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元勇者の墓守は理想の死園を築き上げる  作者: 結城 からく


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第49話 勇者は戦利品を確かめる

 奴隷は総勢二十人ほどだった。

 レナが街で調達してきたのである。

 必要だと考えて購入したらしい。


「どうだい? 店主と交渉して、格安で確保できたんだ」


 レナは得意げに語る。

 彼女の言う交渉は、些か不穏な響きがある。

 もっとも、鎧の返り血を見るに今更だろう。

 わざわざ追及することもない。

 詳しく聞いたところで、何も意味がなかった。

 僕達にとっては有益であるのだから、ただ彼女に感謝するだけでいい。


 奴隷達は、様々な技能を持っているそうだ。

 村の運営において役立ちそうな人材を厳選したのだという。

 例を挙げると戦いが得意な者や広い知識を持つ者、魔術を使える者、大工や調合師、鍛冶師などもいるらしい。

 僕達だけでは補えない部分ばかりだった。

 これに関してはさすがと言う他ない。


 馬車に載せられた物資についても、かなりの量があった。

 日用品から嗜好品まで一通り揃っている。

 奴隷も含めてかなりの出費に思えるが、レナのことだ。

 きっとどこかで資金を調達したのだろう。

 わざわざ訊くまでもなかった。

 彼女が漂わせる血の臭いがすべてを物語っている。

 もしかすると、支払いさえもしていない可能性があるが、深く考えることはしない。


 話が落ち着いたところで、奴隷達にいくつか空き家を提供する。

 使っていない家屋はまだいくらでも残っていた。

 当分は新しく建てる必要がないだろう。


 新しい住居を巡る奴隷達を観察していると、村の中央部からマリーが駆けてきた。

 彼女は勢いよくレナに抱き付く。


「おかえりー!」


「ただいま。良い子にしていたかい?」


「うん、頑張って魔術の練習をしてたよ! また新しく使えるようになった!」


 マリーが元気よく答える。

 それにレナは優しく応じていた。

 なんとも温かい光景である。

 ここが死園でなければ、心が和んだかもしれない。


 そんな二人のやり取りを眺めていると、遅れてエマが到着した。

 僕は彼女に話しかける。


「すっかり懐いているな」


「外面はいいから」


 エマは皮肉を利かせて述べる。

 今のはレナを指した言葉だろう。

 その返しに僕は思わず苦笑いをした。


「辛辣だね」


「これくらいがちょうどいいの」


 エマは軽く嘆息する。

 彼女は、どこか達観した眼差しでレナとマリーを一瞥した。

 意外と毒舌なエマだが、当初は心配性で不安ばかり抱いていた。

 ところがどこかで吹っ切れたのか、現在は僕よりも落ち着いているように見える。

 だんだんと死園に順応しつつあるようだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >彼女の言う交渉は、些か不穏な響きがある。 >彼女が漂わせる血の臭いがすべてを物語っている。 >もしかすると、支払いさえもしていない可能性があるが、深く考えることはしない。 「交渉」と…
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