常磐さん。
常磐佳奈、12星制度受講者であり、水瓶座を
与えられた才女である。水泳部に所属しており
中学の3年間で全国個人の部門を3連覇して総なめに
した実績があり将来のオリンピック候補最有力と
言われている。それと他人と馴れ合わず大会後の
インタビューなどにも冷徹に対応すること、どんな
相手であろうが平等に圧倒的な差でその実力差を
見せつけることから、「冷酷のマーメイド」の
異名を持つ。ちなみに本人はこの異名について
過去にインタビューでどうでも良いと一閃している。
そんな少女と俺は今2人でいる。
常磐さんは入学してから誰とも馴れ合わず、話かけて
くる人達にも鋭い言葉をぶつける様子ばかりを
見ていた。だけど、そのたびに彼女のその魅力に
取り憑かれる人達ばかりでいつだか彼女に
罵って欲しいヤバいやつらの集まりができている
とかなんとか。そんな彼女が自ら誰かに話しかけて
いることなんて俺は知らない。なのに、その彼女に
話しかけられた俺は相澤さんの時と同じように、
いやそれ以上に意味の分からないまま気づいたら
空き教室にいた。だけど、今この教室は沈黙に
支配されている。なぜだか俺を呼んだはずの
常磐さんは何も言ってくれない。
そんな沈黙を誤魔化すように改めて常磐さんの顔を
眺める。やっぱり、とても綺麗な顔をしている。
凛とした少し水色がかっている瞳に水泳で色落ち
したであろう茶色のサラサラの髪。さすが
マーメイドと呼ばれているだけはあると思う。
そんな俺の視線に気づいたのか常磐さんに
軽く睨まれる。
「あっ、すいません。失礼しました。」
「いや、べつに呼んだのは私だし何も
気にしてないわ。」
とりあえず怒られなかったので良かった。
「ごめんなさいね。突然呼んでしまって。
少し確認したいことがあって。」
「確認したいこと?」
「ええ、確認したいことよ。あなた、相澤さんと
良く話しているようだけどどう?」
「どう?と言われても、絡まれているだけど
特に何も思わないですよ。最近は忙しいようで
絡まれることも無くなって嬉しい限りです。」
俺は笑顔でそう言う。
ボソボソ......強がっているわけではなさそうだし
やっぱりこの子は......
小さい声で何か言っているが、分からない。
「そう。あなた相澤さんの本性に気づいている
わね?」
突然の言葉に驚く。なるほど、やっぱり常磐さんは
相澤について俺と同じ考察をしたのだろうか?、
それで相澤さんの行動で鬱陶しがっている俺が
本当に相澤さんに対して何も思っていないのか
確認したのかったのか?、俺はそう納得して、
自分の考える相澤さんに対する考察を常磐さんに
話した。
常磐さんは驚いて顔をして。
「なるほど。驚いた。私と同じ考察だわ。
いや、それ以上に考えられている。」
そこからどうやら思考をしているようで常磐さんは
自分の世界に入ってしまっている。




