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【メイド日記1】ナツキ・エトワール~アルカ様のために~

 アルカ様のために。

 助けてくれた、人だから。



 アルカ様のために。

 自分を通せる、人だから。



 アルカ様のために。

 これが運命なんだって、わかったの————。





 出逢ったあの日は平穏な、いつも通りの昼下がり。

 不思議な空気に包まれた、真っ赤な髪の流れ者。

 お連れの女性(ひと)は、美しく。けれどもどこか、妖しげで。

 お似合いの二人、私もいつか……こういう出逢いが、ありますか?


 おんなじアズリア(くに)の人だった。あなたも記憶を無くしたの?

 やっぱりどこか暗い顔。とにかくお休みくださいな。

 しばらくすると、出て行った。随分明るくなったのね。

 淋しくなるけど、お元気で……それで終わりの、はずでした。


 全てが夢ならいいのにね。ここまでのことも、この瞬間も。

 私はいい顔ばっかりで、自分が何か、わからない。

 結局ずっとわからぬままで……こうして一生を終えるの。


 そうして瞳を閉じた時。風が舞い降りて、あなたがいて。

 思わず泣いてしまったの。運命だって、思ったの。

 バカだね『憧れ』なんて言って……ずっと遠ざけてただけなの。


 誰かに(さら)ってほしかった。

 流れにたゆたうこの人生。流れに任せるこの人生。

 本当の私を見つけてくれる、そういう人を、待ってたの。




5話

 スタークさんが帰ってきた……と思ったら、知らない人を連れて来た。

 どうせまた迷惑かけたんでしょう? 改めてお礼を言っておかないとですね。

 え? アズリアの人? 男性は珍しいけど……女性の方もそうなのかな?

 あはっ、二人ともミステリアスで、なんだかお似合い。末永く爆発してくださいねっ。


7話

 こんな夜遅くに誰? と思ったら、またスタークさんがアルカさんを連れて来た。もはや自分で歩けてないし、わかるぐらいにはお酒臭い。

 え? チャンさんから? それならどうぞ。空いてるお部屋を使ってくださいな。でもお酒はほどほどにしないとダメですよ!

って、これはいつか盛大にパパがやらかした時の、ママの受け売り。


8話

 アルカさんは随分辛そうだけど、チャンさんと約束があるみたい。

 えっ、待って! おつうちゃん絵上手過ぎ! 天才っているのね……!

 と思ったらスタークさんがまたデリカシーのないことを……しかもお客人に!

 今日という今日はシバき倒します! そこに座りなさい!



11話

 最近、アルカさんと少しずつ会話が続くようになってきた。

 どうやら、アテナさんとはそういう関係じゃないらしい。うっかり早とちりしちゃった。

 おつうちゃんも、こうして心を開いてくれるようになった。

 二人とも、少しずつ元気を取り戻してくれているのかな? なら嬉しい。

 と思ったら、アルカさんたち行っちゃうの!? せっかく仲良くなれたのに……淋しいです。でもしょうがないよね、皆それぞれ事情があるものね。

 私は特に、ないけれど。


12話

 やたら息を切らしたスタークさんは、当然の如くお遣いを忘れていた。

 そろそろご飯抜きの刑かな? と思ったけど、アルカさんたちにお弁当? それでそんなに急いでたの? ……もう、しょうがないなぁ。すぐ作るから、その間に買って来てくださいね。

 ——スタークさん、今頃もうアルカさんたちと合流してるかなぁ。とか考えてたら、慌てた様子で13番隊の人たちがやって来た。……えっ? 襲撃?

 皆を避難させなきゃ! 早く馬車に乗って! ほらおつうちゃんも——ダメだよ、お姉ちゃんはまだやることがあるの。お願い、言うことを聞いて。どうして? なんで聞いてくれないの?



13話

 この辺りの人たちは、皆非難が完了したみたい。良かった……あとは私たち二人だけ。でもごめんね、足がもう動かないみたい。あそこに見える魔獣がこっちに気づいたらもう終わり。

 あぁ、私も恋とかしてみたかったなぁ……。

 引っ張ってくれる人がいいな。颯爽(さっそう)と現れて、こんな毎日から連れ出してほしい。泣き虫だから、守ってくれる人がいい。年上で、優しい人がいい。

 そしたら私、全身全霊で尽くすの。

 でもこんな小さいコがこうして守ってくれているのに、最後は自分のことばっかりで……ダメだなぁ。いつもいい人ぶって、私ってこんなに汚かったんだ。

 ごめんねおつうちゃん。一緒に()くのが、こんな私でごめんね。

 何……? 今の風——。 あ……れ? 魔獣がバラバラになってる……。

 ——なんで? どうして? アルカさんがここにいるの? お弁当? なにそれわかんない。でも私生きてる……私生きてる! まだ生きてていいんだ、諦めなくっていいんだ!

 私決めた。変わるの。これからはちゃんと自分で決めて、後悔のないように生きるの。

 汚い私から、目を背けない。もう、流されない。


14話

 アテナさん、ありがとう。痛みはだいぶ(やわ)らいできました。

 でも、ちょっと起きてるのが辛いかも。

 私やっぱり死んじゃうのかなぁ……。おつうちゃんは凄いな。アルカさんに褒められてる。

 ——いいな、私も褒められたい。あんな風に膝に乗ってみたい。

 ……あれ? なんでこんなこと——。


15話

 目を覚ますと、全然知らない場所に居た。ここがどこかはわからない、でもどうでもいい。

 私は生きていた、皆も生きている。アルカさんありがとう。きっと、そうだよね。

 戦功? やっぱりお手柄だったみたい、でもなんか……アルカさんは納得いってない感じ?

 って1000万!? うそぉ……あっ、おつうちゃん、ちょっと……お願い、ここは言う通りにして。



16話

 ハクツルさん(このひと)って確か、凄く偉くて、凄く強い人だよね……? そんな人に、こんな風に立ち回れるものなの? これって普通なの? ……絶対違うよね? こんな人っているの?

 ——この人かもしれない。いいえきっとそう、この人以外にあり得ない。

 誰かに対して、こんな風に思ったことなかった。

 この人なら、私を連れ出してくれる。この人なら、きっと私を守ってくれる。

 目の前にこれだけの大金を出されても、全く動じない。欲しいものを欲しいってはっきり言える。

 しかもそれが他人なの? こないだ会ったばかりでしょう?

 私も欲しいって、言われたい。



17話

 この人にはわかるんだ。(のが)しちゃいけない出逢いが。瞬間が。

 チャンさんもそれに応えている。きっとこれが、ホンモノの絆なんだ。

 私の理想の人だ。これが運命だ。やっと出逢えた……! 私も絶対(のが)さない、離れない。

 おつうちゃん……アテナさんもまたくっついてる。でも、違うんだよね? そういう関係じゃないんだよね? だったら——私もいいよね?

 ——気づいたらアルカ様の背中の(すそ)を掴んでた。私……一歩前に進めたよね?

 今日はその両腕は二人にあげる。でも明日からは、私も——。

 アテナさんに『私も1000万以上の価値がある女になりますね』って言ったら、なんか凄い動揺してた。あはっ、ほんとかわいい。さ、今後のことを話し合いましょうね。


18話

 話し合いの結果……というか、ほとんど話し合いにはならなかった。

 色々提案したけれど、最終的にはアテナさんにしっかりお許しを頂いたので、アルカ様には今後、常におつうちゃんの手を引いてもらい、私とアテナさんは日替わりで……という落としどころにした。

 私は全然これでいい、ここから始めるの。そういえばアルカ様の意見は聞いてないけど、許してくれるかな……ううん、許してもらうの、絶対。

 ——アルカ様って言っちゃった! つい……って感じを出したつもりだけど、わざとってバレてないよね?

 許してくれた——! やっぱり優しい! ……でももうダメ、ここが今の私の限界。

 心臓の音がうるさくて。多分これ皆にも聞こえちゃってるもん。

 でも私……頑張った! 前に進めた気がする! 明日が来るのがこんなに楽しみなんて——生まれて初めて!

 アルカ様のために、生きていきたい。

 全身全霊、尽くしたい。

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