第14話 笑うとしよう
(またか、面倒くさい)
「SUI!BO!BO!BHI!」
父親は、その手に持った、鞠のような物を、楽しそうに、振り回す。
(今日は、鞠を使った遊びか)
「ZU!ZU!ZU!」
父親は、鞠を使って、小芝居をしているようだ。
(…………あっ、いけね)
(つい、無表情で、見てた……)
(笑っておかないと……)
「ばっ!ばぶ!!ばぶ!ばっ!ばうばう!!」
俺は、キャッキャッと、はしゃぐように、作り笑いをした。
母親は、俺の飯や下の世話をする時に、俺のところへ、やってくる。
では、父親は、いつ来るのか?
それは、毎日の正午、である。
正午にやってくる父親は、マッサージと、俺との遊び、をする。
「BU、BU、BU、BUU!」
今、父親は、鞠をリズミカルに振ったり、鞠を俺に近づけたり遠ざけたり……と、傍目から見れば、奇怪ともいえる行動をしている。
だが、これは、赤ん坊である俺との、コミュニケーション……遊びのようなもの、だと俺は思う。
「CUO!CUO!CUO!」
「ばうっ!ばうばう!!ばぶあっ!!」
そして、その遊びの中で、俺はなるべく笑うことにしている。
というより、笑わなければならない、と思っている。
(ははは…………)
(はぁ……面倒くさ)
俺は、この遊びに、なんら面白さを見出していない。
だが、面白がっておかなければ、赤ん坊として、不自然に見えるかもしれない。
(俺が、普通の赤ん坊とは違う、と思われたり、不気味な赤ん坊だ、と思われたりするのは、面倒だからな)
(変な意地を張って、後に禍根を残すくらいなら、笑っておくべきだろう)
「ば!ば!ばぶっっ!!」
俺は、快活そうな笑顔を、作った。
━━数十分後
「……asdy!sdfuiefpiuefauiaef!」
(母親の声だ……)
部屋の外から、母親の声が、聞こえる。
「UISAS!ASDUYYTASDUFY!」
「SUI、DYEUASDIYUFA」
サッサッ
父親が、俺の頭を撫でる。
ダダッ……ダッ……ダッ……ガチャッ
そして、父親は、立ち上がり、この部屋を退出した。
どうやら、母親に、呼ばれたらしい。
(ふぅ、出ていったか)
(じゃあ……)
(父親が、部屋からいなくなったことだし、飛翔現象の練習に、戻るとするか……)
(ん?)
(……これは?)
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