第4話 俺が創造主!?
第4話 俺が創造主!?
「春彦様が、次の年号を発案されるのは分かっています。それゆえにあなたは狙われているんです」
とんでもない美少女たちが、俺の部屋で思い思いに座ったり歩き回ったりしているのに眩暈を感じていたら、いきなり本題だ。
「明治さん、何を言ってるんだい?改元にかかわっているのは親父だよ」
「そういうのはいいです、事情は把握しています。お母様にはお悔やみを、弟ぎみの誕生にはお祝い申し上げます」
明治さんは、どんな表情をしていいかわからないといった戸惑いの表情を浮かべる。
悲しみと喜びとあざなえる縄のような感情をどうしていいかわからないのは家族だけじゃない。
「……ありがとう」
「それでお父様はお忙しく、あなたが新年号を練り上げてらっしゃるんですよね……じゃなければ、一介の高校生の机に「尚書」「文選」「周易」が積み上げられているでしょうか」
「いや、それは趣味で」
「まだ、とぼけられます?」
「春彦!私の元ってある?」
「元応ちゃんはね、「唐書」だよ」
俺が古びた書籍を渡すと、ありがとうと元応ちゃんは飛び跳ねた。
「元応」の元号は中国の「唐書」の中から選ばれたものだ。
「いいですか、創造主が認めようと認めまいと、あなたを狙って「敵」がやってきます」
今朝もあったでしょう?あれも「敵です」と明治さんはいう。
登校前にあった、刀を持った少女、あれが?
「100歩譲って俺が年号を発案しようとも、俺が考えたものになるとは限らないだろ?有識者会議やら、国会の決議やらあるんだし」
明治さんは、らしからぬ表情で嫣然と笑い「いいえ、創造主」と髪をかきあげて、元応ちゃんと、貞観さんと一緒にフローリングにひざまずいた。
「え、やめて?」
「創造主が発案された年号には「言葉の力」があります、必ずあなたが考えたものが選出されます」
「ほら、立って!」
「お願いします、創造主、新年号を生み出し、そして新年号の教育係となってください……」
「俺は一介の高校生で」
明治さんはすっくと立ちあがると、信じられないくらい柔らかくてすべらかな手で俺の手を握りとった。
「私の全てを差し上げますから」