第10話 やってみるのがいい
(俺が、やった気がするんだよなぁ……)
今回の飛翔現象は俺が起こした、という確信に近い感覚がある。
(ついに俺が動けた……という感じではない)
(実際、今も、相変わらず動けないし、あの時、黒い奴に襲われたせいで、激情に駆られて火事場の馬鹿力みたいなものが出た、という感じでもなかった)
(だから、俺は動いていない。だけど、俺が布を飛ばした、ということに、俺は何故か納得してしまう)
(なんだ、これは?……俺がやったことにすると、心の隙間にストンとピッタリはまるような感じだ)
(普通に考えれば、俺以外の誰かの仕業や自然現象、はたまた別の心霊現象、みたいなものが原因、と考える方が、まだ論理的だ)
(だけど、俺は、自分が原因であるということには、感情というか、感覚というか……本能?みたいなもので納得してしまう)
(なんだ?これは?……これは、本当に)
不可解だ。
(ほんとうに、これは、どういう?あ?ん~?)
(……はぁぁ。まさしく、頭がこんがらがる、といった感じだ……)
(いま、頭の中を整理しようとしても、無理そうだな)
(しょうがない……だったら、結論を出すとするか)
(考えても、結論が出ないのであれば……やればいい)
(俺が、本当に布を飛ばせるのかどうか、ということを)
(実際にやってみて、本当に飛翔現象が起これば、俺が飛翔現象の原因である、と結論が出るからな)
(まあ、なぜ俺がそんなことができるのか?という疑問は残るけどな)
(さて、やると決めたが……実際どうやるんだ?)
(とりあえず、念じてみればいいのか?)
(よし…………せぇの)
「ぶんっ!」
(ふんっ!)
俺は、念力的なものをイメージして、声を力ませる。
「ぶっ、ぶぅぅぅ!!」
(ふっ、ふぅぅぅ!!)
俺は、力み続ける。
「ぅぅぅ!!ばっ!……はぁはぁ…………ばぶば」
(ぅぅぅ!!はっ!……はぁはぁ…………だめだ)
しかし、何も起こらなかった。
(はぁ……できないな)
(まあ、とりあえず、練習あるのみ、かな?)
「ぶんっ!ぶっぶっぶっ!ぶぅぅっ!!」
(ふんっ!ふっふっふっ!ふぅぅぅ!!)
俺は、布が飛ぶように、念じ続ける。
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