表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
133/149

第133話 結構何でもできる

 ガチャッ




 (とびら)が開く。


 タッ……タッ……


 その(ひら)かれた扉を通って、俺は自分の居室(きょしつ)から出る。


 パァァァァ……


 近くの(まど)からは夜明けの光が差し込んでいた。


 タッ……タッ……


 俺は薄い光が照らす廊下(ろうか)を歩く。


 俺がこのアーテス(てい)に来てから……3ヶ月が経過(けいか)した。




 タッ……タッ……


 俺は初めて図書室に行った日から今日まで、使用人見習いとして炊事(すいじ)洗濯(せんたく)掃除(そうじ)などの、家事使用人がやる、いかにもな仕事を色々とやってきた。


 それらの仕事に(かん)しては……


(まあ、可もなく不可もなく(こな)せていると思う)


 タッ……タッ……


 そして、それは平日の話である。


 俺は、初めて図書室に行った日から、休日を一日中図書室に()(びた)ることに使っていた。


 タッ……タッ……


 そして、今も俺はその図書室に向かって歩いていた。




 タッ……タッ……タタッ


 数分後、図書室の扉の前に到着すると……


 コッコッコッ


 俺はその扉にノックをした。


 そして……


 ガチャ……ガッ、スススゥゥゥゥゥ……


 俺はその扉を開けた。


 スゥゥゥゥ……タッ……タッ……


 扉を開けると、俺は図書室へと足を踏み入れた。


 タタッ……スススゥゥゥゥゥ……ガチャンッ


 そして、後ろを振り向いて扉を閉めた。




 フッ


 扉を閉め終えると、俺は(となり)を向いた。


 扉のすぐ横にはドリトが立っていた。


「ドリト様。おはようございます」


 俺はドリトに朝の挨拶(あいさつ)をした。


「おう!おはよう!」


 ドリトはいつも通りの()さくな挨拶を返してくれた。


 チラッ


 そして、俺はドリトから視線を(はず)して、別のところを見た。


 カカッ……カキキッ……


 すると、俺の視線の先には司書(ししょ)がいたが、彼は本を読まないで机に向かって作業をしていた。


 俺はそれを確認すると……


 タッ……タッ……


 司書の元まで向かった。


 タッ……タタッ


「エートィ様。おはようございます」


 そして、司書に挨拶をした。


 ちなみに、この3ヶ月の間に教えてもらったのだが、この司書は名前をエートィと言う。


 ……フッ


 俺の挨拶に気付いたエートィは俺に視線を向けてくる。


 すると……


「ああ!おはようスイ君!」


 エートィは初見(しょけん)の時とは見違(みちが)えるような、はきはきとした挨拶を返してくれた。


 俺はそんなエートィに……


「今日は何をされているのですか?」


 と(たず)ねる。


「今日はただの定期調査(ていきちょうさ)だよ」


 エートィはそう答える。


「なるほど……(よろ)しければ手伝いましょうか?」


 俺はエートィにそう言う。


「おっ!そうかい!なら手伝って…………いや、やっぱりいいよ」


 エートィは一瞬俺の申し出を受けようとしたが、途中で口を(つぐ)んだ。


「スイ君がここに来られるのは休日だけだろ?なら、手伝わせるのはちょっと悪いかな」


 エートィはそう言って断った。


「お気遣(きづか)いくださり有難(ありがと)御座(ござ)います。ですが、御入用(ごいりよう)(さい)はいつでもお呼びください。可能な(かぎ)()けつけさせて(いただ)きます」


 俺はそう言った。


「分かった。ありがとう」


 ススッ……タッ……タッ……


 エートィからの(れい)の言葉を聞くと、俺は彼に敬礼(けいれい)をしてからその場を後にした。


 タッ……タッ……


 エートィはドリトが言っていた通り、本を読んでいる時に話しかけると機嫌(きげん)露骨(ろこつ)に悪くなる。


 しかし、本を読んでいない時は普通に対応してくれる。


 特に、エートィが仕事をしている時に話しかけるとかなり機嫌良く(こた)えてくれる。


 仕事をしている時に話しかけられたら、普通機嫌が悪くなるのでは?と思うかもしれない。


 だがおそらく、エートィの場合は他人と話すことで仕事から逃避(とうひ)をしたいから、会話に積極的になって機嫌が良くなるのだろう。


(仕事中の無駄話はダメだと分かっていても楽しいからな)




 タッ……タタッ


 俺はエートィへの挨拶を()えると、1つの本棚(ほんだな)の前へとやってきた。


 その本棚には「スキル・魔気(まき)経験(けいけん)」というジャンルが(きざ)まれていた。


 カタッ……スススゥ……


 そして、俺はその本棚から本を取って読み始めた。




 この3ヶ月間……


 図書室で本を読んだり、司書やドリトに聞いたりして色々と分かったことがある。


 まず、スキルについて。


 最初に図書室に来た時、スキルがどういうものなのか?ということの概要(がいよう)について知った。


 次に俺は、スキルで何ができるのか?ということを調べた。


 調べた結果を一言で言うのなら……


結構(けっこう)何でもできる」


 である。


 スキルという力は1つの特別な力を()すのではなく、生物の身体能力や知力とは別の、超常的(ちょうじょうてき)な力の総称(そうしょう)なのである。


 具体的に言えば、俺みたいに(ねん)じるだけで物体(ぶったい)を動かしたり、護衛のように自身(じしん)の身体能力を向上させたり、はたまた物体を生み出したり、相手の精神を操作したり、特異(とくい)物理現象(ぶつりげんしょう)を起こしたり(など)、スキルによって様々なことができる。


 スキルによってできることは千差万別(せんさばんべつ)なのである。


「スキル大全(たいぜん)(第6回)」という本では王立図書院(おうりつとしょいん)とやらが調べたスキルが幾千(いくせん)幾万(いくまん)種類も掲載(けいさい)されていた。


 その本を読んで、護衛達の異常な身体能力を引き出しているであろうスキルが予測できた。


 護衛達が使っていたスキルは、おそらく「剣術(けんじゅつ)」か「身体強化(しんたいきょうか)」というスキルなのではないかと考えられる。


 この2つのスキルはどちらとも、スキル使用者の身体能力を強化するという効果を持っている。


「スキル大全(第6回)」に書かれていた2つのスキルの説明を要約(ようやく)すると……


「剣術」:スキル使用者が剣を(あつか)うために必要な身体能力を強化する


「身体強化」:スキル使用者の身体能力を万遍(まんべん)無く強化する


 こんな感じである。


 そして、両方ともスキル使用者の体内にその影響(えいきょう)(あた)えているスキルなので、どちらも「気系(きけい)スキル」らしい。


「気系スキル」とは、スキルの使用に魔よりも気を多く必要とするスキルのことを言うらしい。


 逆に、スキルの使用に気よりも魔を多く必要とするスキルのことを「魔系(まけい)スキル」と言うらしい。


 そのスキルが気系スキルになるのか魔系スキルになるのかは、そのスキルに使われる魔と気の規模の違いに()るという分け方なので、気系スキルでも魔を使うこともあるし、魔系スキルでも気を使うこともある。


 ちなみに、スキルという力の存在を知ってから、気づいたことなのだが……


 3か月前、俺がこのアーテス(てい)に向かう道中(どうちゅう)ジョーマが(おそ)()かってきた。


 そして、実際(じっさい)にジョーマ達が襲い掛かるよりも前に、隊長は馬車の中にいるにも関わらずジョーマの存在に気付いていた。


 おそらく隊長がジョーマの存在に気付いたのは何かのスキルを使った結果なのではないか?と俺は気づいた。




 そういえば……俺にスキルの事を色々と教えてくれた「スキル大全(第6回)」には数千、数万種類のスキルが()っているので、俺はこの3か月間全ての箇所(かしょ)を読んでみた。


 そして、念じるだけで生物以外の物体を動かせるスキル、つまり俺のスキルをその本の中で探してみた。


 しかし、俺のスキルと同じスキルは見つけられなかった。




 とにかく、スキルという力には大量の種類があることが分かった。


 では、スキルはどうやったら使えるようになるのか?

「面白かった!」


「続きが気になる!」


「この作品を応援している!」


と思ったら


下にある【☆☆☆☆☆】から作品への応援をしていただけるとうれしいです!


あなたのお好きな☆の数で大丈夫です!


ブックマークもいただけると幸いです。


よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ