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2nd Life:異世界で英雄になった剣士  作者: 太古
第2章:皇女殿下の意志
24/42

24話:傲慢子息と剣士

どうも皆様、太古です。この所、学業が忙しいために執筆&投稿が遅れております。そうそう、少し前から1時間ごとに二度見ていただいている方がいるみたいです。


いつもありがとうございます!!(_ _)


それと最後に、ブックマーク増えてくれぇ〜

(」゜д゜)」

先日は思いもしないハプニングにより、式は中断となったが、翌日に引き延ばされる事となった。


先日の1件の騒動後に父からの深い愛を知ることの出来たフレイヤは、婚約式に対して否定的な考えを持っていたが、潔く受け入れた。


そして今日こんにち、婚約式を再度行う事になり、柊二は予定の壇上位置で後ろ腰で手を組んで立っていた。


「ゴホン、それでは改まして。これより、婚約式を再開させていただきます。紹介は省かせていただきます。」


昨日の式同様に神父が誓書を手に持って、指揮を始める。


「では、レイス様。壇上にお上がり下さい」


レイスは呼ばれるとコツコツと靴音を鳴らして、壇上に近づいてくる。その足運びは、先日に比べて少し速いものだった。表情は至って普通だが、明らかに急ごうとする意識が見られた。


「続いて、フレイヤ様お上がり下さい」


神父が声を掛けると、フレイヤの歩く道には、本人がちゃんと存在した。王城で着ている普段着のドレス姿で、壇上に上がって来る。


神父の前に来ると、フレイヤは柊二に軽く笑顔を見せた。決心がついたという顔に柊二も安心した。


婚約者達が目の前に来た事を、しっかりと確認出来たら、誓いの言葉を口にする。


「この式の後、いつの日か互いの愛を誓い、互いに手を取り合って行く事を誓いますか?」

「はい」


フレイヤは力強く誓いを立てた。会場の人達も僅かに歓声を挙げた。


「レイス様、誓いを」


先に近いを立てたフレイヤの後はレイスが誓うだけだった。


「僕は誓わないよ?」


しかし、レイスは誓いを立てなかった。神父とフレイヤ、会場にいた町人に至るまで、全ての人がレイスの発言に耳を疑った。


「僕は彼女の事を愛していないし、これから愛する事も無いだろう。」


急に服を崩して、ラフな格好のまま話を続けた。


「そもそも、僕はこの式は反対なんだ。好きでもない女と結婚するなんて死んでもゴメンだね」


ため息を吐きつつ、肩を落とすレイス。彼の発言で、隣に立っていたフレイヤは泣き崩れた。


自分を否定されたからじゃない。昨夜、父との話の後に決めた自分の決意が無駄となったからだった。


「なら、殿下との婚約は破棄ということで良いのね?」


壇上警備をしていたアリシアが、フレイヤを介抱しながら問いかける。しかし、レイスはアリシアの問いを待っていたかのように不敵に告げた。


「いや?結婚はするさ。好きな女じゃないが、こんなに良い女を(自分の)ものにしない訳ないだろ。それに、僕はメルセリアの王になれるんだからね」


フレイヤと結婚すれば次期国王になれる。その事を知っているレイスが、この件を逃すはずが無い。


「この屑が!」

「いけませんアマギリ様!」


フレイヤを泣かし、メルセリアまで巻き込もうとしたレイスに、腹が立った柊二は殴りにかかる。それを近くにいた騎士団員が止めにかかる。


「フッ、飼い犬に首輪は掛けときなよ」

「離せ!おい、お前!お前のような奴に殿下もメルセリアもやるもんか!」

「それを決めるの君じゃないだろ、ファル君?」


羽交い締めをされたまま敵意を向ける柊二に、レイスは見下す様な視線を向け返していた。


「そうだ、いい事を思いついた。君と僕で1対1の勝負をしないか?」

「誰がお前なんかと「君が負けたら、彼女と国を貰おうか。逆に僕が負けたらこの件から手を引こう。悪い話じゃないだろう?」


レイスの提案に一度深く考えた柊二だったが、答えは当然Yesだ。


「決まりだ、明日の昼にこの会場で待つよ」


レイスは柊二に背を向けて、その場から立ち去った。解放された柊二は、怒りを胸に押し込むように深呼吸をした。


そこへ、フレイヤを部屋に送ってきたアリシアが戻ってくる。


「アマギリ君、陛下が呼んでいるわ」

「――分かりました、すぐ行きます」


柊二は急ぎ足で陛下の執務室へと向かった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「――何をしたのか分かっているのかね?」

「分かっております、私の失態でこの様な事になってしまったことをお詫びします」


柊二は国王陛下ディーンに深々と頭を下げる。自分のした事が国を揺るがすほどの罪であることを承知済みだった。


「君が負ける事はまず無いと思うが、万が一にでも負けたら君には牢に入ってもらう。なにせ、大罪人となる訳だからな」


「――はい、覚悟の上です」


「フルハーフ家は帝国直下の領家だから、帝国をだしに揺すってくるぞ。だが、そっちは気にしなくていい。私が何とかしよう、思う存分に力を出してくれ」


頭を下げる柊二の肩に手を掛ける。普通の人の手の重さだが、別の重みが肩につたわってくる。


「それに私も愛娘をコケにされて、実に気が立っている。貴公に命ずる。その命をもって、試合に勝つのだ」


「承知致しました。殿下と国の名誉の為に我が力、喜んで振るいましょう。」


ディーンから別の任務を承り、部屋に戻る柊二。部屋に戻ると、アリシアがベッドに座っていた。


「アマギリ君、明日の試合に勝算はあるのかしら?」

「ない、だけど必ず勝ってみせる」

「その自信はどこから来るのか知りたいけれど、それは置いておいて。――殿下の心に傷をつけた彼に痛い目を見させてあげて」

「分かっています、必ず」


それだけを伝えるとアリシアは部屋から出て行った。アリシアが出ていった後、柊二は木刀の手入れをしてから、眠りについた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

昼下がり、式会場は臨時の決闘場と化していた。ご丁寧に観客席まで作られ、式の時よりも観客数が多い。


壇上に上がる左右の道には、柊二とレイスが互いに準備をしていた。今回は死闘ではないため、防具1式その場の椅子に置く。武器は非殺傷のものを使うので、心配は無かった。


「アマギリ君よく聞いて。レイス様の事なのだけれど」

「何でしょうか?」


グローブをはめている柊二の元にアリシアがある情報を持ってきた。


「彼、表向きは好青年で通っているけど、裏では武器の密輸や違法薬物の売買をやっているらしいの。そんな彼のことだから、この試合でも何らかの細工はしてるはずよ。気を付けて頂戴」


「御忠告ありがとうございます。俺はあんな奴に負けませんよ、絶対に」

「そっ、ならいいわ。それに、私は貴方が負けるなんて思ってないもの」


いきなり背後から手を回されて抱きしめられる。突然の行為に動揺をした柊二は、剣帯に収める途中の木刀をその場に落とした。


「ア、アリシアさん?一体何を・・・」

「あら、未来の旦那様を見送るのは妻の役目でしょ?」

「妻って...――そんな関係じゃないはず」


『しかも、背中に柔らかい感触が――』


鎧を外した柊二の背中に、これまた警備の仕事が急遽なくなったアリシアが抱き締める。薄い服を着ているアリシアのふくよかな膨らみが背中に当たる柊二は、これから試合だというのに気が抜けてしまう。


「どう?少しは落ち着いたかしら?」

「え?落ち着く?」

「そうよ、今の貴方は少し気が揺らいでいるわ。陛下と国のためとは分かっているけど、怒りで我を失ったら元も子もないわ」


アリシアはわざと柊二を抱き締める事で、別のことを考えるようにわざと仕向けた。


「――ありがとう」

「して欲しかったらいつでもしてあげるわ」


そんなやり取りをしていると、審判と思われる人が柊二の名を呼んだ。アリシアは抱くのをやめると柊二に一言。


「行ってらっしゃい」


優しく包み込むような笑顔・・で柊二を送り出す。


「行ってきます」


その笑顔に押されて、レイスの立つ壇上に駆け上がって行った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「おや、遅かったじゃないか。てっきり手を引いたのかと思ったよ」

「アンタをぶっ飛ばす絶好の機会を逃す訳ないだろ」

「これまた威勢のいい事を」


互いに敵意を向けているこの空間に誰も介入など出来ない。審判でさえもが、逃げ出したい思いだろう。


「言っておくが僕は剣に関しては、自信があるんだ」


そう言って木剣を構える。自分で言うだけはあって、構え方も様になっている。


「すぐに片をつけてやる」


木刀の切っ先を相手に向けて頭より後ろに持っていく。元ある剣の構えを、天斬流にアレンジした構え方。


「天斬流剣術弐の型 薄霞」

「なんだその構え、笑い話にもならん」


「試合始め!」

柊二が構えると審判から開始の合図が送られた。柊二は構えたまま、その場から動かない。ただ一心にレイスの目を見ている。


「来ないなら僕から行くよ!」


勢い良くかけてくるレイス、柊二の元まで来るとまずは一振り。その攻撃を柊二は受け流した。その勢いを殺すことなく手首を捻って、更に攻撃を加える。


思っていた以上に滑らかな動きに二撃目を食らってしまった。右の頬にぶつかる、――感じる痛みが違う。右頬の違和感に手で擦ってみると手の甲に血が付着していた。


「――そういう事か」

「あらら、流石にバレちゃうか」


レイスが木剣の柄を捻ると僅かに刃が出てくる。木剣の中に刃を隠しており、切ると同時に捻ると相手を本当に斬ることが出来る。アリシアの言う通り細工が仕込まれていた。


「どんどん行くよ!」


距離を詰めるために再び駆けてくるレイス、無言で型を構える柊二。レイスの三度目の攻撃が繰り出された瞬間、彼の太腿に強烈な痛みが走った。


「痛い痛い!な、何が起きたんだ...」


その場で腿を抱えて摩るレイスと木刀を振り下ろした状態でいる柊二。理解出来ない急な痛みに柊二は構えを直して答える。


「あんたの馬鹿にしたこの型 薄霞はただ受け流すだけの型じゃない。受け流した力を利用して反射攻撃カウンターを得意とした型なんだ」


「――っ!だからなんだっていうんだ!」


脚に走る痛みを堪え、再度突き進むレイス。柊二はレイスが振り下ろした剣を易々と避けるとがら空きの胴に、自分の木刀のかしらをみぞおちにめり込ませる。


「うぐっ!?」

「ほら立てよ、殿下の受けた痛みの分をお前に受けてもらう」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

それからはもう誰が見ても一方的な試合だった。向かってくるレイスを柊二が木刀で打ち、殴り、時には転ばせる事もあった。


そんな試合でも観客が何も言わないのは、昨日のレイスの態度を考えれば何も言わないのが当たり前だった。


「ゲホッゴホッ!ハァ・・・ハァ・・・」

「・・・・・・」


服は血で染まり、破れた服の隙間から紫色の斑点が目に付く。それでも気力とプライドだけで襲ってくるレイスの攻撃を柊二は受け止めた。


受け止めた次の瞬間、柊二の木刀は無残にも柄から切っ先までが砕けてしまった。


「――っ!くそ、こんな時に...」

「ハ、ハハハ!正しく絶対絶命だな」


レイスが言う通り、武器が壊れたからといって試合を止めれば必然的に負けが決まる。そうなれば殿下も国も守れない。かと言って武器もない状態、しかも相手は刃を仕込んでいるため死ぬ可能性すらある。


『確かに前も後ろも塞がれた状況だが――』


港でフレイヤを迎え、二人で散歩した時のことを思い出した。酷く悲しく、寂しそうな顔をしていた彼女が、散歩をしている時に見せてくれた笑顔だけは輝いて見えた。


『俺はもう誰も悲しませたくない!』


体勢を低く、拳を構える。


「なんだい、素手で僕と戦うなんて気でも狂ったか」


自分が優位になったことで強気な態度で嘲笑うレイス。


「いや?武器なんてなくてもお前を倒す事は出来るさ」

「馬鹿にしやがって!」


先程まで一方的にやられた事と貶されたことに腹を立て、突っ走ってくる。そして振り下ろされた木剣が柊二に迫る。


だが、柊二は敢えてレイスの懐に飛び込み、腕を掛けて、吹飛ばす。その拍子にレイスの手から離れた木剣を掴み、よろけたレイスに突きつけた。


「・・・人を殺す武器を持つ時は自分が殺される事を覚悟しろ」


幼少期から柊二が祖父 善十郎に教え込まれた掟の一つだった。柄を捻れば刃が出てくるコレは、もはや武器である。手に取った時から柊二はレイスを殺す気でいた。


「ぼ、僕が悪かった!国にも君達にも二度と関わらない!だから――」


ジリジリと迫ってくるに恐怖心を抱いたレイスは後ろに下がるも、途中で尻餅をついてしまう。流石にやり過ぎだ、と思った観客達は止めさせるように審判に講義する。


勿論、審判も止めようとするが柊二の表情とオーラに圧倒され口出しができなかった。


誰も止める人がいない状況で、柊二はレイスの武器を振り上げ柄を捻る。シャキッと音を立て、勢いよく刃が3cm程出てくる。


『どんな人間でも、死ぬ時は呆気ない...。あの時と同じだ――』


必死に懇願するレイスを冷めた目で見下す。これから人を殺すというのに至って冷静である。


「お前の命を持って、殿下への侮辱に対する謝礼にさせて貰う」


今まさに柊二の剣がレイスを襲い掛かる。


だが、

「アマギリ様、お止めください!!」

誰1人として止めに入る者はいなかった決闘場にこだました声。柊二が発生元に振り返ると、そこにはアリシアに連れられたフレイヤが立っていた。


「何故止めるのですか殿下?!コイツは「もう良いのです」


その場に割って入るフレイヤはレイスの目の前まで迫っていた剣を取り、アリシアに渡す。されるがままに武器取られた柊二は、眼光だけでレイスを静止させていた。


「もう、良いのです。戦いは終わりました」


「お言葉ですが殿下、ここは闘技場であり戦場でもあるのです。現に彼は木剣に刃を仕込み、殺傷することが出来る武器を持ち込んだのです」


「この場は戦場であり、この場にいる私は兵士であります。私の使命は彼を始末する以外ありません。それが私の任務なのですから」


短い間だが共に過ごし、明るく優しかった柊二が戦場という場では、まるで別人のようにフレイヤには見えた。


「・・・彼を殺めてしまったら、私はあなたを許せなくなります」

「――っ!・・・ご無礼失礼致しました」

「ありがとうございます...」


柊二は黙って顔を伏せた。柊二を止めることの出来たフレイヤは未だ腰を抜かしていたレイスの元に歩み寄り声を掛けた。


「レイス様お怪我はありませんか?」

「・・・」

「この度は我国の騎士が失礼を致しました」

「全くだ、僕を誰だと思っているんだよ!ファル君、今回の事はいつか返させてもらうよ」

「あら、次回・・がおありだとお考えなのですか?」


レイスのみならずその場にいた柊二とアリシア、観客さえもがフレイヤの発言に拍子抜けた。


「一体何を言っているんだい?」

「レイス様は先程おっしゃいましたね。国にも私達にも関わらないと」

「...確かにそう言った」


「それに私も――」

フレイヤはレイスと向き合うと、

「貴方と結婚するのが生理的に受け付けませんの」

今までに無い笑顔で、一番の暴言とも捉えられる言葉を告げたのだった。

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