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2nd Life:異世界で英雄になった剣士  作者: 太古
第3章:神話と伝説
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41話:王都奪還作戦

大学受験に備えて勉学に励んでいたので、遅れました(言い訳)


許してぇ⬆(´-ω-。` )

シルフが島へやってきてから4ヶ月が経った頃、砦は無事建築され、軍備拡張、情報網の拡大により着々と力を蓄えている善神軍。単なる拠点として開拓されてきたこの地も、人口の増加に伴い建築物は増え、今ではちょっとした街のようなものになっていた。


元は軍事施設の集合体が、地方の難民を受け入れた結果が今の状態である。ただ、柊二達は民事には関与していないので自由都市として機能している。

人口の増加は名が知られ、この地を危うくする可能性があるものの、反対に物資の輸出入の頻度が増える分には悪いことでは無い。


今日も人々で賑わう街道を柊二はいつもの装備で闊歩する。彼の後ろには600人ほどの兵士がついて行く。少し前にメルセリア国内の情勢を探る為に送った内通者から一報を受け取った柊二は、ジャカル達を集めて会議を開いた。


案の定、メルセリアの政権交代には裏があった。その裏話がまさか貴族院の1人が敵の間者という所は予想外であった。間者による策略でメルセリアは一時的とは言え、敵の手に堕ちたとの情報だ。


当然の如く柊二は分かっていた。メルセリア内の敵は少数であるとの事で会議の結果、先発隊による王都奪還作戦が決議された。先発隊メンバーには陽動役にメルトが自己推薦、それに本人たっての希望でシルフが行くと言う。当時は彼女の護衛役としてリノアが推されていたが、シルフが柊二を推薦したので有無を言わさず決まった。


主要メンバー3人が港からテニオラ由で王都へと向かうために、街道を歩いているのだ。勿論、誰にも気づかれないようシルフは新調したローブのフードを頭までスッポリと隠す様に被り、荷馬車の荷台に身を潜める。


街の人々や兵士達は柊二の姿を見るや否や敬礼で答えるものや、声援を送る者、中には老婆が拝む様に手を擦る。


こうして皆に見送られながら、柊二率いる先発隊は船に乗り込んでいく。目指すは王都の解放。終戦の為の重大イベントである。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「作戦概要を説明する。作戦決行の時間帯は夜間。まずここから1km先の森林にて歩兵隊は待機。城門の2つのうち1つはこの森林の目と鼻の先だ」


テニオラの拠点にてテーブルに地図と作戦案書を並べ、各小隊長と本隊長を主に集めてのブリーフィングを始める。


「次に陽動部隊は歩兵隊から遠い位置に配置、そこで出来るだけ多くの松明を設置して、歩兵隊の移動が終わるまで待機しろ。歩兵隊からの合図を受け取り次第、火を灯して退避してくれ。」


「単純な作戦だが上手く行けば敵を誘き寄せる事が出来るはずだ。閉門を見計らって歩兵隊で奇襲をかける。敵防衛隊を殲滅後は陽動部隊は拠点に戻って本体を連れてきてくれ」


地図の上に置かれた歩兵と魔導士を象った駒が並ぶ。その駒を隊に見立て、作戦の順序事に地図の上を滑らせる。


「歩兵隊の指揮は俺が、陽動部隊はメルトが執る。異論のある者はいるか?」


柊二の問い掛けに誰も手を挙げず、光を灯した眼差しで見つめ返している。全員のやる気が何も言わずともひしひしと伝わってくる。


「以上、全員解散。各員持ち場に着いて待機しろ」

総指揮官の命令と共に兵士達は自分の部下に伝達しに行く。


装備の点検、用意を済ませたその後は、柊二達歩兵隊はメルト達と別れ、足元の見えない暗闇の林道へと脚を踏み入れる。分厚い雲に覆われた空は月夜の光も通さない。凸凹道に足を取られるのはまだいいが、この林道はメルセリアに隠密で近づく唯一のルート。警戒した敵が罠を仕掛けてないとは言い切れない。


見えない恐怖と戦いながら一行(いっこう)は確実にメルセリアへと近づいていくのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

入口に比べて辺りの茂みが一層生い茂る場所に柊二達はいた。草木をかき分けた先には、見るも立派にそびえ立つ石製の城壁が佇んでいた。攻城兵器の攻撃を何度も防げそうな程のその重厚感は、正しく未来に残る遺物となるだろう。


その壁上を無数の兵士が松明を持って徘徊している。これまでにない雰囲気は、言わずとも敵の精鋭部隊であろう。2人1組のツーマンセル、弓兵と歩兵ので警戒する敵兵は壁外に異常があれば弓兵が見逃さないだろう。


そんな中で柊二は歩兵隊の中から弓兵を1人呼び出す。ハンドサインで意思疎通を受けた弓兵は矢筒から1本の矢を取り出して弓につがえる。ただ、これは攻撃するためのものでは無いので他の矢とは違い、やじりの近くに小さな笛が付いていた。


弓兵は歩兵隊から少し離れると木々の隙間から見える空に向かって弓を構え、弦を引き絞り、その矢を空高く放つ。矢に付けられた笛は甲高い音を出し、弓兵の元を離れていく。



暫くすると暗闇を明るく照らす炎の輝きが林の中でも見て取れる。発光源の松明こそは見えないが、闇を払おうとする光は陽の光にも引けを取らないだろう。


それ程の眩い光を誰が放っておくだろうか。壁上の警鐘が鳴るのに時間は掛からなかった。すぐさま開門され、多数の兵士が飛び出してくる。その様子を静かに見つめ、敵の出が疎らになるのをじっと待つ。


編隊を組んだ敵は足並み揃えて光源へ向かっていく。ここまでは計画通りである。が、思わぬ所で予想外の事態に見舞われる事になった。なんと城門を敵兵が閉め始めたのだ。敵としては当然の事をしているのだが、光源までの距離を考えたら編隊はすぐに解体され、戻ってくるのだから開門したままでもいい筈だ。


『まぁ、こうなるよな・・・』

口には出さないけど、そう思いながら柊二は立ち上がる。そのまま後ろに控える味方に向き合う。いつも通りの鞘に収まってない剥き出しの剣をベルトから外して、上に向けて掲げる。


「作戦を変更、これより我々は城門を制圧する。時間は押されているぞ、決して後ろを振り返るな!前だけ見て突き進め!」

再び体を反転させ、高く掲げた剣を城門に向けて振りかざす。その間、待機していた歩兵隊員全員が武器を構えて立ち上がっている。


「総員、突撃せよ!!」

柊二の合図で草むらから数百の兵士が飛び出していく。叱咤(しった)を受けた兵士達は声を上げて城門に向けて駆けていく。


敵の出方を読んでいる柊二の元へ、兵士達の激流の中からローブを纏ったシルフが歩み寄ってくる。柊二はシルフを抱き抱えるような格好で足を進めた。


「殿下、貴方は私が必ず御守り致します」

突然の敵襲に怯む壁上の敵も持ち直し、柊二達に向かって矢を放ってくる。


「重装歩兵は隊列を組んで矢を防げ!弓兵、門兵を最優先に攻撃しろ!軽歩兵は門まで止まらず走れ!」


柊二の号令一つで兵士達は命令通りに行動する。斯く言う柊二も飛んでくる矢を剣で弾きながら進む。ものの数分で幾度となく柊二によって弾かれる矢、鳴り響く音がシルフの恐怖心を高めていくのか、柊二の首に回される腕に力が入る。


敵弓兵の矢によって地に伏せた味方達が無惨にも倒れていく。歩を進める度に、前を歩く重装歩兵の足元から亡骸や負傷者が次々と現れる。


しかし今ここで足を止めれば、それこそ兵力を無駄にするだけだ。重装歩兵は装備の重さで素早い動きは出来ない、弓兵は門兵を攻撃するので精一杯、こうなると軽装な軽歩兵の強みである速さに頼らざる得ない。


足元に横たわる亡骸から目を逸らしたくなる柊二も、今は何より城門の制圧が最優先だと割り切っている。


やがて辿り着いた軽歩兵の幾人が壁上へと姿を現し、次々と壁上の敵兵を切り伏せていく。あっという間に壁上は味方で埋まり、目標である城門の制圧は完了した。後は壁外の兵士達を迎え入れれば作戦は終了に終わる。


「城門は制圧した!壁外の兵士は速やかに王都に入り、残党戦力を無力化しろ!」


重装歩兵隊は隊列を解いて早足で動く。弓兵も攻撃を止め、門へと向けて駆け足で行く。後方で指揮を執る柊二は上官としての立場である事を自覚しているのか、部下よりも先に自分が安全になろうとは思わない。自分を通り越していく味方にシルフを託し、敵の矢で怪我をした兵士達を避難するよう促す。


「手の空いてる奴は負傷者に手を貸してやれ、盾を持つ者は味方を守るんだ!」

そうこうしているうちにも敵の一斉掃射が激しくなり、柊二も落ちている盾を拾っては頭上を守って指揮を執る。最後の一人と共に城門へと走る柊二。


だが、城門へと向かう最中に微かな呻き声が柊二の足を止めた。味方も不審に思ったのか足を遅めて聞こえる声で話し掛けた。

「どうなさいました?!」

「・・・・今、声が聴こたんだが。お前は先に行け、俺は負傷者を担いで行く」

「敵の攻撃は激しくなる一方です。敵の歩兵隊にも追い付かれます」

「お前が門に辿り着いた時、俺が入れるギリギリを見計らう様に閉め始めてくれ。大丈夫、絶対間に合ってみせる」


長々とした言葉を伝え終えた時、柊二の声がギリギリ伝えられる程度だったのか兵士はそれ以上応えずに前だけを見て足を速めた。


来た道を戻るり周りを見回してみる柊二。声の聞こえた場所に駆け寄ると、そこにいたのは放棄された荷台に(もた)れ掛かる負傷者がいた。駆け寄りざまに盾を捨て、担ぎ上げようと取り掛かる瞬間、敵の方から飛んできた1本の矢が負傷者の頭を貫いた。


痛みに歪んだ顔は柊二の目の前で無へと変わる。一瞬出来事に頭が追いつかなかったが、目の前の亡骸(味方)まぶたを閉じる。今の柊二には感傷に浸ってる暇などない。


その場から駆け出そうと方向変えた刹那、柊二の左脚に激痛が走る。駆け出す体勢を強制的な痛みでバランスを崩し、案の定膝をついてしまう。


「くそっ、一体どこから!」

敵の隊列に振り向く。その僅かな隙間、中央にて約1名だけ既に射った後の男が柊二と視線がぶつかり合う。距離と時間帯のせいで顔までは目視出来ないが、確実に互いに見合っているのは分かる。


膝の矢を折り、立ち上がろうとする。松明の光を反射したやじりが再び飛んできた矢の存在を確かにする。柊二は1度捨てた盾を拾い、おもむろに顔を覆った(・・・・・)


鏃と盾の鉄部分が触れ、小さな火花を散らして弾かれる。これで柊二は確信した。奴は完璧に狙っている(・・・・・)と。


射撃精度は勿論、装填速度も人並み以上――それより上かもしれない。なんて考えている内に4度目の射撃体勢に移行している。


『敵にも有能な奴はいる様だな。だが――』

内心そんな事を考え、外では誰も気づかない程度に口角を上げる。その左眼に淡い光を灯しながら(・・・・・・・・・)


『俺の方が一歩先にいる様だな』

敵の矢が柊二の目と鼻の先に来たが、虚しくも標的がいた地面に突き刺さる。その場に残る漂う粒子の先はほんの少しの隙間に吸い込まれて行った。


あの場から城壁内に現れた柊二を目にした味方も敵も、心配になって柊二を見ていたシルフでさえ、目を丸くした。


「・・・・結果よければ全て良し、か」

仰向けに倒れて大の字になった男の顔は、なんとも言えない表情をしてはいるものの、結果的には戦術的勝利を収めていたので心情は明るいものだった。


拠点を奪われた僅かな敵隊は渋々後退していくしかない。本作戦において、僅かな死傷者の上に勝利を手にした。味方の死の上で収めた勝利を柊二達は決して忘れない。それは今も未来も変わらずに語られるのだ。1つ歴史の1ページを刻むのだった。

ご閲覧ありがとうございます。


宜しければ感想、レビュー、評価をお願い致します。誤字脱字も感想にて教えていただけると助かります。


【Twitterに色々と情報が?】


「@taiki_syousetu」\_(・ω・`)コレ


最近、質問箱始めました

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