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2nd Life:異世界で英雄になった剣士  作者: 太古
第3章:神話と伝説
29/42

29話:氷華団囚われの女騎士

ここの所体調が優れない私です。


それはそうと皆様は花粉症の方は如何ですか?

私はかなり酷いですw


外出の際はマスク着用(義務感)

「んで、どうすんだよ兄ちゃん」

「どうするもこうするも分かんねぇよ、彼女が起きなきゃ話も出来ないだろ」


兵舎のとある部屋、といっても此処は割り当てられた柊二の部屋で今この部屋には柊二とジャカル、医者、それと地下牢にいた氷華団の1人がいた。


「ひとまず脈はあります。ですが栄養失調でかなり体力が消耗して悪い状態です」

「そうですか、ありがとうございます」

「それでは私は他の団員さんを診に行かせていただきますね」

「おう、ご苦労さん」


医者は彼女と同じく地下牢にいた団員達の容態を確認するために診療室へと行ってしまった。


「これからどうすんだ兄ちゃん。船は無ぇし、おまけにお荷物まで出来ちまった」

「そんな言い方すんなよ。一応息はあるんだ、目を覚ますまでここに置くさ」


柊二は窓際に寄りかかり彼女の様子を見る。ジャカルはソファで寛いで酒を飲む。彼女の容態は悪夢を見ているのか息苦しそうに呼吸が荒いものだった。


◇◆◇◆◇◆

「兄ちゃん、連れてきたぞ」

「よし。各員に告ぐ、直ちにこの場にいる捕虜に毛布を掛けて担架で兵舎診療室に輸送してくれ」


「「了解」」


団員達は何かしらで錠を壊して、足枷を外し、毛布をかけてあげてから担架で運んで行った。衰弱しきった彼女達の事を考えてか、慎重かつ素早く行動した。


柊二も抱えていた団員を背中でおぶって運び出す。最後の1人が上がっていくのを確認すると最後まで残っていたジャカルに言った。


「ジャカル、頼みがある」

「なんでも言ってくれ」

「――捕虜を全員殺せ」

「...本当に良いのか?」

「構わない。彼女達の痛みに比べれば一瞬で終わるんだからな」

「兄ちゃんが言うなら」


柊二とジャカルは階段を上がる。だが、ジャカルは牢に上がった所で立ち止まった。そして、柊二が外に出る時に中から断末魔が聞こえてきたが、柊二は何も聞かなかった事にした。


◇◆◇◆◇◆

「さて、ワシは自分の部屋に戻るぞ?何かあれば呼んでくれ」

「悪い、恩に着る」


ジャカルが部屋から出て行った後、柊二は苦しそうな彼女の元に近寄り、濡れタオルを額に乗せてあげた。僅かだが彼女の呼吸が落ち着いた事に柊二は嬉しく思った。


「ふぁ〜、俺も寝るか」


戦いの緊張と疲れが一気に押し寄せてきたのか柊二は欠伸をし、ソファでうたた寝をしてしまった。


「•••ぅ、ん」


柊二が寝るのと反してベッドで寝ていた彼女が目を覚ます。霞む視界で見た光景は、ジメジメとした薄汚れた石の天井から明るい木の天井。自分が寝ている場所は藁を敷いただけのほぼ床からお世辞にも高品質とは言えないが藁よりかはマシなベッド。


それ以上に驚いたのは自分の手足に付いていたはずの鉄枷が無い事だった。だが、地下牢に入れられてからの時間があまりにも長かった為か、ろくに動かすことができない。


四肢を満足に動かすことは出来ないが頭をなんとか動かして部屋一帯の様子を見る。自分の寝ているベッドは窓際、部屋中央にテーブルと椅子が二つ。


それに端っこの方にソファが――、

「――っ!•••」


彼女はこの部屋に自分以外の人間がいることに気が付いた。ソファで横になり、スヤスヤと呑気に眠りこけている男性・・・に。


彼女はどこから湧いたのかも分からない力を振り絞って全身に力を込める。満足に動ける訳では無いがそれでも体を起こしてベッドから落ちる。


落ちる際に地面とぶつかった肩が痛い。それでも彼女は動きを止めない。床を這いつくばってまで向かう先はソファで寝ている男の元。ベッドとソファの距離はそれ程遠いものではないが、彼女にとって長々とした道のりに感じた。


何度となく全身に電気が走るような激痛が襲うがそれでも動きを止めない。


彼女を突き動かすものは【怒り】だ。目の前にいる男に対して怒りの上を抱いている。


ソファの下まで来ると立て掛けてある二本あるうちの一本の剣を手に取り、杖のようにして立ち上がる。膝も震えて悲鳴をあげ、自分自身の呼吸も荒くなる。


何とかしてバランスを取り、剣を鞘から引き抜く。鞘を放り投げて、剣を反対にして両手で柄を握り締める。高く振りかざした剣を力に任せて落とせば確実に男性は息をするのを止める。


『さぁ、後は剣を下ろすだけよ』

彼女の中で何かが話しかけてくる。


『彼を殺したいのでしょう?』

『戸惑う必要なんてないわ』

『貴方や皆がコイツらに何をされたか忘れたの?』

『男なんてどいつも同じよ、野蛮で性行為をする事しか脳の無い穢らわしい動物』

『ほら、私も手伝ってあげる...』
















『殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セ殺セコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ...』


















「...殺し、て、やる」


手に入る力がグッ高まる。狙いを胸に定めたところで力一杯に剣を振り下ろした。


が、突き刺さったのは横から伸びた手に持たれていた分厚い本にだった。


「全く...戻ってきてみれば姉ちゃんは起きてるし、しかも兄ちゃんを殺そうとしてるとはな」

「!――ぅぐ」


間一髪の所でジャカルが柊二を護った。それに加えてジャカルは彼女を気絶させた、なるべく手荒くない方法で。


「...はぁ、医者様を呼びに行く必要があるな」


ジャカルは彼女を抱え上げるとベッドに放り投げる。それからガシガシと後頭部を掻き、呆れながら部屋から出ていくのだった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「てなことがあってな、あと1歩で兄ちゃんは神様の元に旅立つ所だった訳よ」

「へぇ、俺が寝てる時にか」

「へぇって兄ちゃん、もう少しで死ぬところだったんだぜ?」

「だけど死んでないから大丈夫だろ?」

「ハッハッハ、ちげぇねぇ」


柊二が殺されそうになった話題で盛り上がっている現在は、兵舎の食堂で兵士揃って夕食をとっていた。街の解放のおかげで友好的な人々が兵舎に集まっては調理をしてくれている。久々のまともな食事に兵士達にも笑顔が見れた。


「んで、結局の所これからどうするよ。船が壊されてるの計算外だ」


本来の目的はこの街を解放したあと街にある船を使って目標の無人島に向かう筈だった。しかし、敵の策略なのか船は壊されており、唯一使えそうな貿易船でさえ半壊した状態で残っていた。


「貿易船が半壊しているとはいえ残ってるんだ。修理すれば使えないこともない」

「修理するって言っても人手が足りないだろ。街の警備に兵たちをかないわけにも行かねぇし」

「街の人が手伝ってくれるとは言っていたが、それでも1ヶ月はかかるそうだ」

「かぁ〜、そんなにかかってちゃ襲撃は確実に起こるぞ」

「そん時はそん時で何とかするさ」

「兄ちゃんの能天気ぶりにも参ったな」


皮肉混じりの会話が続く。仲間や友人達と冗談が言える日常は柊二が何よりも大切にし、好きな光景だった。


「話を変えるが氷華団の件、兄ちゃんはどうするつもりだ?」

「回復次第メルセリアに送りたい所だが、陸路は危険だし海路も移動手段がない」

「...と言うことは?」

「当分はここで療養してもらうしかないだろうな。どのみちあの様子だとまともに動くことも出来ないみたいだし」

「殺そうとした女に随分と甘いんだな」

「そうじゃない、やれる事はやるし、それが最善だと思う事は優先するだけさ」

「...また寝首を掻かれなきゃいいが」

「さてと、俺は部屋に戻るわ」

「本当に頼むぞ大将?」

「分かってるって」


柊二は空になった器をトレイに載せてその場を立ち去る。その前に一度寄る所ができたことに気がつき、部屋に戻るのはその後にした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

柊二が部屋に戻ると彼女はまだベッドで眠っていた。持っていたトレイをテーブルに置いて、彼女の元に近寄る。最初の頃に比べると呼吸も落ち着きを取り戻していて顔色も穏やかになっている。


再び桶に入った水の中に布を浸して絞り、彼女の額に乗せてあげた。すると額の違和感によってなのか彼女はゆっくりと目を覚ます。


「お、悪い起こしたか」


彼女はこのする方向に顔を向けるとそこには自分が殺そうとした男が立っていた。柊二の存在に気づくやすぐ様体を震わせた。


それどころか先まで穏やかだった顔は青ざめて、呼吸も荒くなり、嘘みたいに具合が悪そうになってくる。


「おい、大丈夫か――」


柊二は心配して顔を覗き込むが彼女は飛び上がって逃げる様に後ろに下がる。


「私に近づくな!」

「落ち着け、何もしやしないって」


柊二はパニックに陥っている彼女を宥めようと言葉をかけてみるも、柊二の言葉などまるで耳に入ってない様子。


「私達にした事を後悔させてやる!貴様ら全員血の一滴すら残すことすら無いように殺してやる!」


「だから、俺達は何もしやしないって。それに君達に乱暴した奴らは皆殺した、心配いらない!」

「嘘をつけ!私は絶対に騙されないからな!」


パニックだけに留まらず興奮状態なのか動きが段々と激しくなり手がつけられないものになってくる。


堪らず柊二は部屋から出ていくことにした。


「分かった分かった、出ていくから」

「なら早く私の前から消えろ!」

「はぁ...テーブルに飯持ってきたから落ち着いたら食ってくれ。医者が言うに栄養失調らしいからな。――また来る」


終始鬼のような剣幕で柊二に対して敵意を剥き出しにしていた彼女の元から柊二は離れるように部屋から出て行った。


彼女が落ち着きを取り戻すまで柊二は街の外に出ていることにした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「はぁー...」


柊二は港の灯台の所まで来ていた。夜の海は月明かりに照らされて波がキラキラと反射させている。適当な場所に腰をかけて月を眺めながら色々と考えることで頭を悩ませていた。


ここの所、柊二は溜息をつくことが多くなっていた。それものその筈、一度死んで目が覚めた場所は異世界で、ようやく慣れてきた所で今度は何千年も前の過去に飛ばされたのだから。


『この世界の俺は姿格好が同じだからとオルテアと名乗ったが本当に良かったのか?今も何処かで本物の騎士様が戦ってるんじゃないのか、そしたら俺は――』


「この世界の俺は一体何者なんだよ...もう訳が分からねぇよ」


正直今の柊二は心が折れそうでいた。そんなの当たり前だ。元の世界ではごく普通の生活を送っていた17の男子高校生なのだから。


それが今の今まで、多種族のいるゲームやアニメみたいな世界に飛ばされて、お次は神々の大戦に巻き込まれて、今じゃ戦場に身を置く存在。


この手で殺した人の数は元の世界でもいない程で、ここが元の世界なら世界最凶の殺人者の烙印を押されることだろう。


仲間達に悟られないようにここまで立ち振舞ってきたが心身ともにとうの昔に限界を迎えていた。


顔を伏せてもう涙腺崩壊仕掛けた所で自分の左手が妙に明るいのに気がついた。正確に言えば左手の薬指、【レミアの指輪】にある蒼い石の部分だった。


それが何を意味するかは柊二自身が一番良くわかっていた。


「ごめん、君が傍にいる事を忘れる所だったよ...ありがとう」


姿形こそ見えないが改めて彼女が傍にいてくれている事を再認識した柊二。いつまでもクヨクヨしてられるかと私的な考えは全て振り払い、今目の前にある問題を解決することに集中する事にした。


柊二がいつもの調子に戻ると徐々に光は失われていった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ん...朝か」


柊二の目覚めた場所は自室の前だった。生憎、自室は彼女が使っているので入るわけにもいかず、もしも中で寝たら今度こそ永遠の眠りに落ちる可能性があったからだ。


「ふぁ〜、ん?あれ、俺寝る前に毛布なんてかけてたかな?」


柊二が膝には毛布が1枚大雑把に掛けられていた。疑問に思っているとジャカルが声をかけてきた。


「兄ちゃんなんで廊下で――あー、そういう事か。」

「お察しありがとう。で、俺に何か用か?」

「そうそう朝飯が出来たから呼びに来たんだ。それと飯ついでに今日の予定についてな」

「そういう事ならすぐ行こうか」


その場で立ち上がって背を大きく伸ばす。思ったよりも体が固くて正直自分でびっくりしたほどだ。



朝食には殆どの兵士達が来ていた。全員では無いことからして既に兵舎を出ているのかまだ部屋にいるのかどちらかだった。


「んで、今日はどうする」

「昨日戦闘があったが敵増援は来る見込みが無かったし、二日続きで敵も来ないだろう」

「となると?」

「今日は自由行動だな」

「分かった、兵士達に伝えておく」

「感謝する、ジャカルも好きに過ごしてくれ」

「ああ、ありがとう。それと話を変えるが兄ちゃんはこのままここに残っててくれ」

「何かあるのか?」

「いずれ分かるさ。さて、わしも街に行くかな」


ジャカルは席を立つとそのまま兵舎を出ていった。柊二は残るように言われたが正直何があるのか気になってしょうがない。


暫くして食堂に現れたの数名の女性達。彼女達は奥に座っている柊二の元を目指して歩み寄る。


「ん?あなた方は――」

「この度は我々氷華団を解放していただき誠にありがとうございます」


集まってきた中の1人が代表として柊二に礼を申した。彼女達は数日前に地下牢で見つかった氷華団の一部だった。


「ああ、無事でよかった。その後体調の方は?」

「見ての通り活動できるようになったのは私を含めたここにいる数名だけです。ですが、皆順調に回復していますのであと数日でしょうか」

「なら良かった」

「ですが、団長が...」

「そう言えばまだあなた方の団長さんに挨拶していませんでしたね。その団長がどうかなさいましたか?」


団員の1人が暗い表情で話を濁す。柊二はすぐ様彼女達の団長に異変が起きているのだと悟った。


「ええ...実は団長は元々男性が苦手な方なんです。それが今回の件でまるで別人のようになってしまって」

「...もしかして男性に対して敵意、殺意を抱くようになってしまった、とか?」

「はい、仰る通りです」


『あー、彼女か』


柊二は薄々気づいていたが、まさか牢の奥にいて今は自分の部屋で療養している彼女が氷華団の団長だなんて思ってもみなかった事で呆気に取られた。


「私達の中にも多からず男性恐怖症になってしまった人はいますが団長のはそれ以上の問題になってしまって」


「...大体、分かりました。私が何とかします。あなた方も団長が心配でしょうし、彼女が指揮を執らなければ団の指揮系統もガタ落ちするでしょうから」


「ありがとうございます。私達に出来ることがありましたら何なりとお申し付け下さい」


「なら早速だけど今から彼女の所に行こうと思ってるんだけど、付き合ってもらえるかな」


柊二は立ち上がると代表として話していた彼女1人を連れて自室に向かう。団長を心配しているのは氷華団の団員達だけでは無い。柊二自身もこのまま団長の彼女があの調子だと味方兵士達や街の人達まで心配する様になってしまえば他のことに手がつかなくなってしまうだろう。


そうなる前に手を打つ必要がある。

ご閲覧ありがとうございます。


宜しければ感想、レビュー、評価をお願い致します。

誤字脱字も感想にて教えていただけると助かります。


これからも宜しくね(*´ω`*)

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