史上最年少王将
メインは学園恋愛ものとなっていますので、将棋はほぼ出てこないと思います。すみません。
作者は将棋は見る専なので、間違いがありましたら
ご指摘お願いします。
「パチンッ!」
記録係がペンを動かす音と着物が畳をする音が小さく鳴り、定期的に駒を動かす音が部屋に鳴り響く。
長考の末、俺が打った7七金を見て窪田王将が深くため息を着く。それは感嘆の声のようにも聞こえた。少しして、着物を整え、窪田王将が頭を下げる。
「参りました。」
下げると共に聞こえた声に応じるように俺も頭を下げる
「ありがとうございました。」
と、それは相手に聞こえてるのかも分からないようなか細い声だったけれど許して欲しい、今俺の出せる全力の声なのだから。
俺が顔をあげる時にふと見えた窪田九段の顔はどこか清々しいように思えた。
その瞬間を今から今かと待っていたのだろう。
「うおおおおーーーーーーー!!」
と様々なマスコミや報道陣が俺たちの周りを包囲する。
この瞬間、俺、こと、森内碧斗
が将棋の八大タイトルの1つである第71代王将になった瞬間であった。
新潟県「佐賀グリーンホテルきらく」で行われた
第71棋大阪王将杯王将戦の7局目から1夜明けた。
俺の年齢などの配慮もあり今日は記者会見などはせず
1日自宅でゆっくりさせて貰えることになっていた。
「昨夜、新潟県の佐賀グリーンホテルで行われた
将棋の第71期大阪王将杯王将戦の7局目は、
史上6人目の中学生棋士である森内5段がとり、
史上最年少での王将となりました。本当に白熱した
試合でしたねー、それではここで.........」
「ピッ、」
テレビを変える俺。
「森内5段と言えば、対局中に1度も素顔を見せないことで有名ですがこれにはなにか深い意味があるんでしょうか?どう思いますか?竹内さん?」
「意外と単純に素顔を見せるのが恥ずかしいからとかだったりするかもしれませんね?はははっ、」
「もー、そんなわけないじゃないですかーははっ、」
「ピッ」
少し乱暴にテレビを消す俺。
「うーん、どの番組をつけても俺のことしか放送してないじゃないか。他にいくらでも伝えるべき大切なことがあるだろう。もーー、本当にどうしてこうなってしまったんだ。」
頭を抱えて嘆く俺はこんなに目立ってしまった経緯を少しづつ思い出していくのだった。