星翔学園?
「あおとが高校に行かずに将棋を極めたいと言うのは見ていればわかる、現役王将という実績もしっかりとあるしな。このまま中卒でも恐らく生活に困る事態にはならないだろう。」
「それでは、どうして高校に行かなければ行けないのでしょうか?俺には勉強が必要とは全く思いません。俺はもっともっと将棋を学ばなければすぐにタイトルもとられてしまいます。俺はまだまだ成長途中なんですよ。」
俺は少し感情的に言う。俺が今回王将をとれたのは、俺の実力もあるだろうが、俺がまだプロになって浅く、俺の記録に残っている対局が少なく、逆に俺は対戦相手の情報が沢山あり死ぬほど勉強出来たのがでかい、それこそ学校になんてほとんど行っていなかった。義務教育だから卒業出来ただけだ。
「それもわかってる。だからこそだ。」
「だからこそ?」
一体どういうことだ、意味が分からない
「ふっ、意味が分からないという顔をしているな。あおと、お前は勉強をするために学校に行くんではなく、将棋を強くなるために学校に行きなさい。」
「どういうことですか?高校で将棋部にでも入ればいいんですか?」
「いや、高校生で現状お前より強いやつなんていないだろう。それもいいかもしれないが、それよりも、青春してみなさい。」
「青春?」
俺の頭はパニックだ。なんて言ったって普段そんなこと言わない師匠が青春なんて言葉を使ってるんだから、それがどう繋がって将棋が強くなることに繋がるんだ、えっ、えっ、本当にどういうことだ?
「今は、私の言っていることが分からないだろう。大丈夫。すぐにわかるようになる、とりあえず、1度お前が行く高校を見てきなさい。これを」
「これは?」
俺はパニックになりながらも、師匠が渡されて、紙を見る。
「それは、お前が入学する高校のパンフレットだ。高校の名前は、私立星翔学園。お前に今必要なものが詰まっている高校だ。」
「星翔学園?」
「明日見学できる手はずになっているから。
朝8時にここに来なさい。では。」
そう言って師匠はどこかに行ってしまった。どうやら俺が明日学園の見学に行くのは決定事項のようだ。まー、師匠は意味の無いことを行ったりやったりするような人では無いから、俺のためを思って言ってくれているのはわかる。仕方がない、とりあえず明日見学に行ってみるか。俺は、清子さんにお礼を言って師匠の家を離れるのだった。