第116話 世界最大級を凌駕する
ク゛ッ フ゛ウ゛ウ゛ゥゥゥ……
それは、熊だった。
(…………)
森から現れたその熊を見た俺は……
(……デカ過ぎだろ)
そう思った。
その熊は四本足で道の端へと出て来た。
そして、そのサイズは四本足の状態で体高1.5メートル(m)、体長3メートル(m)ほどであった。
(こんなの……ホッキョクグマよりデカいだろ)
その熊の大きさはホッキョクグマの最大級並みの大きさであった。
しかし、そいつは白い毛並みでは無く、真っ黒な毛並みが全身にあった。
ウ゛ウ゛ウ゛ゥゥゥ……
その目も真っ黒なせいで、そいつからは何ら表情が読み取れなかった。
ただ……
ピチャッ……ピチャピチャ……
その口から涎を垂らしていることだけは分かった。
(こいつがさっき言ってた「ジョーマ」とやらか?)
俺はその熊……否、ジョーマを見てそう思った。
そして……
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
護衛達がそのジョーマに向かって剣を構えていることから、ジョーマによる襲撃であることを確信した。
(……あっ、そういや6とか言ってたな)
俺は道の端に出て来たジョーマを見ながら、先ほど俺の隣に座っている護衛……もとい隊長が「6」と言っていたことを思い出した。
すると……
……ク゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛
ウ゛ッ ウ゛ッ ウ゛ッ
……ゥゥウウウ゛ウ゛ウ゛
ク゛ク゛ク゛ッ…………
1頭目のジョーマの後ろから、別のジョーマ達がぞろぞろと出て来た。
その数は4頭、最初に出て来たジョーマを含めると、合計で5頭のジョーマがこの道に現れた。
しかも……
(でかい……)
新たに現れた4頭、その全てが最初に現れた1頭目と同じ大きさだった。
4頭とも体長が3メートル(m)前後の巨体であった。
(なんで、こんなサイズの熊が5頭も出てくんだよ……)
俺がジョーマの大きさに頭を抱えていると……
ズダッ……ズダッ……ズダダッ
ク゛ウ゛ッ!
6頭目のジョーマが現れた。
俺はそれを見て……
(……は?……こんなの知らないんだが?)
と思ってしまった。
そいつのサイズは規格外であった。
体高は約2メートル(m)、体長に関しては4メートル(m)を超えていた。
先ほど出て来た5頭のジョーマが世界最大の熊であるホッキョクグマの最大級のサイズだった。
だが、こいつはそれを明らかに凌駕していた。
現存している熊の仲間で、体長が4メートル(m)を超える種が存在するなど聞いたことが無い。
そもそも、こいつらは6頭とも全身が黒い毛並みであり、真っ白な毛並みを持つホッキョクグマでは無い。
(なんだこれ?)
俺がジョーマ達の大きさに困惑していると……
ズザッ……ズザッ……
ジョーマ達がにじり寄るようにこちらに近づいてきた。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
そして、外にいる護衛達はそんなジョーマ達に剣を構えていた。
俺はその様子を見て……
(えぇ……大丈夫かよ……)
と思った。
(猟銃を持った人間が普通の熊に負けるのに、剣みたいな近接武器でそんな巨大熊に対抗できんのか?)
続けてそう思った。
俺はこの状況に危機感を抱いていた。
そして……
フッ
俺は窓の外から車内に視線を変えた。
俺は隣に座っている隊長と反対側の席に座るティークを見た。
すると……
「…………」
「…………」
2人はとても落ち着き払った顔をしていた。
俺はそれを見ると……
フッ
窓の外に視線を戻した。
そして……
(さて……どうやるんだ)
俺は先ほどまでの不安が無くなり、これから始まる闘いの変遷を観賞することにした。
ズザッ……ズザッ……
俺が隊長やティークを見ている間にも、ジョーマ達はこちらへと近づいてきていた。
ズザッ……ズザッ………………
そして……
ドザッッ!!!
1頭のジョーマが走り出した。
ドザドザドザドザドザ!!!
そのジョーマの走りはその巨体に見合わない加速と速度であった。
そして……
「…………」
そのジョーマの向かう先には1人の護衛がいた。
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