33話:英雄達の島
大変〜〜〜〜〜〜お待たせし増してすみません!!!!
「次話まだですか?」「いつまで待たせんだよ!」沢山のお声(大体催促、偶に罵倒)を頂きました。
・・・ここまで酷くはないですがTwitterのDMにちょくちょくご連絡を下さった皆様、本当にごめんなさい!
じ、自分も色々とありまして――あ、聞いてない?言い訳させて下さい、何でもしま(ry
実は部活の代替わりから色々とありまして、執筆する時間が取れなかったんです・・・。暇があれば少しずつ書いてはいたのですが、なんと今話が完成するまでに凡そ【2ヶ月!!】掛かりました。本当に時間掛けてごめんなさい・・・。
実はこっそりと短編で執筆してたりとか...。友達(自分が書いている事知ってる方)に言ったら、「そんなん書く暇あったら続きよ。続きを書きなさいよ」と、言われてないも言えませんでした。まぁ、自分が悪いので端から発言権なんてありませんでしたが(泣)
という訳で2ヶ月の更新、どうぞごゆっくりお読み下さい!※2ヶ月掛けた分は成長より退化している可能性があります。罵詈雑言は――(焦)。
柊二達一行がこの島に来てから、もう2週間が経とうとしていた。現在、何をしているのかといえば兵士達は木を切り倒し、岩を採掘、それらを加工、施設を建てている途中段階でいた。
「フィート少尉、これらの資材は何処へお持ちしましょうか」
「木材は向こうへ、石材は城壁建築置き場に置いて下さい」
「了解しました」
建築をする為に必要な知識、現場の指揮を執る能力、共に高いフィートはその能力を買われ、現場監督として動いている。確かに彼の執る指揮は的確なもので、建築途中の建物に使う資材にも無駄がないように思われる。
島の中央、他の所より盛り上がった土地に砦を建てる。その周りを壁で囲む。これが基本的な建築法であったがフィートはある少人数の班を作って、壁の外に溝を掘らせていた。
深さは最低でも3m、横幅4mといった溝を幾つも作らせ、その中に鋭利に尖らせた木の枝を上向きに突き立てさせた。
『これがアルバート卿が仰っていた、堀と言うものなのか....』
彼らが作っていたのは、日本古来から存在する城を守る手段の一つで、簡単に言えばすべて繋がっている落とし穴の様なものだ。
自分の持っている知識の中で、この様な防衛方法があるとは知らなかったフィート。柊二に教えてもらった時は、穴を掘ったくらいで敵の進行を防げるのかと疑心暗鬼でいたのだが、実際に目で見てみると、成程と頷ける部分が幾つもあるではないか。
驚かされたのは、堀の存在だけではない。砦を囲む壁には、中央の石段をわざと抜き、縦の長方形の穴を近感覚で作っている。その下に堀があるために、近付いてくる敵を穴から弓で撃てるだけでなく、堀から這い上がって来る敵を槍で突く事も可能なのだ。更に砦に入るための門があるのだが、そこへ辿り着くための道が細くなっており、左右にも溝が掘ってある。この様な造りの利点は細い道を渡るためには、1人1人が一列になって渡らなければならない。そこへ集中的に攻撃を加えることが出来るので、効率的に敵を倒す事が可能なのだ。
的確な指示のもと次々に作業がスムーズに進んでいく。フィートは図面を見ながら建築を続けるのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
島の中央 建築担当のフィートが指示を出している頃、港の方でも動きがあった。柊二達一行が船を停めていた港では、兵士達が船から降ろされる物資や建築資材を長屋の方に持ち込んで行く。
それとは別に港のいたる所が壊れ、崩れ、朽ちているので復興作業も兼ねていた。
ここを担当している人物は、
「おう!お前等、もっとキリキリ動け!」
「「「了解です、親父殿!」」」
剛腕、豪快な男、ジャカルだった。彼は自慢の怪力を見せつけるかのように、丸太を左右の腕で2本ずつ抱え、長屋へと運んで行く。他にも、兵士達が5人がかりでようやく運んで来た石材を、1人でロープを括ると犬の散歩をする様に引いてくる。
物資、資材を運ぶのに力仕事が得意な兵士達が集まっているのか、こちらもこちらで事は順調に進んでいるのだが....。
「親父殿!ここの窪みはどう埋めましょうか!」
「そんなもん気合で直すんだよ!」
「鋸の歯が悪く、丸太を上手く切れません親父殿!」
「鋸が駄目なら、そこの斧を使えばいいだろ!」
フィートと比べて技術面に劣っているのか、ジャカルは力で解決する様な考え方をしてしまう。見た目からして生粋の【脳筋】なのだ。
彼のみならずここにいる兵士達もジャカルの言われた通りの命令で動くあたりは、何も疑問に思わないようで彼らも脳筋なのだろう。
そんな剛腕な脳筋が指揮する中、一部の兵士達が無数の筒を転がして持ってくる。彼等はジャカルの元まで持ってくると一度敬礼をしてから指示を待つ。ジャカルは、彼らの運んで来た筒を待っていたと言わんばかりに喜んだ。
「そんじゃ、それは向こうに作っといてくれ」
ジャカルの指示通りに筒が港の隣に位置する高台に持って行く。それらは既に置いてあった土台に乗せられると木材と釘で固定させられる。誰もが見たことも無い物らしいが、ある人物が言うにはこれは兵器なのだと。
高台を見上げるジャカルは、数週間前にオルテアに言われた事を思い出した。
◇◆◇◆◇◆
「なぁジャカル、一度火をつけると一瞬で膨大な爆風と熱を発する物って存在するか?」
とある日、仮司令部で柊二は剣の整備をしながら呟いた。
「急にどうした兄ちゃん、爆弾でも作るのか?」
「爆弾じゃないんだが....ジャカル、大砲って知ってるか?」
「大砲?聞いた事も無いが道具か何かか?」
「道具って言うか兵器かな」
柊二は彼の知る範囲で大砲の知識を教えた。青銅の筒で出来ており、鉄球を飛ばす兵器だと言うことを。1通り話した所である疑問にジャカルが気がついた。
「でもよ、青銅は安いし容易に手に入るが今の話のどこに爆発物の話があったよ?」
「そこなんだよ。大砲自体は問題でもないんだが、弾を飛ばすのに爆発物が必要なんだよ」
大砲の奥に爆発物、鉄球の順に入れ、爆発物を点火する。すると爆発が起きた時に生じる爆風で弾を飛ばせるのだとジャカルに説明した。本来なら硝酸カリウムと硫黄等を混ぜた黒色火薬が主流なのだが、この世界、しかも1500年も前の世界に存在するかも分からない物を必要とする。
ジャカルによれば硫黄と同成分の物質は存在するらしいが、それだけでは火薬は作れない。硝酸カリウムが黒色火薬の約7割近くを占めるのである。
「なら、これはどうだ?」
ジャカルが懐から出さしたのは一つの石ころ。手のひらサイズのその石は、水色に輝いており、なんとも美しい宝石の様だ。
「ジャカル、この宝石に何か効果があるのか?」
「宝石?ハッハッハ、兄ちゃんは時々面白いこと言うな。こいつは魔石だろうに」
ジャカルの言葉に柊二は目を疑った。以前、リサの故郷で見たのは薄紫色だった気がしたのだ。ここで本気で驚くと色々とややこしくなりそうだったので、柊二は次に話を持っていく。
「で、こいつの効果は?」
「よく見とけよ?」
ジャカルが石を拾い上げて、机の角に寄せる。すると勢い良く石と角を擦り付けるようにぶつけると、僅かな衝撃と熱を発生させた。
「普段ならワシが煙草に火をつける道具として使ってるんだが、これより大きいものとなれば相当な値段になるぞ?」
「こんなご時世だ。商人達の手助けでもすれば少しはまけてくれるだろ」
こうして急ピッチで防衛用の大砲導入を決めた柊二は、直ぐに輸入リストに必要なものを書き込んだのだった。
◇◆◇◆◇◆
その大砲が設置任されたジャカルは、試しに大砲を撃ってみる事にした。柊二が言っていたように、硫黄と細かく砕いた魔石を混ぜた袋を大砲の奥に押し込み、次に鉄球を入れた。
点火線の紐に火をつけて後は待つだけ。至って簡単な作業だが危険な事には変わりない。
火をつけてから点火線をゆっくりと燃えながら進む火は、やがて砲身の中へと吸い込まれ....
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
遠くまで聞こえる爆発音に驚いた鳥達が一斉に飛び立った。その音は島中に響き渡る。
「わっ!びっくりした〜、何でしょう今の音?」
「どうせまた野蛮人の仕業でしょう」
島の海岸線にリノア率いる氷華団が忙しそうに石を円錐状に組み立てた物に魚や船から運ばれてきた肉等の食料を中に入れる。どうやらこの時代においての燻製を作る方法らしい。燻製機の下で火を焚き、生木を入れる事で大量の煙を立ちあげて燻る。
海岸線で行っているのは食料の保存や調理だが、ここ以外にもリノアの命令で団員達が釣り、狩り、ジャカルタ達が切り崩した土地で農作をして食料調達を担当していた。農作物は栽培を始めてから成長してきているとはいえ、2週間という期間の中でやはり収穫するまでには至らない状態。本来、食料は船が物資として運び込んでいるのだが、物資供給の唯一の頼みが敵の手によって沈められる可能性は、少なからずあるわけで。万が一を考えて蓄えられそうな食糧を生産し、フィートの造った保存庫に備蓄している。
と言う理由から氷華団一同が食糧に関する件を一任されていた。最初は物凄い剣幕で立案者の柊二を睨んでいたリノアも、周りの団員達がやっている中、1人、しかも団長という立場でありながら何もしない訳にもいかず、愚痴を零しながらも手伝っていた。
「それにしてもオルテア様は、奇抜な発想を思いつきますよね。フィート殿の担当する砦には防衛策。ジャカル殿には大砲と呼ばれる兵器を教えになるとは」
「....認めたくはないが、奴の知識だけは認めざるを得ない。奴は戦闘こそ素人だが、対人戦闘術と指揮能力は類稀な才能を持っているは確かだ」
リノアは静かに呟く。柊ニが戦場で魅せる指揮官としての才能を認め始めていたのだ。滅多に魅せる事の無い顔に、副団長がニヤニヤとしながら何かに気が付いたのか他の団員達に聞こえないようリノアの傍に寄る。
「団長一つお聞きしていいですか?」
「私は戦場を通して団員達を信用している。今更隠し事なんてしないわ」
「その言葉を待っていました!」
リノアのその言葉を聞いた副団長は屈託のない笑顔で質問をした。
「ぶっちゃけると、団長はオルテア様の事を慕っていますよね?」
「なっ!!?」
全く予想していなかった質問にリノアが驚愕した。次いで顔が徐々に紅に染まり、慌てふためく事数秒が過ぎてようやく冷静さを取り戻し始めてきた。落ち着いてきたリノアは、一度質問の意味を整理しながら解いていく。
「....貴女の言う【慕う】って友達とかの意味か?」
「いえ、【好き】なのかと言う質問です」
副団長の言葉にリノアは既にフリーズして、立ち尽くしていた。普段の堂々した彼女が初めてこのような姿を晒した為、近くを通りかかった団員が慌てて医療班を呼びに行ってしまった。副団長が急いで追いかけ事情を説明する。大事になる間一髪で阻止した副団長が持ち場に戻って来るも、リノアは未だに固まったままいた。
「団長、大丈夫ですかー?」
副団長もさすがに心配になったのか、声をかけながらリノアの体を優しく揺する。まるで魂の抜けた人形、又はただの棒のようになっていた。
「....はっ!私は何を――」
「良かった〜。団長、先程まで魂が抜けてましたよ?」
「そ、そうか。私にも何が起こったのか分からなくてな」
副団長がホッと胸を落とす。どうやらリノアは言われた事の衝撃があまりにも大きかったのか、気を失う程精神ダメージを受けてしまったようだ。
「すまなかった、この程度で気を失ってしまうとは」
己の精神の未熟に心底方を落とすリノアを副団長がフォローを入れる。暫くして、ようやく心構えを持ち直したリノアに、副団長は再びあの話題を吹っ掛ける。
「それで話を戻しますが、団長はオルテア様の事が好きなんですか?」
「・・・へっ?」
同じ話題、しかも二回目だからなのか今度は気を失う事はない。だが素っ頓狂な声を漏らしてしまった事と質問の意味に、リノアは再び顔を赤らめる。そこへ追い討ちをかけるように副団長がグイグイと責めてきた。
「ですから、団長はオルテア様の――」
「な、何言ってるの!私があんな男の事を慕うなど甚だしいわ!」
「・・・素直じゃないですね〜」
「本当だぞ!私は別に――」
「ふっふーん。私、知ってるんですから」
何かを見透かした様に薄笑いを浮かべる副団長に、団長ともあろう者が背筋に電流が走るのを感じる。額には冷や汗、先程までの威勢は何処へ行ってしまったのだろうか。
「オルテア様の食事、実は他の人とは違う事を」
「何を言う。皆と同じだ」
「献立こそ同じ物ですが、使ってる食材は品質の良い物、それと凝った調理過程」
「そんな事はし、知らん・・・」
「そして極めつけは団長一人の手作――」
「それを言うなぁ〜〜〜〜!!!!」
指を立て、自慢げに話す副団長の口を目にも止まらぬ速さで塞ぎにかかるリノア。だが、赤面と混乱した頭では足元が覚束無いようで、窪みにブーツのつま先が引っ掛かり、そのまま見事なヘッドスライディングを決めてしまう。勢い余って1mは進んだだろう。
「だ、大丈夫ですか団長?」
普段の態度からは滅多に見られない団長の姿に本気で心配するも、内心は少しだけ喜びを秘めていた。副団長が声をかけてみるが顔を挙げない――いや、挙げられないリノアは伏せたままその場で震えていた。今の彼女の頭の中は、痴態を晒してしまった恥ずかしさと、これまで培ってきた自分の描く理想の団長像が葛藤している。
見兼ねた副団長がなんとかフォローしようと、片膝着いて手を差し出す。
「団長、私以外に見た者はいませんので、どうか手を取って起き上がってください」
黙って俯いたまま、副団長の手を取って立ち上がるリノアはすぐさま身体の汚れを払う。その様子を苦笑して眺める副団長だったが、彼女の天然(無意識)が再び飛び出した。
「良かったですね、オルテア様が観ておられなくて。遠征様様ですよ」
その言葉にすぐさま反応したのか、リノアは油の切れたロボットの様なぎこちない動きで首を持ち上げて、副団長を見つめた。そして口を開くも出てくる言葉は片言である。
「アノバカ、イナイノカ?」
「はい。確か今日から別の港で情報を受け取りに行くのと、そこで行われる取引に本人自ら行くと仰っていましたが――。団長どうしました?」
リノアはゆっくりと自分が先程まで煮詰めていた鍋――とは別の小さな鍋を指を指して副団長に示した。
「これ、どうなるんだ?」
「それってオルテア様のですか。えっと・・・」
目を遠くに泳がせる副団長に団長は鋭い眼光を飛ばす。視線に気付いた副団長も背を正して対面する。
「正直に言ってくれ。私の取り越し苦労か?」
「うーん・・・はっきり言って【無駄骨】ですね」
ここで再発した天然特有の屈託の無い純粋な笑顔を見せられたリノアは、同時に理性と意識が吹き飛び、膝から崩れ落ちた。その後、医療施設(仮)に連れていかれたのは言うまでもない。
因みにリノアが作った特製スープは、小腹を空かせたジャカルが一口で飲み干した。無駄にならなくて良かったが、バレたらジャカルが危ない(生命的に)ので副団長が飲んだ事にした。
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