【秘書日記1】ユリ・ナギサ~隊長、私って~
隊長、私って。
何かのお役に、立ててますか?
隊長、私って。
もしかして女として、見られてませんか?
隊長、私って。
そんなに大人じゃ、ないですよ————。
誰も昨日なんて見えてない。今の安らぎで、満たされていて。
突然景色が変わったの。やっぱり嘘だと、思うでしょう?
想いや常識、価値観も、あなたは全てを塗り替える。
見えてる景色が違うのね、歩んだ過去さえも。
そうして存在することで、誰かの未来を照らしてる。
誰かの笑顔になっている。誰かの夢になっている。
月夜の晩に二人きり。水面に揺れる、影と影。
結局こうしているだけじゃ、何も変わらないね。
でもきっと、その隙間もない。
いつか、他の、誰かと別の空の下。
終わりが来れば、こんな私だって……忘れられるはずだよね——?
だからやめてください。前を向いて、振り返って、また優しくするの。
そんな風にあなた映り込むから。見ない振りしても、いつも。
私そんな強くない。大人じゃない、我慢できない、見ているだけも。
それでも傍に置いてくれるの? あなた許してくれるの?
ダメだね、あぁ私こんなに遠すぎる。こんな私壊して、ください——。
19話
クスッ、なんとも微笑ましいですね。皆この人に救われてしまいましたね。でもあんまりくっつき過ぎると、どこかの巫女様がまたお怒りになってしまいますよっ。
あらぁ~、団長さんもまたぶっ飛んだことをお願いするのですねぇ。話を聞いている限り、ウチの保護区もそのある男っていう方にアンテナを張るためのものみたいですね。
アイネさん……愛されているのね、団長さんに——。
20話
あまりわがままを言えたものでもないですが、そろそろ身体を流したいですね……。
えっ? シャルム湖!? これが……! 一度来てみたかったんです!
——って、スタークさんこれ……。水着、私のだけやたら布面積が小さくないですか? こんなの恥ずかしくて着れません! でも、身体は流したい……うーん。仕方ない……ですよね?
……やっぱり! 昔から嫌だったんです! これのせいで、男の人の視線が気になって気になって——。
なっ、凄いだなんて、アルカさんまで……。でも、なんでしょうか? 今までの男の人や後ろの二人とは、なんだか違う気がします——。とにかく恥ずかしですっ。もう、いいですよね? お先に失礼しますっ。
21話
クスッ、おつうちゃん、こうして見ると本当に子供みたい。アテナさん、娘に旦那さんを取られた奥さんみたいです。……本当、お似合いです——。
——はっ! つい、気づいたらこんな近くにアルカさんの顔が! でっ、でも、これだけ近づいても、アルカさんは厭らしい視線を送って来ない……初めてかもしれません。男の人の前で、こんな風に自然に居られるのは。こういう人も、居るんですね。
22話
三人とも少し遅いですね……何かあったんでしょうか? まぁアルカさんもチャンさんも居ますし、心配ないですよね。うーん、お腹空きました。
あらら、帰って来たと思ったらスタークさんが惨いことに……。うーん、あっ、そういえば水着の件がまだでしたね。ここは静観しても、罰は当たらないでしょうか。
23話
なるほど……おつうちゃんの話を聞くに、それが本当ならこの二人が怒るのも無理はないですね。
しかし、アルカさんはそういったことをするようにはどうしても思えませんが……。
——ふむふむ、そういうことでしたか。なんとか誤解を解いてあげたいところですが、今私が出たところで焼け石に水……でしょうか。ここは怒りが収まるのを待った方が良さそうですね。お二人とも、もう少し耐えてくださいね。あっ、スタークさん……はもうダメそうですね。
アルカさん、お疲れさまでした。大変でしたね。それはいつものことでしょうか。
疲れてます……よね? い、いいんですよ? たまには誰かに甘えても。私で良ければ、いつでも。
——やっぱり私では、ダメでしょうか?
24話
部隊登録ですか。でも人数が……なるほど、そういった形もあるのですね!
新しい居場所。なんだかワクワクします。
25話
——ひゃんっ! 綺麗だなんて……! アルカさんは一体何を考えているの? アテナさんもナツキちゃんも居る目の前で。——私が本気にしたら、どうするんですか?
クスッ。隊長はアルカさんですね。皆そう思ってますよ。
あらおつうちゃん、上手ですね! 皆凄い、何かしらの特技を持ってる。私は——。
26話
秘書……秘書って、そういうことですよね? 部隊の、ってことじゃなくって、アルカさんの……隊長の秘書、いわゆる専属ってことでいいんですよね……? ——わ、わかりました。アルカさんが言うなら、仕方ないですよね? お二人とも、怒らないでくださいねっ。では今日からは、改めて職位で呼ばせて頂きます。——た、たいちょっ。
うっ……。やっぱり両サイドからの視線が痛い。
戦場に行かれるのですね、隊長。わかりました、どうかお気をつけて。
27話
アテナさんもナツキちゃんも、しっかりサポートしてて凄いです。それにくらべて私は——。
……はっ、おつうちゃん? ——ダメですね、こんな小さいコにまで心配されて、手なんか握られちゃって。しっかりしなきゃ。隊長も副長もいない、私が一番お姉さんなんだもの。いざという時は、私が決断しなきゃ——!
ピンクレディーは回収できた。けど〝字持ち〟が隊長の方へ……!? しかもサポート組はもう満身創痍、どうしたら……いいえ、信じるしかない。あの時だって、ちゃんと隊長を信じたから、今こうして私たちはここに居るんでしょう? 相手が誰であろうと、今後もそれは変わらないはずです。
変えちゃ、いけないはずです。
28話
戦況は把握できていないけど、副長がまた出ていってくれました。もう任せるしかない、なんとかお願いします、副長……! 信じてはいる、信じてはいるけど、いざという時は……離脱します、それでいいんですよね? 隊長?
ここの誰もが、絶対にその決断は下さない。そのために、私がここに……居るんですよね——!
29話
良かった……! 皆さんが踏ん張ってくれたお陰です! お疲れさまでした!
ナツキちゃん……そうですね、早く隊長の元へ向かいましょう。一刻も早く。
30話
あっ、ナツキちゃん——。あらら、飛び出してっちゃった。
心配だったんですね。早く顔が見たかったんですね。褒めてもらいたかったんですね…………私もです。
えっ、アテナさんまで——。お二人とも、その素直さが、羨ましいです。
私は持っていないもの。そしてこの先もきっと、手に入れられないもの。
アテナさんもナツキちゃんも、お先にどうぞ。私が一番大人だから。私は最後でいいので。私は遠くから見てますので。
私は、我慢しますので——。
31話
隊長に、一声だけ掛けさせて頂きました。もちろん、秘書として、です。
いつも通りに見えてますか? おかしなところはありませんか?
——ダメですね。自分が一番おかしいって、思ってるなんて。
あんなにアテナさんを心配してる。あぁ、やっぱりそういうことなんだろうなぁ。
エリィさんも、あんなに怒られて……あれ? 変でしょうか? 楽しそう、だなんて。
皆それぞれの距離がある、隊長との特別な距離が。
私にもある。皆とはずっと離れた、この遠い遠い距離が————。
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