月分から徴税官見習いとして働いていない分を引いているからな」


 ティークは、まだ徴税官見習いとして、1ヶ月働いていない俺にも給金を出した理由を()げた。


「私は奉仕(ほうし)させて(いただ)いている身分で御座(ござ)います。それにも関わらず、給金を頂けるとは……感謝の念に()えません」


 俺はティークに感謝を告げた。


(てっきり、徴税官見習いも使用人見習いと同じく給金が出ないと思っていたが、杞憂(きゆう)だったみたいだな)








 翌日……


 タッ……タッ……


 俺は街へと繰り出す。


 そして、今日は大通りをゆっくりと歩き、道の(はし)露天商(ろてんしょう)が構える露店(ろてん)を見て回る。


 俺の今日の目的は、買い物、である。


(つい)に現金が手に入ったんだ。使える物なら買っておかないとな)


 ティークとの会話でも言ったが、俺は昨日給金をもらうまで、現金という物をこの体に転生してから触ったことが無かった。


 それに、使う機会も無かった。


 しかし、今は現金もそれを使う機会も手に入れた。


 早速、使ってみるのも、用途(ようと)を探してみるのも良いだろう。




 タッ……タッ……


 俺は露店を見て回る。


 しかし……


(酒、食品、服、服、酒、酒、食品、酒、服……)


 露店では、食料品、衣料品(いりょうひん)酒類(しゅるい)ばかりが売られていた。


 だが、俺はその3つの物品(ぶっぴん)には興味が無かった。


(飯と服はアーテス側から支給されるし、酒は飲まないし、飲めないし)


 俺は、その3種類の露店はスルーした。


 その代わりに、物珍しいジャンルの店や、いかにも怪しそうな店などをメインに見てみた。


 そして……


 タタッ


 俺は1つの露店の前でその足を止めた。


「ん?……(ぼう)や、迷子か?」


 その露店の店主は、店の前に立ち止まった俺の事を迷子だと思ったのか、そう聞いてきた。


「いえ。私はアーテス(てい)にて使用人の役職(やくしょく)(いただ)いている者です。今日、こちらには買い物をさせて頂くために(まい)った次第(しだい)御座(ござ)います」


 俺は、店主に対して迷子では無いと答えた。


「……そうか。ならゆっくり見ていくと良い」


 すると、店主はそれ以上俺のことについて何かを言ってくることは無かった。


有難(ありがと)御座(ござ)います……おや?こちらはどちらから産出(さんしゅつ)された(しな)なのでしょうか?」


 俺は店主に感謝を告げると、露店に並べられていた商品に目を向けて、質問をした。


「ああこれか?これはな……」


 店主と俺は商品に関して質疑応答(しつぎおうとう)を始めた。








 ガチャ……ガッ、スススゥゥゥゥゥ……


 俺は図書室の扉を開ける。


 今日は給金を初めてもらった日から翌週の休日だった。


 タッ……タッ……


 俺は図書室の中へと入る。


 タッ……タタッ……ススッ


「ドリト様。おはようございます」


 俺は図書室の扉のすぐ横に立っている護衛のドリトへ、敬礼(けいれい)挨拶(あいさつ)をした。


「おお!おはよう!」


 ドリトはいつも通りの気さくな挨拶を返してくれる。


 そんなドリトに対して……




 ……スッ


「ドリト様。いつも有難う御座います。こちら、(こころ)ばかりのものですが、どうぞお(おさ)めください」




 俺は"プレゼント"を渡した。

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