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過去後半

小6の夏、俺は、規模が小さい小学生までの将棋の大会に来ていた。じいちゃんとの約束を守るため、まずどうしたらいいのか考えた俺はとりあえず大会に出ることにしたのだ。今の自分の実力を知りたかったからだ。おじいちゃんは俺に才能があるって言ってたけど俺はあんまりそう思うことが出来なかった。だって才能があるやつはもっともっと効率よく色々学ぶんだって、俺は思ってるから。俺はただ時間を無駄に使って疑問に思うことをひたすら対局で打って打って確かめるだけだったから。大会に出ることにしたはいいけど、俺はそこでびっくりした。だって、大会の会場には、溢れんばかりの人だかりができていたからだ。あんまり規模が大きくない大会だって調べたから参加することにしたのに、たしかにそこまででかい会場ではないけど、それでもこんなに人がいるなんて聞いてない!!。恥ずかしがりやの俺は

急遽近くの店で、覆面を買うことにした。対局?

もちろん勝ったよ!。余裕だった。そもそもそんなに参加者もいなかったから、3人ぐらい倒したらなんか優勝って言われた。すごく周りがざわざわしていたけど、まー、俺が覆面をつけてるからざわざわしてるんだろうと思って俺は、恥ずかしくなってそそくさと大会会場を後にした。後になって聞いた話だけど、この時に俺が決勝に当たった子が、去年の全国大会の優勝者だったみたいだ。

その後も大会があるって聞いたら片っ端から参加した。みんな俺の覆面を見てびっくりしてたけど、別に俺の顔が見られないんだったら周りから何を言われても俺は気にしないからいいかなーっていつも思ってた。でもある時、何回目かの大会の時にそこの運営の人に言われたんだ。その日の会場は風が強くて、覆面だったら顔が寒いんじゃないかって、じゃーどうしたらいいですかっ?て聞いたらその人は親切に笑いながらこの仮面でもつける?ってたまたまハロウィンのあまりであったんだって言って、銀の百均なんかにくれてる西洋の甲冑に、似合いそうな仮面をくれたんだ。もちろん、材質はプラスチックだからとても軽かったよ。その日はその仮面のおかげで顔も全然寒くなくて優勝することが出来た。そんなことを一年ぐらい繰り返して俺は、なんだか世間の将棋好きの人から応援してもらえる存在になった。俺が大会に出るたびに、仮面の棋士、仮面の棋士ってみんなが言ってくれる。最初はバカにされてるのかと思ったけど、どうやら俺は将棋好きの人ぐらいなら知ってる程度の認知度があるぐらいには有名になったんだなって思って少し恥ずかしくなったのを覚えている。思えば、この時から俺は少しづつ道を間違えていたように思う。そんなある日、いつも通り道場に行ったらなんだか凄く優しそうな、スーツを着たおじいさんがいたんだ。そしたらそのおじいさんが俺を見て一言。


「君が晴彦の孫かい?」


って、晴彦って言うのは俺のおじいちゃんの名前だから俺は、はい。って言ったんだ。そしたらそのおじいさんが、俺は晴彦の兄弟子だって、色々説明してくれたけど、中一になっても将棋をやりすぎて常識がなかった俺は、全然おじいさんの言っていることがわかんなくて、何度もおじいさんに質問してしまったけど、結局わかったことは、そのおじいさんはプロの棋士で俺を弟子にしてくれるってことだった。どうやら、おじいちゃんが死ぬ前にこのおじいちゃんに連絡してどうか俺を弟子にしてくれって言っていたみたいだ。で、俺は今までどれだけ将棋の実力があるのか調べられていたって話だそうだ。会うまでに時間がかかったのは俺が大会の時だけ仮面をつけるからどれが俺か分からなかったんだって、ちなみに俺は大会に出る時、偽名を使っているのでそれも関係したみたいだ。これは俺の師匠である、武田和人(たけだかずひと)九段と出会った瞬間だった。そこからはあっという間だった。将棋がいっぱいさせる奨励会に入れてもらって、勝ち続けてたらいつの間にか四段になっていた。史上6人目の中学生棋士だ。あっ、もちろんどの対局も仮面をつけてしたよ。最初は文句を言ってきた人たちも対局したらなんか許してくれた。皆、俺と対局したあとは顔が真っ青になってたけどあれはなんだったのかな?、まっ、それは置いておいて、俺が四段になったら、お前はもうプロだって師匠に言われたんだ。師匠はいつも大事なことは終わってからしか教えてくれない。まっ、でもそれが師匠のいい所なんだけどな。奨励会とかのお金は全部おじいちゃんの保険金で払った。それが、おじいちゃんの遺言だったみたいだ。俺は、プロになってまず、おじいちゃんのお墓参りに行った。おじいちゃんの墓前で俺はおじいちゃんに言ったんだ。


「おじいちゃん、本当にありがとう。こんな将棋しかできない俺を信じてくれて、おかげで俺プロになれたよ師匠にはこれからだって言われてるけど、とりあえず俺プロになれたよ。」


少し強い風が流れてその音が「おめでとう」って言っている気がしたのは、俺の気のせいだったのだろうか?

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